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『本当の哲学の話をしよう』感想文----哲学はオワコンではない!

お盆休みに読んだ7冊のうちの第一冊です。
この本の著者は岡本裕一朗先生(哲学者)と深谷信介先生(広告マン)。
このお2人の対談になっており、大変読みやすくまとめられています。
とは言っても哲学でしょ?難しいでしょ?非日常でしょ?と思われますよね?
実は私もそんな先入観がありました。
ですが! それは間違っていたんです!

■哲学はオワコンではなかった!

哲学というとギリシャのアテネが発祥。ソクラテスやプラトン、ニーチェやサルトル、カント、ショーペンハウエルの名前が思い浮かびます。そんな昔の学問の話しをいまさら聞いてどうするの? と思われるでしょう。「古典鑑賞」? 実は私もそう思っていました。

哲学の祖・ソクラテスは紀元前470年ころの人。古代オリンピックは同じギリシアで紀元前776年に始まったとされています。オリンピックの方が300年前です。オリンピックの聖火の着火式をテレビで見ましたが、ギリシャの哲学者たちもあんな白いドレスみたいな装束だったんでしょうか。
その頃日本は縄文時代。埴輪や土器が作られ、稲作が始まっていたらしいという時代です。
ちなみに魏志倭人伝に書かれた金印が日本にもたらされたのが紀元後57年。卑弥呼が邪馬台国をまとめたのが180年ころです。
つまり卑弥呼の時代の500年以上前にはじまったのがギリシア哲学、西洋哲学なのです。
 
私はこの本で目からウロコが3枚くらい落ちました。哲学は決して紀元前の話しではなく、現在も生きて進化している学問なのだと言う点です。
哲学とは世界を見る「めがね」である。岡本先生の言葉です。つまり広告もITもAIの未来もすべて哲学というめがねで見て、深堀ることができるというのです。びっくりしました!

■岡本先生と深谷先生はソクラテスとプラトン?

この本は哲学者の岡本先生と広告畑出身の深谷先生の対談という形式で進みます。最近、こういう対談形式の本が売れていますね。読みやすさがうけているのも納得でこの本もとても読みやすい。本当です!
特にこの本では、岡本先生に深谷先生が質問していくという形式を取られており、まるで、岡本先生というソクラテスに深谷先生というプラトンが質問しているように感じます。

ご存じのように、ソクラテスの弟子がプラトンであり、ソクラテスは本は書いておらず、有名な『ソクラテスの弁明』はプラトンによって書かれています。まさにこの本はギリシャのアテネで岡本ソクラテスが辻説法するのを深谷プラトンが質問しながら話している。パルテノンシンデンが目に浮かぶようです。
深谷先生、そういう狙いではないですか?

■プラトン深谷先生の人となり

実は私はその深谷先生とはクラブハウスで知り合い、毎朝のようにお話をしています。(皆様もよかったらどうぞ!ご存知のようにclubhouseは出入り自由ですから!毎朝8:25~9:00)
深谷先生は大変優しい語り口の穏やかな謙虚な姿勢の先生です。
現在は岡山にあるノートルダム聖心女子大学の特任教授をしていらっしゃいます。(名古屋大学の特任教授も兼任)。
先生は元はタイヤメーカーにお勤めでしたが、その前はレーサーになろうとしたり、転職して広告会社に移られたという、格式高い大学の教授というだけではない、引き出しの多い方です。
深谷先生からは広告の歴史が語られています。
「日本初のコピーライターはエレキテルを発明した江戸時代の平賀源内である」
「情報とはノイズだ」。
「コミュニケーションのバームクーヘン構造」などなど。
どうですか? おもしろそうですよね?

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■最後に・・・私と哲学、高校時代の倫理の勉強

私は文系人間ですが、意外と理屈っぽくて、実は哲学は好きでした。過去形です。
それは高校時代の「倫理・社会」の授業のお陰かと思います。私の通った山口県立岩国高校には倫理の名物先生がいらして、試験が難しくて有名でした。授業中の先生の言葉を口述筆記のように一字一句聞き漏らさずにノートに書き取り(書きなぐり)、それを忠実に覚えないと、赤点が続出するテストでした。懐かしい思い出です。
だから哲学には古典という印象が強かったのかもしれません。そこで時間が止まっていました。
その高校の「応援歌」の歌い出しは「遥かなるイデア掲げて♪♪」と始まります。素敵な応援歌です。イデアはプラトンですね。
また私の通う美容院は「アガペ」。ギリシャ語の「愛」ですね。

こうして現代にも息づいている哲学。決して過去のものではない。それがよくわかりました。
哲学というめがねで「現代」を「未来」を見通す。
みなさまもそんな哲学のめがねで周囲を見てみませんか?

良い本を書かれて、深谷先生羨ましいです!
ご紹介ありがとうございました! 


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