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桜と母と認知症 父の残した桜並木の下で母とお花見 

3年前に他界した父が約30年前に植えた桜並木が満開を迎えています。
こんなに美しい桜を見たのは何年振りか。
40年前に進学で上京してしまい、そのまま東京住まいになった私は、父の桜並木でお花見をするのは初めてです。

33本の桜の木。70メートルくらいに渡ります

母の90歳.卒寿のお祝い

1人残された母も今年90歳に。
ここ1年は毎月、会いに帰っています。
母の認知症が進行しているからです。
隣の市に住む妹夫婦が見てくれているのですが、あまりにも大変そうで、
少しでも手助けしたいと思って帰っています。
月に一度帰郷できるのは、るすを守ってくれる会社のスタッフのお陰です。いつもありがとう。
妹たちは私が帰ると賑やかになるだけで、あまり助かってはいないかと思います。申し訳なさで、どちらにも足を向けては寝られません。

こちらは妹の家の前の陽光桜

認知症の母の様子

認知症の家族のいる方はだいたいお分かりだと思います。
アレっ?お母さんおかしくない?と思い始めてから3年です。
急激に悪くなって来ました。
まだ私のことはわかっていますが、時折り、母の妹と勘違いしたり。
1分おきに同じことを尋ねてきます。
子どもは何人か?
東京の両親の歳は?
初めは答えますが、あまりに続くとうんざりしてきて、気が休まりません。
特に夕方やお腹が空いてくると、機嫌が悪くなり、ご飯はどうする?とずーっと聞いてきます。

家の周りの水仙

お風呂の介助

母は夕方、お風呂に入るのも嫌がります。
疲れたから無理だと言います。
それでもなだめすかしてお風呂に入れると、気持ちよさそうで、なかなか出てきません。
髪の毛を洗ってあげるとおとなしくしています。
こうして私も子どもの頃、母に髪を洗ってもらっていたんだと思うと、ありがたさで胸がいっぱいになりました。
きっと子どもの私もお風呂は嫌だと言ったに違いありません。
母は辛抱強く、私をお風呂に入れて洗ってくれたのでしょう。
覚えてはいませんが。
こうして逆の立場になり、孝行できることがなんてありがたいことか。
父にはしてあげられなかったし、
世の中には親の介護をしたくてもできない人もいる。
親孝行できる幸せを噛み締めました。

子どもたちとのお風呂の思い出

一応私の子どもたちにも伝えておきました。
私ももしも認知症になったら、お風呂に入るのが嫌と言うと思うけれど、ごめんね。と。
ママはあなた達とお風呂に入るのがとても楽しかったのよ、と。
子ども3人を育てながら働いて来た私にとって、仕事から帰ってご飯を作って、お風呂に浸かる時が1番幸せな時間でした。
お風呂でハリーポッタークイズをしたね。
ロンは何人兄弟?とか。
呪文を何個言える?とか。

ママがお風呂が嫌だと言ったら、ハリーポッタークイズをしようと言ってね。
きっと私は楽しい時間を思い出せると思うから。
お風呂が嫌だと困らせないで済むかもしれないから。

親から子へ、子から孫へ、巡って行く命と遡る記憶。

お読みくださり、ありがとうございました。

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