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「男性の活力」と「髪の毛」 どっちをとりますか?

病気を治すための薬が、皮肉にも男性更年期障害のリスクを上げることがあります。
男性更年期障害はテストステロンの低下が最大要因ですが、堀江重郎教授は、テストステロンを減らす薬、作用を妨げる薬をいくつか挙げています。

◆男性型脱毛症

髪の毛によって印象は大きく変わります。
30代でも薄毛の人は年配に見えますし、
70代でもフサフサしていると若く見えます。

男性は年齢とともに、前髪のラインが後退し、額が広くなります。
さらに頭のてっぺんが薄くなります。
額と頭のてっぺんの薄毛がつながり、
残る髪の毛は頭の横と後ろだけになります。
これが「男性型脱毛症」です。

男性型脱毛症の原因は「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモンです。
ジヒドロテストステロンはテストステロンが悪玉化したホルモンです。

悪玉化というとぶっそうな話ですが、それは髪の毛に対してのことです。
ジヒドロテストステロンが、髪の毛の製造工場である毛根に作用すると、
髪を作るのを邪魔します。

ジヒドロテストステロンは、頭の前からてっぺんにかけての毛根に主に作用するので、男性型脱毛症の独特の髪型になるのです。

◆男性型脱毛症の薬の落とし穴

男性型脱毛症の飲み薬に、フィナステリド(商品名:プロペシア)デュタステリド(商品名:ザガーロ)があります。
これらの薬はジヒドロテストステロンの産生をおさえるため、
髪の毛が増えるのです。

悪者にされているジヒドロテストステロンですが、
短所ばかりではありません。
テストステロンと同じ作用があるため、
男性の活力の元になっている一面もあります。

薬でジヒドロテストステロンを減らすと、疲れ、性欲低下、勃起障害、うつなどの男性更年期障害の症状を起こすことがあります。
特に30代以下の人では注意が必要です。

ここで誤ってはならないのは、
男性型脱毛症の薬が必ず男性更年期障害を引き起こすのではありません。
「起こすことがある」ので、飲むときは注意しましょうという提言です。

髪の毛は失いたくないし、男性としての活力も大切です。
どっちを取るか、その人の価値観でしょう。

参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021

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