山口順平

吉祥寺出身、和光大学卒。ちょっとしたイラストレーター。

山口順平

吉祥寺出身、和光大学卒。ちょっとしたイラストレーター。

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最近の記事

とんねるずという名の特撮

とんねるずって、特撮のようなコンビだなと思っている。 仮面ライダーやデビルマンなどのパロディコントが二人の代表作のうちにあるが、そういうハナシではなく。石橋貴明と木梨憲武の存在感そのものが、フィクションの世界にだけ生息する怪獣や怪人に限りなく近いというハナシである。 近年の事柄でいえば、プロ野球の始球式をマリーンズの依頼で引き受け、ピッチャーマウンド付近から突然ライオンズの主砲・山川穂高野手を一番打者にかえてバッターボックスに呼び込んだときのタカさんのアノ存在感。あるいは

    • 久保田祐佳アナ時代の「ブラタモリ」について

      NHK「ブラタモリ」は、こういう世の中の都合で2015年~直近のアーカイブを対象とした再編集放送を頻繁にやってる。意外だったのは、今春(フリーアナウンサーになったわけでなく)放送業界自体から離れた近江ちゃんの時代も何の注釈もなく扱い続けてることである。 だったら、実質埋没してる2009年~2012年=久保田さんの時代も扱ってほしい。たぶん、シーズン版とレギュラー版で制作陣が違うから扱わないのだろう。ぼくは2008年のパイロット版からずーっと観ており(緊急報道で放映日時が変更

      • デビュー40周年のとんねるずに寄せて

        2020年は、とんねるずのデビュー40周年だった。ポニーキャニオン所有音源のサブスクが解禁された以外には、周年記念と思える動向はなかったが。木梨憲武が美術展の全国巡回/多彩なコラボの歌手活動/ネットテレビ連動のラジオ/趣向を凝らしたインスタ…等々で前年同様に八面六臂だったのに加え、石橋貴明が盟友テレビディレクターのマッコイ斉藤と共にYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」を開設し“大逆襲”を開始したことから、結果《2人とも稀代のインフルエンサー》というとんねるずの特性が広く

        • 天下を獲る気がない天才、加藤茶

          ハナ肇とクレージーキャッツに感化されウエスタンバンドから一転、コメディの道に進んだ《桜井輝夫とザ・ドリフターズ》。桜井輝夫からリーダーの座を引き継いだベーシストの厳格さが仇となり、バンドは1964年に一度空中分解。義理堅いドラマーを除く他のメンバーに一斉に脱退され窮地に陥ったベーシストは、テレビでのレギュラー損失を免れるために半月ほどで再編を試みた。 その結果出来上がった5人組こそ、我々のよく知るザ・ドリフターズ。ベーシストとは後のいかりや長介であり、ドラマーとは後の加藤茶

        とんねるずという名の特撮

        マガジン

        • 鶴川ロックマガジン
          16本

        記事

          ミック・ジャガーの声について

          あんたはぼろぼろの 服をまとって 路地裏に酔い潰れてる 深夜の仲間はみんな  冷たい闇にあんたを 放ったまま消えちまう たくさんのハエどもが あんたにたかるんだ 俺には掃いきれないよ 天使たちが翼をひろげて 時を刻んでいる 微笑みながら 瞳を輝かせながら 俺にはあんたへ送る 囁きが聞こえるんだ 目をさまして 目をさまして さぁ 目をさまして さぁ ─ ローリング・ストーンズ「Shine A Light」(1972年)より ※対訳 ミック・ジャガーは昔から、報われ

          ミック・ジャガーの声について

          「東村山音頭」とドリフの音楽について

          東村山 庭さきゃ多摩湖 狭山 茶所 情が厚い 東村山四丁目 東村山四丁目 東村山三丁目 ちょいと ちょっくらちょいと ちょっと来てね 一度はおいでよ三丁目  一度はおいでよ三丁目 ワーオ ヒガシムラヤマ イッチョメ ワーオ イッチョメ イッチョメ ワーオ イッチョメ イッチョメ ワーオ ヒ・ガ・シ(ワオ) ムラヤマ イッチョメ ワーオ    ─ 志村けん「東村山音頭」(1976年)   「東村山音頭」は、後にコントの王様と称される男の産声に相当する。レコードでは「加藤

          「東村山音頭」とドリフの音楽について

          特撮じゃない特撮「ウルトラファイト」

          「ウルトラマン」シリーズ史上最も異彩を放つものに「ウルトラファイト」(TBS:1970-71年)がある。ぼくは80年代の再放送世代。たしか毎朝5時台に局のオープニング映像、童謡のビデオクリップに次いで放送され、当時ビデオデッキの使い方をおぼえたばかりの兄がまめに留守録していた。 「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」の放送が終わってからの円谷プロには暫しヒット作が出ない低迷期があった。世の子供たちが根本的に“怪獣ばなれ”してしまわないよう応急策として、週5日の5分番組「ウルト

          特撮じゃない特撮「ウルトラファイト」

          謎の長寿アニメ「親子クラブ」

          永年さりげなく存続してきて、遂になくなったと分かったときにだけ何かを心にもたらすものが、世の中には数々ある。テレビの中に限ると、ぼくがそのてのもので真っ先に思い出すのは、エイケンが20年近く制作していた関東ローカルの5分アニメ「親子クラブ」(1994-2013年)だ。 日常生活のちょっとした知恵を紹介する(ミニ枠ではよくある)趣向を、敢えてアニメ主体でやっていた番組。エイケンといえば「サザエさん」を制作している会社として有名であり「親子クラブ」も長谷川町子作品っぽい画風や家

