見出し画像

加速するために、減速する

2015年1月にStanford Social Innovation Reviewから公開された、 “Decelerate to Accelerate”という記事。
加速するために減速するという、一見矛盾するフレーズが面白いと思い、読んでみた。

私たちが抱える矛盾

この記事の著者いわく、

  • より持続可能な世界を作ろうとする人々は、より広範な社会的使命を追求するために、資金、人間関係、時には健康さえも犠牲にして、最も持続不可能な生活を送ることが多い。←皮肉!

  • 私たちは、自分たちの活動スピードを緩めたり、自分たちの活動の深く追究したりする時間を取らない限り、「社会変革のファーストフード化(fastfood of social change)」に直面する恐れがある。

  • 変化はどのように起きるのかを改めて考える必要がある。変化とは、おそらく規模の拡大というよりも物事の深化であり、解決を必要とする深刻な問題の核に近づくには、私たち自身から始めなければならない。

「社会を変えるには、私たち自身から始めなくてはならない」という部分について、以前はぼんやりとした理解だったけれど、今は痛いくらいよくわかる。なぜなら、自分自身が倒れてしまっては、何もできなくなってしまうから。

つまり、社会変革を加速させるためには、自分自身が倒れないことが何よりも大切だ。

社会変革を加速させるために

この記事では、バーンナウトを克服した著者のエピソードを元に、バーンナウトへの処方箋が書かれている。この記事では、2つのポイントが取り上げられていた。

①自分が元気を取り戻せる活動を知る

  • 自身のエネルギーを守り、補充するためには、私たち自身の「更新作業(plactice of renewal)」が必要。更新作業とは、自分が元気を取り戻せる活動などのこと。それは人によっては瞑想だったり、自然の中に行くことだったり、読書であったりと、それぞれ異なる。

②仲間をみつける

  • 自分と同じような人生の選択をしたり、生い立ちを理解してくれたり、自分の成長を一緒に喜んでくれる仲間がいることは、自分エネルギーを維持する上でとても大事。

自分の内面へ旅をする

要は、自分自身のケア方法を探求するということ。すべてがスピード感を持って進んでいく今の時代だからこそ、自分を置き去りにしがちだ。だからこそ、周りのスピードに惑わされず、自分自身の内面を旅する重要性がある。そこで、道案内となるような問いは以下の3つだそうだ。

  • あなたのミッションにおいて本当に不可欠な要素とは何か?そして、あなたはそれに本当に集中できているか?

  • あなたにとっての「更新作業」とは何か?その「更新作業」は十分な頻度で行うことができているか?

  • あなたにとっての「仲間」は誰か?彼らとよく繋がることができているか?

恥ずかしながら私自身も、忙しさを充実さと履き違え、また、手元の作業や連続する短期的な企画への対応に追われるあまり、当初の目的を忘れてしまうこともあった。

変化は早急に求められることが多く、迅速な対応を求められることが多い。そのスピードに適応できない人々は疲弊していってしまう。

だからこそ、時々「自分、ギアをあげすぎてないかな?」と自問し、エンジンが壊れる前にいったんアクセルから足を離して、
「私はいま何をしたいのか?どんな暮らしがしたいのかな?」
「どんな世界を望んでいるのだろう?その世界で大切にされていることを、自分に対しできているだろうか?」
と自分の声に耳を澄ます時間を大事にしたい。
(パウロ・コエーリョの『アルケミスト』を思い出す…)

意識してスピードを緩めることは難しい。
けれど、自分たちの状態や現在地、目的地を確認する行為を頻繁に行い、その都度調整することが、実はゴールへの近道なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?