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ヒューマンエラーを低減するために

どんなに真面目に仕事をしてもミスは起こります。
スタートアップの社内では、全員が常にマルチタスクをこなしつつ、状況の変化に合わせて業務を見直していくので、なおさらミスが起こります。

新しいことに取り組んでいるのだから、ミスを起こすリスクはある程度許容していこうという考えも一定程度は正解だと思いますが、それでやり過ごしていると、徐々に会社が疲弊していきます。

リスクを受容したつもりでも、実際にミスが起こると、チームの雰囲気は暗くなります。
作業スタッフの怠慢で起こったミスならばまだ良くて、すごく真面目に取り組んだ結果ミスが起こると、ミスしたスタッフは落ち込みますし、より丁寧に作業をしなくてはとループにはまってメンタルがすり減っていきます。

どこまでやってもミスをゼロにすることはできませんが、メンタルがすり減らないような安全設計はしておきたいところです。
そのために、作業を設計するときは統制もセットで設計するという発想を持っていることが大切です。

統制には種類がある

では、どのように統制を設計すればよいのでしょうか。
統制には種類があります。
統制の種類を知ることが、うまく統制を設計する近道になります。

時期による分類

統制時期の違いによって、予防的統制と発見的統制の2つに分類されます。

予防的統制とは、業務処理の完了前に実施してエラーを未然に防ぐタイプの統制です。
例えば、作業の再実施(同じ作業を別の人がやるダブルチェック)、異なる資料の突合(ダウンロードデータと管理画面上の一致を確認)、上席者による承認などです。
これは、エラーを未然に防ぐことができるメリットがある一方で、統制自体がルーティン化する場合が多く、いわゆる目暗チェックになりやすいという問題があります。

発見的統制とは、業務処理の完了後に実施して事故になる前に発生したエラーを発見するタイプの統制です。
例えば、棚卸し、請求額と計上額の検算などです。
これは、予防的統制と別確度のチェックとなり、予防的統制で発見できなかったエラーを発見できる可能性が高いというメリットがある一方で、エラーによる問題が顕在化する前に発見できないと意味がなく、実施タイミングを適切に設計できな場合は統制として機能しません。

手段による分類

統制手段の違いによって、手動統制と自動化された統制、そしてその混合である半自動化統制の3つに分類されます。

手動統制は、システムに依拠しない統制です。
例えば、紙の資料で承認、現物を数えるなどです。
これは、導入難易度が低いというメリットがある一方で、チェック漏れなど人員的ミスが生じるリスクが高いというデメリットがあります。

自動化された統制は、システム上でプログラム化された統制です。
例えば、システムやデータへのアクセス制限、入力制限などです。
これは、人為的ミスが生じないというメリットがある一方で、設定を誤ると一律にチェックが機能せず、その影響範囲が大きい。導入難易度が高い場合が多いというデメリットがあります。

半自動化統制は、手動と自動化が混在した統制です。
例えば、システムで出力した結果を人の手でチェックするなどで、手動統制と自動化統制のそれぞれの性格を持っています。

最もよいのはどの統制か

時期によって2分類、手段によって3分類なので、2×3=6種類の統制があります。
では、どの統制が最もよい統制なのでしょうか。

基本的には、エラーは発生させずに未然に防げたほうがよいので、発見的統制よりも予防的統制の方が良いです。
また人為的ミスの起こる手動統制よりも自動化された統制の方がよいです。
つまり、予防的かつ自動化された統制が最もよい統制といえます。

しかし、現実的には、すべての作業に予防的かつ自動化された統制を設計できるわけではありませんし、予防的統制や自動化された統制にも、特有の課題(デメリット)があるので、その対策を併せて考える必要があります。
さらに、統制はどれか一つしか設計できないものではなく、複数の種類の統制を複合的に設計することができます。

統制の有効な設計方法

費用対効果の観点でどのくらい統制を設定すべきかを決める

すべての業務をミスなく行うために、たくさんの統制を入れていては業務が進みません。
どの業務でミスをしたらどのくらいの問題に波及するのかを考え、影響の大きな作業に十分な統制を設置してください。
影響が少ない作業の統制は、思い切って減らすことも重要です。

予防的統制から考える

予防的統制と発見的統制の2分類において、エラーを防ぐことができるのは予防的統制の方ですから、何か一つだけ統制を入れる場合は、予防的統制を入れることから検討します。

手動(半自動化)統制はチェックのマニュアルを具体的に設計し、誰がいつ行ったか記録を残す

手動(半自動化)統制は導入コストしやすいですが、統制実施者の能力に依存してしまう欠点があります。
この欠点を補うため、手動(半自動化)統制を入れる際には、統制者のマニュアル(どこを、どのようにチェックするのか)の整備と、実施記録を残すところまで設計することが重要です。

影響の大きな作業に対しては、複数の統制を組み合わせる

それぞれの統制はメリット・デメリットがあるので、影響の大きな作業には異なるタイプの統制を組み合わせて設計してください。
特に、予防的自動化統制は一旦導入してしまうと効果的かつ効率的な統制が期待できます。しかし、設定を誤っていた場合の影響範囲の大きさを理解し、発見的統制を合わせて設計すべきか十分に検討しましょう。

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