見出し画像

3.ちいさなカフェの日常。「鳥かご」のはなし。



こんにちわ。
2011年に、都内はずれで1人で雑貨カフェを細々とひっそりとオープンしはじめたsaki&pekoと申します。
その後の出来事を綴ってまいります。


小さなうちの店の前に、ときどき、いやたまーに、何が置いてあることがある。
これもカフェでは普通なのか?カフェ経営者の友達がいないので、わたしはよく知らない。


ある日のこと。

わりと大きめの丸い形の鳥かごが、店のドアの前に置いてあった。高さは50センチくらいの結構でかいやつ。
白くて上が丸くなっててかわいい感じのそれは、まだ新しかった。


誰かの忘れ物かな?
しかしながら入り口ドアの前にある。

わたしは、少しはしにずらして、なんなら隣の事務所の近くにずらして、うちのではありません風に置いておいた。

翌日。
鳥かごはまた、うちの店のドアの前に移動していた。

(隣の事務所の人が、ずらしたのかな?)

では、、、と、反対にずらして、うちのではなく忘れ物です風に置いた。

翌日。
それはまた、ドアの前にあった。

もしや、お客様か?
お客様が、わたしに持ってきたのか?
それか、誰か他のお客様に渡すつもりで???

そのうちわかるだろう。
わたしはまた鳥かごをはじによけて、入り口の掃き掃除をしていた。

しばらくして自転車に乗ったおじさんが、目の前に止まった。
「鳥かご、使いますか」

え?あ、この人毎日置いてある鳥かごを見ていたのかな。欲しいのだろうか?誰のかわからないし、あげちゃうか。

「この鳥かご、いりますか?」
わたしは、おじさんに言った。

「いや、そうじゃなくて」
おじさんは言った。

「あなたが鳥かごを使うのではないかと思って、わたしが持ってきたんですよ」

え?
なんで?

おじさんは言った。
「鳥、お好きでしょ」


鳥、いや鳥のイラスト好きだけど、、、。鳥飼ってませんけど、なんで?

あ、思い出した。店の窓に、鳥かごのモチーフが下がっている。
いやそれは、木でできた、窓に下げる飾りであって、本物じゃあない!それを見ていたから?
てか、本物のでかい鳥かごなんかさげられないー!

わたしが戸惑っている顔を、遠慮とか、勘違いしたのだろうか。

おじさんは、「どうぞ、いいから使って」と笑顔で走り去っていきました。

いやいやいや!
おじさーん!

わたし使わなーい!!

しばらく店の前にあった鳥かごは、なぜかわたしのものになって、店の前のオブジェ?となりました。
それからしばらくして、たまたまお客様に鳥を飼ってる方がいて、その鳥のお家となりました。

めでたし、めでたし。
よかったよかった。

ではまたね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?