向日葵 婚活編


向日葵の形をした、金色のヴィンテージイヤリング。
可愛いなって。ちょっと前から、チェックしてお気に入りに登録してた。

けど、そうやって悩んでたら売り切れてた。
私っていつもこう。

学生時代に、好きだった男の子に彼女ができて、実は彼、あんたのこと好きだったらしいよ?って後から言われたり。
ほんと、何もかもタイミング悪くて逃してばっかり。
なんか凹む。

最近、結婚適齢期ってやつらしくて親に急かされる。早く孫の顔が見たいらしい。
そんな事言われても、出会いもないしって、しぶしぶ行き始めた、婚活カフェ。

そこで最初に出会った人。

優しいし、メールでも、一回会った後も、特に不満はないけど……何か物足りない。
きっとお互いまだ本音で話したりだとか、気を許してないから。
そういうものなんだと思う。

けど、これで本当にずっと一緒にいる人が決まっちゃうの?
決めていいの?

結婚という契約に一体私は何を求めてるんだろう。
それは考えれば考えるほど、ますますわからなくなって。

まだ私がお子様なのかな。

ろくに付き合ったこともないくせに、やっぱ無理だったんだ。
私なんかが結婚しようとか、できるとか考えたことがそもそもの間違い。

もう、辞めちゃおうかな。面倒くさくて嫌になってきた。

メールの文面考えるのが。おしゃれして出かけなきゃいけないのが。約束するのが。

一人でも楽しく生きていけるかも?ペットを飼えば寂しくもないんじゃない?

両親には悲しまれるかもしれないけど、あなたたちの性格と顔が子供に遺伝してるんだよって言っちゃえば黙り込むんじゃないかな。まあ、そんなこと言わないけどさ。

結局、ぴんとこないまま、断っちゃおうかな、って思ってた。

二回目のデート。

他愛もなく、可も不可もなく。一日が終わった、その別れ際。

改札を通る時、ふと私の定期入れを見て彼が言った。

「あ、ひまわり」

「え?あ、これですか?」

「僕、ひまわり、結構好きなんです」

ふふ、と笑う。
かしこまって真面目なスーツの彼の、柔らかい笑顔。
それを見た時、私の中で、何かがカタンと音を立てた。

「夏休みの課題に、小学校で育てて、それで」

「あ、私、確か朝顔でした。それ」

「そうなんだ?大きくなりすぎちゃって、抱えて帰ったけど、立派だってばあちゃんに褒められて。
種をハムスターにあげたりして。だからなんか、花の中で一番好き、なのかな」

「へぇ」

「あ、すいません、こんな僕の昔の話なんて、面白くもなんともないですよね」

はは、と疲れたような乾いた笑い声。それは、出会った時と同じ固い空気で。

なんだかそれが面白くなくて、

「あの、よかったら、行きますか?ひまわり畑」

「え?」

「私、毎年写真撮りに行ってるひまわりの丘っていう場所があって」

「そうなんですか?じゃあ、次はそこに行きましょうか」

逃してばかりの私、いいなって思っても、考えちゃって面倒くさくなって、
結局行動に起こせない、起こさない私だけど……

さっきのこの人の笑顔は、ちょっと、良かった。

もう一度、この人の柔らかい笑顔を見てみたかった。

それならもう一度くらい、面倒くさいことしてみるか、なんて。

電車の中で見頃の時期を考えながら、
私の頬はいつの間にか緩んでいた。

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花風

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