ホップの育て方

■ホップとは

6m以上ツルが伸びるツル植物(朝顔みたいな感じ)で、北海道でも越冬できる宿根草(冬は地上部がなくなり春に新たな芽が出る植物)です。主にビールの原材料として使用され、ビールの苦味や香り、泡立ち、抗菌作用という効果があります。 毬花という独特の実を結実させます。ビールの原材料に使われるのはこの毬花や毬花の中の黄色いルプリンを利用します。

このホップの苗を花の館では春に販売しております。

■ホップの特徴と1年のサイクル

・1年の成長サイクル
【前年からの冬】地下で冬越し中 → 【春】地上に芽が出て来る → 【初夏】ツルがぐんぐん伸びる → 【盛夏】開花 → 【晩夏】毬花がなり収穫 → 【秋】養分を根に蓄積及び肥大、併せて段々に枝葉が色褪せる → 【晩秋】枝葉が枯れる → 【冬】地下で冬越し →繰り返し。

・特徴その1:旺盛に伸びたいツル植物

ツルが6m以上伸びるのが必要な植物です。そういった伸びる場所や支柱などのツルが伸びる為の道具も必要で、ツルの伸びを支える根も十分にに伸びるスペースが必要です。ツルや根が十分に伸びる環境が無いと、成長が悪くなったり、病気の発生、毬花まで到達しないといった原因になります。また、ホップに限らずツル植物は何かに絡んで上に伸びたい性質があり、その性質を無視して、地を這わせたり、あまりにも横方向に誘引(※誘引はツルが進んでほしい方向に人力で絡ませ誘導することの意)すると生育がイジけてしまい伸びなかったり絡まなかったりという原因になるのでその点を留意すること。

・特徴その2:根が重要な宿根草

晩秋以降は枝葉を枯らし、土中で越冬する宿根草と呼ばれるタイプの生命力の強い植物です。宿根草は地上部が何らかの問題があっても根さえ大丈夫であればどうにかなる強さを持っています(というかどうにかなりすぎて困る事も多い)が、逆に根に異常をきたすと取り返しがつきません。また、越冬の際に地上部を枯らし、土中の根に養分を移行するので、通常の植物とはちょっと違ったサイクルを持つ事を踏まえておくことも必要です。根を十分に育て、またその強さをコントロールする必要がある植物ともいえます。

・特徴その3:地下茎で増えていきたい植物

地下部を根と茎の間の様な「地下茎」を伸ばし、地上部の芽数を増やそうとする植物です。この増やし方は雑草のスギナやハーブのミントと共通の増え方で、どちらも処理に困るほど増えてしまう植物です。ホップもそれに似た性質をもっているので、地下茎のコントロールが必要となりますし、併せて土中の養分もどんどん消費しようとする力があるので、施肥など欠かさず与える必要があります

こういった成長サイクルを繰り返し、毎年根が充実することで、出てくる枝が増えていき、枝葉も大きく伸びるようになり、毬花を多く結実するようになります。また植えつけたら数十年は毬花を収穫できると言われています。それだけ強い植物なのです。

■ホップを育てる準備【畑&庭】

・6mぐらいに伸びても良い支柱や紐。6m位の高さで支柱や鉄線等で棚を組むとよいです。
土中は有機質分をすきこみ肥沃な状態にする。できれば前年秋からすきこむと良い。
株間は2m以上離す。近すぎると日照不良や葉の茂りすぎに繋がる
・元肥、追肥用の肥料。元肥は窒素分がやや少なくリン酸分カリ分が多いもの。追肥は窒素分が多いものを。

■ホップを育てる準備【鉢植え】

・直径45cm以上(15号以上)、もしくは40L以上の野菜用プランター。出来るだけ大きく深ければより良い
1鉢に1株までを厳守。
・最低でも3mぐらいに伸びても良い支柱や紐。途中から斜め植え方向に伸びても構わないのでトータル6m位確保できると良い
土中は有機質分をすきこみ肥沃な状態にする。できれば前年秋からすきこむと良い。
・元肥、追肥用の肥料。元肥は窒素分がやや少なくリン酸分、カリ分が多いもの。追肥は窒素分が多いものを
・鉢の土を隠すマルチ用品(バークチップや敷き藁など)

