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大企業との協業を獲得する秘訣

株式会社 piponはバイエル薬品との協業することになりました。


バイエル薬品は、ドイツの製薬会社で世界のトップ15位くらいの実績があるほどの大企業です。 そんな大企業との協業がどのようにして行われたのか、その獲得できた秘訣とは何かを今回お伝えしたいと思います。 

バイエル薬品は毎年、オープンイノベーションプログラムとしていくつかの課題を提起して、それをスタートアップ企業に解決手段の提案を求め、その内容で協業できるのであればwin-winの条件で契約しようとするものです。

今回のオープンイノベーションプログラムの課題は2つありました。 

1, パワーポイントの検索システム 

2, 薬の試験方法の比較表 それぞれ解説したいと思います。

まず、パワーポイントの検索システムについてです。 製薬会社には薬の申請をしたりする「薬事」という部署があります。バイエル薬品はグローバルファーマシーであるので、この薬事においてヨーロッパ、日本、アメリカの政府や他社競合薬品会社などの情報を集め、次に開発すべき薬品の戦略を立てるという役割があります。

 情報が非常に多いため、1つパワーポイントファイルが100スライドほどにもなるのです。それが数百~数千ものファイルがあり、とても整理しきれないという悩みがありました。 

例えば、「過去のあの1ページが欲しい」というニーズがあっても現在の検索システムではその目的のページになかなかたどり着けないのです。そもそも1つのファイルが数十MB~数百MBもの大容量であるため、開くのですら時間がかかる状況です。そうした環境で、目的のページを探すのは非常に困難でした。 目的のページをすぐ検索するための方法、それから薬品業界では似た意味を持っていても違う言葉を使うケースも多いため、類義語などでも検索できるようにしたいというニーズもありました。

 2つめの課題は、薬の試験方法の比較表についてです。 バイエル製薬が薬を申請する際に、「薬に含まれる化合物が正しい状況にあるのか」という試験を行うのですが、ヨーロッパ、日本、アメリカでその試験の基準が若干異なるのです。

バイエル薬品としては、もちろんどの市場でも薬をリリースしたいのでそれぞれの条件に合う試験方法で管理を行う必要があります。 そこで各国の試験方法の比較表を作っていたのですが、それが今までは手作業で行われていたのです。それに時間を費やしていたので、自動化したいというニーズがありました。 

株式会社 piponとして2つの課題に対して、解決策を提案しました。一次審査で書類面談があり、二次審査で実際の面談が数回行われ、最終的には2つの提案を採択いただけました。 

採択いただけた成功要因は、二次審査の最初の面談時に課題を解決できるプロトタイプを提示できたことです。結局のところ、机上の論理ではなく実際に目の前に動かせるということが一番先方にとってはわかりやすいわけです。 もちろんプロトタイプを制作するにも、大きな費用と時間が必要でした。もし、採択されなかった場合はその投資はそのまま赤字になってしまいます。

それでもプロトタイプを制作しようと思ったのは、その時すでに株式会社 piponとして、「製薬会社を顧客の中心にしよう」と決めていたためです。 その意味では今回のバイエル薬品のオープンイノベーションプログラムは、株式会社 piponにとって非常にピッタリな内容だったのです。自然言語解析についてはこれまでに経験もあり、その解決方法もある程度予測できていました。 

また、一般的に製薬会社は最初にお取引させていただくハードルは非常に高いのですが、「実績があれば製薬業界における認知度が上がり、他の製薬会社でも取引しやすい」という情報をあらかじめ持っていました。その意味ではこのプロトタイプに投資をするのは合理的であると判断できたのです。

結果としては最初の面談において、プロトタイプでその問題を解決できることを実践的に説明ができたので、そのインパクトは非常に大きかったのではないかと思います。そこから半年間もの間、協議を重ねてようやく協業できることになりました。

それまで、本業をしながらこのオープンイノベーションプログラムの参加をしていたので非常に大変でしたが嬉しい結果となりました。 今回の「大企業との協業を獲得する秘訣」をまとめると次のとおりです。 

・机上の理論より実践的な解決手段を具体的に提示する 
・リターンの大きさが把握できたらリスクを恐れず全力で挑戦する


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