男社会に負けてられるか!「女性ならではのナンチャラ」

先日、ある後輩の話を聞いて久しぶりに腹立たしい気持ちになった話。

彼女は、大学を卒業して当社に入社した。
そしてしばらくして結婚し、会社を退社したのだが、子供がある程度大きくなって手が離れたので仕事に復帰したいということで、当社に戻ってきてくれた。

採用担当の私からすると、一から社内の諸事情やら、細かいことを教えることがないので戻ってきてくれる話は非常に有りがたい。

今日は、そんな彼女の話。(以後、彼女をKさんとする。)

彼女の店舗に中途採用の女の子が配属された。
(以後、彼女をYさんとする。)
世間から言われる’イマドキの子’だ。

そんなYさんの教育担当になったKさんだが、忙しい時なんかは、どうも態度に出てしまうようだ。無視するとかそういうことではないが、冷めた態度になってしまったり…。
自分でもそれではダメだと思い、気をつけているようだが、その様子をYさんは上司に報告していたようだ。

その上司が今回私が紹介したい上司である。

私は、採用から新人教育までを担当している。
この仕事を始めて思うことがある。
例えば、新入社員を守ってあげられるのは、当社では私たち採用教育メンバーだけ。
そして、女性社員の味方であるのも女性社員だけということ。
いくら、女性の働きやすい環境やら、活躍推進だとか言っても、”男性社員がこの世の中を作り上げてきたんだ”の理論をプライドとしている上司やら役員がいる限り、そんな思想うまくいくわけがない。少しでも活躍している女性社員がいれば、プロジェクトメンバーから外してみたり、発言をすれば徹底的に潰しにかかってくる。まぁ、そんなところに信頼も、格好よさも全くないのを彼らはこれっぽっちも気付いていないのだろうけど。
彼らの口癖といえば

「…これだから、女性は。」

だから女性に対する偏見は消えない。
これを読んでいる男性からしてみれば、女性だって男性にたいしての偏見の固まりだとか、思われるだろう。だからそもそも、男性と女性が仲良く仕事ができる訳がないのだ。もっと広い視野をもって、それも考え方のひとつで、その考えも踏まえて、一緒に働こうという考え方をしないといけないんじゃないか。

Kさんの話に戻ると、Kさんは彼にこんなことを言われたようだ。「女性ならではの、目配り、気配りをしてほしい。」と。これだけ聞くと、そんなことはみんな言ってるだろうと思うが、ここからが私としては腹立たしい話だ。
Kさんは、それを言われて彼にこう訊ねた。「店長が言う女性ならではのというのは、具体的にどういうことですか?」と。すると彼の答えはこうだ。

「誰だって、美人にお茶を出されたほうが気持ちがいいだろ?おっさんに出されたお茶なんて気分良く飲めるか?」

と。

店、間違ってませんか?

当社の社名は伏せるが、一般的に言えば、とある名のある企業で、将来も安定した企業だ。小売業、サービス業に属するが、決して、男性に喜んでもらうためのサービスを提供しているわけではない。
彼のいう”女性ならでは”というのはこんなものなのか。

個人的には”女性ならではの…”という発想を軽蔑しているわけではない。そもそも脳科学からも証明されているが、男性と女性の視点の違いはあるので、女性にしか気づけないことがあるのは事実。しかしそうであれば、男性にしか気づけないことがあるのも事実。
では、仕事において男性社員に

”男性ならではの、目配り、気配りをしてくれ!”

と言う上司がいるのだろうか。もしかしたら、他の企業では一般的に言われていることなのかもしれない。だが、残念ながら当社では聞いたことがない。

そして彼はさらに私に言ったのだ。

「Kさんには10年もブランクがある。その10年、専業主婦だったから、今の世の中を分かっていない。そんな彼女だから、Yさんにあんな態度しかとれないし、仕事でも考え方がなってない。そのうち、やっていけなくなると思う。」

と。専業主婦として子供を育ててきたことは、そんなに批判されることなのか?むしろ、立派で、尊敬する。Kさんは私より歳下で、旦那さんも仕事上、帰りが遅く、彼女がほとんどの育児をしてきたのだ。確かに、ブランクはある。それは仕方のないこと。でも彼女は世代的にも、環境的にも、子育てを通して、新しいものに触れ、その10年、”イマドキ”を感じながら過ごしてきたのだ。なぜ私がそう思うかというと、私が今まさにそうだから。私は仕事と子育ての両立をなんとかしているが、子育てだけを考えると、ホントに容易ではない。保育園のママ友、小学校での付き合い、子供達のブーム、周りのママのファッションについて。要するに流行りに敏感でいないと、色々なことについていけないのも事実。
決して、専業主婦だからといって、現代のママは封鎖された環境の中にいるわけじゃない。だからこそ、女性の活躍推進というのが現実的に可能な時代なのだと思う。
だから腹立たしいのだ。こんな考えしかできない上司に、働きたいと思い社会に復帰した、”女性の働く場”を奪われることが、どうしても納得がいかないのだ。

これから彼女に、彼女達にどんなことをしていくことが私の役目になるのか。
また次の機会に、話したいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?