継続には計測できない光がある。

2017年9月9日、日本青年館で開催されたPASSPO☆さんのフライト(ライブ)に行ってきました。

建て替えられてからアイドルとしては初となる日本青年館。1階にファミリーマートが入っていて利便性よかったり、会場全体が綺麗だし、まだ新しい建物の匂いがしたり、そういった特別感もテンションをあげてくれる。

オープニングアクトのぷちぱすぽ☆さんは先日のリリイベで全員揃ってなかったので心配だったけど、無事に全員でステージ立てててよかった。2020年のオリンピックを見据えて活動してるぷちぱすぽ☆さんが新国立競技場すぐそばの日本青年館でライブできたというのは、メンバーにとってもファンにとっても今後に向けてさらにやる気出てくるいい刺激になったのでは。元気で楽しいライブでしっかり盛り上げてくれる。

ここで驚いたのがTOKIOさんのAMBITIOUS JAPAN!がフルで流れたこと。今回アンビシャスツアーなので理屈としては不思議ではないのだけど、女性アイドルのライブの開演直前にジャニーズさんの曲を流すっていうのはなかなかあり得ない出来事のような気がする。とはいえツアーに通ってるファンにとってはおなじみなのかちょっと一緒に歌ってたりするのも面白い。TOKIOさん自体のキャラクターが男性にも愛されてるからというのもあるんだろうけど、これはかなり革命的なことなんじゃないか。

ライブは可愛いHONEY DISHからスタート、会場はチケット完売で満員とはいえ座席ありのホールということもあってかアツいというよりあたたかい雰囲気。ひさしぶりのPASSPO☆さん現場だった自分的にはとてもちょうどよくてありがたい。

2曲目からいきなり新曲のすてんだっぷガールズ!、盛り上げどころの練習とかも無駄なくわかりやすくスムーズでさすがの一言。続くViVi夏でひさしぶりにみおみおファイヤーしてしまったり、7's Up(メンバー紹介の曲)がお立ち台もあるのでいつも以上にそれぞれ個性的にアピールしてたり、この時点ですでにだいぶ楽しい。ああ自分PASSPO☆さんめっちゃ好きなんじゃんって気がつく。楽しい!。

ここからMCを挟んでバンドセットへ。もうバンド演奏をやり始めてからもそれなりに経つけど(PASSPO☆というのはアイドルだけどそれぞれが楽器演奏してバンドスタイルでもライブをやってるアイドルなのです)、いつ何度見ても単純にすごいって感動する。さっきまでステージいっぱいに全力で歌って踊ってた子たちがそのままごくごく当たり前のようにバンドセットに移動して楽器を手にしてスタンバイしてじゃあやろうかって、そんなことがあるのか(ある)。もちろんまだまだ技術的には拙さもあるし気になるところもちょこちょこあるけど、そういうことじゃなくて、というかそれでも全然うまいし、音楽ってそういうことじゃないんだっていうのに改めて気づかされるところも素晴らしい。

新曲のカップリング曲を、自分たちの武器はバンドでもあるからどうしてもバンドセットで披露したかったとやっちゃうところもカッコいい。カップリング曲を披露することもなくリリイベを終えるアイドルもいるというのに(いる)、発売前に、しかもバンドバージョンで仕上げてくるっていうの圧巻です。

そこから「I」の前の根岸愛さんのMCがとてもいい。ファンに向けてだけでなく会場にいる他のアイドルさんたちにも向けて、どうしても継続したい守りたいって思うものがあるなら強くならなきゃいけない。そうしたら何があっても、残るのは諦めた自分じゃなくて強くなった自分だから。自分たちはPASSPO☆でい続けることを諦めないと。その想いも乗せたかのように森詩織さんの力強い伸び伸びした歌声で始まるバンドスタイルの「I」、続けてダンススタイルでのYou。別々のアルバムに入ってる2曲だしバンドスタイルとダンススタイルでの披露という繋ぎなのに、これしかない!最初からこうなることが決まってたのではっていうくらいマッチングしてた美しさ。

そして「I」でのドラムの出来映えに悔し泣きする玉井杏奈さん。あんなに練習したのに上手に出来なかった!悔しい!もっと上手くなりたーい!ってステージ上で悔しがる姿を見せるのって、楽器だけやってるバンドマンだったらそんなの許されないと思うけど、ダンスにも楽器にも挑戦してるアイドルだから、それも絵になって成立するところもよくできてる。8年やってるPASSPO☆さんがまだまだ新しく成長していく姿をわかりやすく見せられる要素として楽器演奏があるのはアイドルとしてめちゃくちゃ強みだな…と改めて思う。新メンバー、新体制、最近アイドル界で流行りのそういう形じゃなく、自分たちを新しく進化させていくPASSPO☆さん。

続いてライブ中にセットリストを決めるビーフorチキンのコーナー。ビーフorチキンって2年前発売の前作アルバムでタイトルに使ってたワードなのだけど、それが今回のツアーで使われてるっていうのもいいなと思った。使い捨てじゃなく自分たちの中にあるものを全部大事にしている感じ。