■ホップを育てる基本

・日当たり
出来るだけ日があった方が良い
。日が当たらないと茂りすぎやツルの軟弱化からくる病害虫の発生のしやすさ、毬花の質の低下につながる。鉢植えの場合は半日陰の方が管理しやすいので、管理状況に合わせるのも手段の一つ。

・水やり
極端な乾燥を好まないがあまりにジメジメした場所ではよく育たないのが基本。潅水の悪い畑や庭の場合は水はけの改良を必要とし、干ばつの場合は潅水も必要。鉢植えの場合は、鉢の底から水が出てくるまでしっかり与える。生育期には毎日、乾くようであれば1日2回の水かけが必要な場合もあります。水が特に必要な時期は、幼苗植え付け間もない時、ツルが伸びる生育期、梅雨明け後の乾く期間、開花10日~2週間程度の毬花が充実するで、この期間は水不足が無い様注意が必要です。鉢植えで水が頻繁に乾く場合や、梅雨明け後極端に乾く場合は土の上にマルチ用品を敷くと良い。また、停滞する水を嫌うので、水が溜まる様な畑や、鉢植えの下に皿を置く、鉢底に水が溜まるタイプのプランターは避ける事。

・肥料
基本的には固形肥料を与えること。肥料の三要素の中で窒素分を好むが、他の要素も十分与えた方が良い。芽が出る前の時期に元肥(窒素分が少なくリン酸分、カリ分が多いモノが良い)として与え、追肥(窒素分多めが良い)は年3回。1回目は花芽分化の1か月前、2回目は毛花が出始めた時期、3回目は収穫前にお礼肥料(来年用の養分として蓄積してもらう肥料)として。

・土
有機質に富んだ肥沃さ、根が伸びやすい柔らかな土を好みます。畑は50~60㎝と深く耕しpHは6~6.5に調整する。鉢植えの場合は、花用や野菜用の培養土で構わないが、完熟の鶏糞等を混ぜるとより良い。

・気温
最適な気温は25度位と言われている。35度を超えると生育がやや緩慢になるが育たないと言う訳ではないが、生育が緩慢な分、収量も少なくなる。

・ツルは痛い
ツルは紐等に巻き付く為、トゲの様な軟毛が生えている。これに皮膚が当たったり擦れるとなかなかに痛い。状況によってはミミズ腫れになる場合もある。作業でツルに触れる機会は多いので長袖や手袋をつけて作業すること。

■ホップの年間作業

株こしらえ:秋の落葉後か春先
根株の周りをスコップなどで掘り起こし、地表近くの地下茎の除去、脇に伸びた枝などを取り除く。若い茎の乱立を防ぐ目的。どのような株の状態でも大きく横に伸びた地下茎等は全て切り落とすが、株がまだ若いもの、小さいものは、全体を浅め切り中心部の塊根(根が肥大した部分)周辺を整理する。株が古い場合は中心の塊根を握りこぶしの様な形まで深く切り塊根周辺を整理する。この際、土を直ぐに戻さず日光にある程度当てておくと消毒効果がある。鉢植えの場合は鉢から株を抜き、土を落として大きさに応じて株分け等を行う。鉢植えの場合は早々に鉢に植えなおす(用土は毎年新しい土にかえる)

糸下げ:芽が出る前
棚や支柱から芽が出る位置まで紐を張る。ツル植物は糸に絡んで伸びる事が必要な植物なので遅れない様に必ず行う。尚、棚を低くしか用意できない場合は、糸の角度を60度~40度までの間で斜めに張ると幾分ツルの生育が抑制され育てやすくなる。尚、斜めに糸を張った場合は角度により自力で絡みずらい場合があるので毎日のチェックが必要

