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女だけの街

今、女だけの街、についてのコメントで盛り上がっているようですね。
ちょうどこんな本を年末に読みました。

SF「星々へのキャラバン」という、欧米男性作家の小説なんです。
大枠でいうと、人口過多からの移住計画箱舟モノなのですが、主人公の設定が先ず面白いんです。

既婚者の彼は、一夫一婦制でない婚姻者。
現在は女性二人と彼のコンビネーションです。芸術家的奔放さの女性と専業主婦タイプの女性を妻に持って三人住まい。
男性にはとても魅力的な設定ではないでしょうか?

ところがある日、帰宅すると女性二人で睦みあっているタイミングに出くわして彼は驚きます。自分を外して二人が仲良くするとは考えていなかったのですね。

夫婦なので、どういう組み合わせでも性行為はあり得る前提なわけです。

二人はその後も自然体で接してくるのですが彼は嫉妬して上手くいかないんですよね。

そして、専業主婦タイプの女性が寂しいので子供が欲しいと訴えるのを退け、次にでは四人めの男性を婚姻仲間に迎えたいと提案されると、
「そんなこと僕は許さない」と逆上して、乱暴しそうになり妻たちからの通報によりカウンセラー送りになってしまうシーンがあります。

カウンセラーは先ず主人公の前回の離婚について彼に問います。前回は男性二名と女性一名。
そのときも、彼は、自分の妻を他の男が抱くのを我慢できず離婚します。(女性は二人一緒の婚姻でなければ承諾しなかったらしくしぶしぶの原因による)

「あなたは、今度こそ自分が中心で二人を支配できる結婚だと思っていたのですね。」

この世界では、一夫一婦制に無理があるとして拡大婚を認めた経緯になっています。しかし恋愛ベクトルがより複雑になるため、必ずカウンセラー付きが婚姻条件となっているわけです。

今、別の話題で不倫報道についても盛り上がっているのでなかなかタイムリーな一冊です。
この本が二十年前に書かれていたのが意外なほどですね。

さて、彼はカウンセラーに、自分の生い立ちから遡るように勧められ、母親に会いに行くのですが、彼女はサンクチュアリという名の衛星へ移住している。そこは女性だけの星なのです。
面会は許可された者だけ。女性にとって安全な
場所、だからこそそういう名前なのでしょう。

確かに今、経済力さえあれば、女性だけの街は
作れそうです。注文してしまえばいいのですから。警備など男性にしかできない仕事があったとしても、別の経営による財力で雇うことで外注すれば可能なんですね。

「お金が絡む仕事」としてなら、男性はペイが
よければ発注を受けるだろうし。そうすれば、
雇用者に対しては失礼を働くことはなくなります。女性の安全はずっと確保しやすくなるんですね。なので、夢でもないようだな、と思ってしまいました。

さて。この小説のなかで

彼の理想的な結婚は破綻してしまうのか?
そして箱舟計画というものは何故、妨害されるのがつきものなのか?
実は結構奥深い設定だったものだと改めて読み返したくなっているのでした。

読書メーターなどにも、この本の感想があまり
出てこなかったのでここに載せておきます。