そして会場の反応とメンバーの意向で決まった4曲を、これはバンドでも出来るからバンドでやろうよ、これはバンドでも出来るけどダンスが可愛いからダンスで見せたい、ここの繋ぎで移動は間に合う?、バンド2曲やってからダンス2曲にしたほうがいいでしょ、ここの照明は可愛い感じで、といったその場で打ち合わせをステージ上でそのまま全部見せながらやる。この企画コーナーではPASSPO☆が毎回こうやって話し合いながらステージを作っている姿も見せたかったと、このコーナーが終わったあと語っていたけど、言われなくてもその意図がバッチリ伝わってきてたところがよかった。こうやって作ろう見せようとしてるって流れを見てからそのライブを見ると、いつもとまたちょっと違った印象でその曲を見られるのが面白い。

ラストスパートでWINGからの5曲連続、バンドスタイルはもちろん武器ではあるけど、ここではダンススタイルでのPASSPO☆さんの良さをしっかり感じられるパフォーマンスで特に無題にはグッときた。

藤本有紀美さんによるアンコール衣装のアレンジTシャツもメンバーそれぞれ違ってて可愛かった。アンコールは増井みおさんによる怪我しないの三原則からの、(ホールだから)怪我するほうが難しいよね?という煽りで笑いを取りつつ、そのSTEP&GOでは席ありで自由に動けないお客さんのぶんも動くかのようにステージで寝っ転がったりキックボードで走り回ったり、揃っての振り付けに間に合わないくらいメンバーが自由に動いて楽しんでて、まだまだ元気でフレッシュなPASSPO☆さんの可愛さを感じられた。

そしてデビュー曲である少女飛行をバンドスタイルで。ダンスとバンドとを流れるように繋いで披露するのが本当にすごい。楽しかった今回のフライトの最後を任されたのはMusic Navigation。今年のTIFのホットステージでも根岸愛さんから語られた( https://lineblog.me/negishiai/archives/594886.html?p=2 )『継続こそが最短のルール』という歌詞のある楽曲。今のPASSPO☆さんが目指していること、これからのPASSPO☆さんの土台になっていくメッセージ。『今のPASSPO☆はこの曲で締めようと思います。』という言葉のあとに歌われたこの曲がまさしく今のPASSPO☆さんを象徴していて、今日のライブの満足感と次のライブへの期待感でいっぱいになった。

1年後の中野サンプラザ公演が今の時点から告知できるというのもすごいこと。1年後どころか数日後の予定もわからないアイドルさんが多いなか、1年後も継続してさらにステップアップしてステージに立っているという明確な保証と覚悟。日本青年館の倍のキャパシティの会場とはいえ、完売も充分可能なんじゃないかと思うし、完売してほしい。完売させられるPASSPO☆さんに1年後なっていてほしいし、なれると思った。『デビュー当時はそういう大きなステージに出させてもらってたけど、今のほうが1ステージ1ステージを大切にできる』という言葉がでてきたのにもグッときた。

ライブ(フライト)終わりにすぐフライトログとして手書きのセットリストが貼り出されるのもとても良い。自分がこういうことやってほしいなって思う理想に近いことをことごとくやってくれるグループだし運営さんなんだよなぁ。

最近アイドルご長寿委員会を発足させたり『継続こそが最短のルール』という言葉だったり、PASSPO☆さんが辞めない、諦めない、一生PASSPO☆をやるっていうムードになってるのがいちアイドルヲタクとしてすっごく嬉しいし楽しみで、この日のライブでも先述のとおりジャニーズさんの曲を流したり、開演前のアナウンスでもおしっこしたーいって(今どきアイドルがトイレに行かないなんて言う時代でもないのだけど)言ったり、ステージに仕込んである特効でCO2を噴出するやつが1回2000円だとすぐお金の話をしたり、そのCO2をオナラのように噴出させて笑ってたり、ドラムの出来で泣いてる玉井杏奈さんに森詩織さんが自分は上手く歌えたけどねーって自慢してムカつくー!ってなったり、お立ち台に上がった増井みおさんにちっちゃい…ってこっそり言ったり、

なんか、ジャニーズとか下ネタとか言いたいこと言い合える関係性とか、そういうちょっとタブーめいた部分もクリアにできているところも、PASSPO☆さんの強さだなって思っていて、SHOWROOMとかでよくファンの人たち同士がよく結婚してるって話題になったり、この流れなら、メンバーの誰かが結婚とか妊娠とか出産とか、そういうこともアイドルのまま出来ちゃうし許されるアイドルになれるんじゃないかって、そんな期待もすごく感じられた。バンドとしても実はガールズバンドで長くやってるところってそんなにないし、ご長寿アイドルだけじゃなくご長寿ガールズバンドとしてもひとつ歴史を作れてしまうような可能性も感じたし、8年目で、こんなに伸びしろがあって、新しい(奇抜という意味ではない)ことをやってくれるんじゃないかと期待させてくれるアイドルなのってすごいなと。

今までアイドルで傷ついたり裏切られたり、悔しい想いをしてきたアイドルヲタクは、PASSPO☆さんを信じてみてもいいんじゃないか。本当にPASSPO☆さんのこと今まで以上に好きになったし、PASSPO☆さんだけじゃなくアイドルの未来みたいなものについても楽しみになった、そんなライブ(フライト)でした。

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