選芽:芽が出てきた時期(遅れないように気を付ける)
ある程度萌芽が出そろった時点で、余分なツルを基部から抜き取る。養分の過分消費を防ぐ目的。1、2番芽は取った方がよい。畑の場合は1株あたり予備を含め7本位までに抑え、鉢植えは予備を含め多くても5本に。

土寄せ:選芽後とツル上げ後の2回
株元に土を山に盛る。根の発達を助け、乾燥及び湿潤防止、風によるツル折れ防止、水の停滞防止に繋がる。畑の場合は株こしらえ後の土を戻す作業、及び株の周辺を株方向に畝上げする機械であるく作業がこれに当たるが、鉢植えの場合も株元にある程度土を盛りマルチ用品で株元を覆う作業を代わりに行った方がよい。

ツル上げ:ツルが30cm~50cm伸びた時期
紐にツルを絡める。病気予防や生育遅延防止に繋がる。1本に1ツルが基本。この作業後も定期的にチェックし、外れている場合は都度絡める。この時、元気に伸びているツル1株あたり3~4本に絞り(鉢の場合は2~3本)、予備の数本は地面に置いておき、メインのツルが元気に絡み伸びたのを確認した後、予備のツルは株元から切り落とす。

ツル下げ:棚や支柱などの頂点到達前。棚が低い場合は都度行う
ツルを引き枝の頂点の位置を下げ、ツルの下の部分を輪状にまとめる。ツルを引くことが出来ない場合は、紐の頂点を解き、紐を足して枝の頂点を変える形でも構わない。開花が棚の頂点になる為の調整、棚以上に伸びたツルの折れ防止が目的。下げる量は、開花から15日~20日に頂点に達する様に調整する。株元から1.5m位までは開花しにくい場所の為、その部分位の量は下げてもよい。棚が低い場合は、この作業を細かく頻繁に行うとよい。猛暑日に下げた枝が葉焼けを起こす場合があるので注意。

脇の枝を摘心:ツルが旺盛に伸びている時期~開花まで随時
茎の節の葉の上から出た脇の枝及び芽を切る。余分な養分消費を防ぐ目的。地上1.5m位までの脇の枝は全て元から切りおとす。9~10節以上の側枝は1節残して2節より先を摘心(茎の先端を切り枝分かれすること)するとよい。(後の作業は届く部分まで)

下葉とり:ツルが旺盛に伸びている時期
地表から50cm~1mぐらいの葉を取り除く。病害虫予防が目的。ツルが1mぐらいのときは2~3節の葉を、それより伸びたら4節目をという感じで成長に合わせて取り除いていく。尚、収穫時に株元から切って収穫する場合、植え付け間もない若い株、鉢植えで伸びがいまいちの場合は、この作業は行わない。(葉があることで養分を蓄積するため)

棚頂点での横誘引開花期にツルが棚の頂点から30cmぐらい伸びた時期に随時。
ツルを横方向に誘引する。棚の頂点で横方向にツルを誘引することで、主幹の生育の抑制と併せて側枝発生の促進による収量増、毬花への日当たりの確保、ツル折れ防止、収穫作業の簡略が目的。ツルは横方向には自力で絡まず、どうしても上方向に行こうとするので頻繁なチェック、誘引が必要となる。棚が小さい場合は、棚から紐を足し、横方向に延長してそこへ誘引するとよい。尚、農家さんでは鉄線を使っているが、紐等でも構わない。

収穫:開花から40~45日後が目安の晴れた日の朝に。
地上から2mぐらいの高さより上の着花枝(主幹から脇にでた実の付いた枝)を切り収穫する。半分から上ぐらいに大体着花する。着花枝を日陰に下ろし、枝と毬花を手で分ける。収穫には、上記に挙げた着花枝のみを切る方法の他、半分から上ぐらいの主幹を切り落とす方法、また地際から主幹を切り落とす方法(海外の大規模農家はこの方法)等があり、主幹を切る方が作業としては楽なのだが、基本的には主幹と葉を残した方が地下茎の翌年への養分の蓄えが良くなるので、株が小さいうちや、鉢植え等は着花枝のみを切り落とす収穫方法が良い。また、主幹等の枝は使わず焼却処分するのが通常であるが、海外ではリースの土台に利用しホップの収穫を祝う。リースを作る場合は乾燥する前に、その日のうちに巻いた方がやりやすい。