          謎の長寿アニメ「親子クラブ」

          夕暮れのラジオ「AVANTI」が恋しい

          今から9年ほど前の日記をたまたまみつけたら、ポケットラジオを買ったと書いてあった。球場のオヤジが観戦しながら片耳で聞くやつ。で、買った理由は土曜夕方5時からTOKYO FMで「Suntory Saturday Waiting Bar」(1992-2013年)を聴くためだとある。外出の予定がある休日、いつも不安なのは放送開始までに帰ってこれないかも知れないことだった。球場のオヤジになってまでして聴きたかったのである。 「Suntory Saturday Waiting Bar

          夕暮れのラジオ「AVANTI」が恋しい

          ユニコーンと日本のロックジャーナリズムについて、ちょっと思うこと

          今春『ミュージック・マガジン』がユニコーンを表紙・巻頭特集に扱った。同誌は創刊50周年にちなんだ様々な特別企画をやっている最中で、従来とは毛色の違うモノを大々的に取り上げることもその一環なのかも知れない。中身のほうは“語りたいことを絞った人”と“書けることで埋めた人”とで評文の温度差が目立つものだったが(作品の外にある情報でそれらしくするのは著名評論家に多い悪癖だ)とかく、語られざる彼らに新たな風が吹いたのは嬉しかった。 日本のロックバンド/アーティストをジャーナリズムの傾

          ユニコーンと日本のロックジャーナリズムについて、ちょっと思うこと

          1コマ目で4コマ分笑わせるマンガ家、中川いさみ

          ぼくが今まででいちばん愛読してきたギャグマンガは「クマのプー太郎」(1990-94年、小学館)だ。当初の単行本で全5巻保管しており、大げさでなく全ネタおぼえるだけ読んだ。学生時代の友人にぼくと同じレベルのファンが1人いて、今でもたまに会うとクマプーから引用したギャグを交わすのが習慣になっている。 4コママンガにおける笑いを大別すると、いわゆる起承転結に則ってサゲる伝統的なものと、早い段階でアイディアを明かし惰性で笑わせつづける変則的なものとがあるが。中川先生は特に後者のセン

          1コマ目で4コマ分笑わせるマンガ家、中川いさみ

          「学生節」とボブ・ディラン

          クレージーキャッツの関連楽曲で、ぼくがいちばん好きなのは「学生節」(1963年)である。クレージーというと大半は青島幸男と萩原哲晶のゴールデンコンビが手がけているが、本曲は代表曲のひとつながら、作詞が劇作家の西島大で作編曲が山本直純という異色コンビによるものだ。 ブラスバンドが規則正しい4拍子を奏でる依存性の高い曲調の中、最たる聴きどころは1番の植木から2番の谷へと繋がるところ。このツートップの歌声が間奏を挟まずして並ぶ構成も異色で、個性のコントラストが他の楽曲よりも強く感

          「学生節」とボブ・ディラン

          とんねるずが大好きっていう話

          かつて世の中には「良い」と「悪い」の間の「しょうがねえな〜」という処に落ち着く事象がたくさんあった。わざわざ「悪い」と断るほうが無粋な類のダメさ。どうすれば「しょうがねえな〜」になるのか、定義づけは難しいのだけど。たとえばローリング・ストーンズは「しょうがねえな~」であり、モンティ・パイソンも「しょうがねえな~」である。ぼくにとってかけがえのない「しょうがねえなぁ~」といえば、とんねるず。昔からずっと大好きなんだ。そのことでぼく自身が周囲に「悪い」と思われたとしても、なんとも

          とんねるずが大好きっていう話

          カセットテープの話

          2~3年前、音楽業界がカセットテープ市場の復刻を狙っている時期があった。流行ってるってことにしてメディアも度々取り上げていたが、一部の物好きなアーティストがノベルティグッズとしてカセットシングルを発表していただけで、肝心のオーディオメーカーがかつての高品質なCDラジカセや安価のカセットテープを再販売することはなかったので、結局そのまま断ち切れてしまったムーブメントである。 ぼくはそれよりも少し前から、職場ではずっとカセットテープ生活を続けている。理由は、邪魔にならないサイズ

          カセットテープの話

          高田渡とレッドベリーとシェフチェンコ

          くつが一足あったなら 私も踊りを踊るのに そのくつさえもないのに くつさえもないのに 笛や太鼓を叩いても ただ切なさばかりが増すばかり この世が嫌になるばかり 嫌になるばかり Irene goodnight, Irene goodnight Goodnight Irene, goodnight Irene I'll see you in my dreams ─ 高田渡 「くつが一足あったなら」 フォークミュージックの世界ではしばしば、既成の楽曲(主に伝承曲)のメロデ

          高田渡とレッドベリーとシェフチェンコ

          第3のドリフ、仲本工事

          年齢順で並べると、 (1)いかりや長介 (2)高木ブー (3)仲本工事 (4)加藤茶 (5)志村けん 公開コントの登場順で並べると、 (1)いかりや長介 (2)高木ブー (3)仲本工事 (4)加藤茶 (5)志村けん ボケる頻度で並べると、 (1)加藤茶 (1)志村けん (3)仲本工事 (4)高木ブー (5)いかりや長介 4人体制での実質の地位で並べると、 (1)志村けん (2)加藤茶 (3)仲本工事 (4)高木ブー 何が言いたいかというと、“第3のドリフ”は仲本

          第3のドリフ、仲本工事