毬花の乾燥と保存:収穫後その日のうちに
温風を当てて乾燥させる。保存性を高める目的。45度スタート、4~5時間後には55度位に(60度以下)。トータルで10時間以上。水分量は5~6%、毬花上部にある茎がポキンと折れる状態まで乾燥。のちに自然放冷し、封が出来る袋に入れ冷凍庫で保存。少量の場合は食品乾燥機や布団乾燥機を工夫した機器で個人でも乾燥可能だが、乾燥できない場合は、自然乾燥等を行うよりも、乾燥しないで封が出来る袋に入れ直接冷凍庫に入れた方がよい。(但し、乾燥のものに比べ日持ちは悪くなる)

枯れツル処理:年内に整理
着花枝以外の部分を地際で切り出来れば焼却処分する。病害虫予防が目的。雪深い地域は、翌年の株こしらえの為に、棒を立てる、主幹の一部を長く残す等、雪が降ってもわかる様に目印を立てること。

■病害虫、自然の害について

薬剤散布は葉の裏を中心に株全体に噴霧すること。また収穫時期を見極め、農薬の残留に注意する(薬剤毎に記載があります)

アブラムシ:春先などに枝先に主に発生。どんな気候でもよく出る。目視が容易。随時、適応の薬剤を散布

ハダニ:気温が高くなった時期に葉の裏に発生。猛暑や空梅雨の場合によく出る。葉の裏に小さいながら目視可能、大発生時には蜘蛛の巣の様なモノも発生。初期は葉の表面がやや薄い色抜け、大発生時には茶変黄変等になる。初期段階で殺ダニ剤を葉裏に噴霧。殺ダニ剤は散布回数に条件があるので確認のこと。大発生になると駆除が難しくなる

毛虫青虫:夏~晩夏に発生。葉脈を残して食害、併せてフンが確認できる。随時適応の薬剤を散布

コガネムシ等:春~収穫時期まで発生。葉に丸い穴があく。飛んで逃げるので残効性の薬剤を適時散布

うどんこ病:気温が高くなってきた時期に発生。葉の表面が白く粉をまぶしたようになる。大発生すると生育が緩慢となる。発生していなくとも、予防として適応の薬剤を散布すると良い。発生時は症状が出ている葉を取り除き、薬剤を散布する。元気に育っていると障害が出ずらい。

ベト病:初期から収穫期まで全時期を通して発生。冷夏や梅雨時期に出やすい。葉の斑点状の黄変や茶変などが生じ、大きく伸びるはずの主幹や側枝の伸びが大幅に悪くなる(節詰まり)。全期間、予防も兼ねて適応の殺菌剤を散布する。

風害:強風により枝が折れる。台風などで被害が出やすい。防風ネットなどを畑の周りに張る、防風の為に周りのツルの数を多くするなどの工夫が必要となる

■最後に

主に弊店紫波佐比内店近くの元ホップ農家の方々に育て方を伺いました。ご教授頂き大変ありがとうございました。
概ねの育て方を、伺った話、弊店で育てた中で感じたことを交えてまとめております。これからも育てながら内容の拡充を行ってまいります。わからない部分やご意見などありましたら、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。

尚、この記事がお役に立てた、弊店の活動にご賛助頂ける場合は下記のサポートをお願いいたします。
頂いたサポートで、元ホップ農家さんにビールでお礼ももっていこうと思っております!

・更新履歴
8/22特徴その3宿根草の説明、下葉取り、収穫の項を加筆。
8/15農業や園芸の専門的な文言を一般的な文言に一部置き換え
2018年8/14公開

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サポートは紹介した植物の苗の生産維持拡充、記事の充実に利用いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

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