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仕事つくる#19 薪ボイラは大変、そしてチップボイラに嫉妬してしまう

やあ、私です。
皆さんはゴールデンタイムをご存知でしょうか?
「ああ、19時〜22時の一番視聴率が高い時間帯のことでしょ?」
ごめんなさい。私がいっているのは、筋肉発達におけるゴールデンタイムのことです。

運動後やトレーニング後は、様々な筋肉細胞が傷ついている状態です。そして、この修復する力を使って筋力がアップするのですが、その時にタンパク質が豊富で栄養バランスが取れたプロテインを摂取するのが非常に効果的なようです。ベストな時間は運動後30分以内。その時間をゴールデンタイムといったりします。

ブルーワーカーな私は一日外働した後ヘトヘトになるので、久しぶりにこのゴールデンタイムを活用して体づくりをしてみようかなと思います。


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私は現在、岡山県西粟倉村でバイオマス熱供給の仕事に携わっている。そこでは主に薪を生産していて、村にある3箇所の温浴施設に設置された薪ボイラに燃料投入を行なっている。2018年1月に赴任してからもうすぐで1年と半年が経とうとしているが、薪ボイラを使用していて思うことが多々ある。その一つが、薪ボイラの使用頻度には限界があるのではないかということだ。

本日のnoteでは、私が感じている薪ボイラの運用の大変さと、自動燃料供給ができるチップボイラの可能性について書いてみようと思う。


今の薪ボイラの運用ペース

西粟倉村のバイオマス事業では、村内の3つの温浴施設に設置された薪ボイラに、燃料供給を行なっている。まず、基準となる単位をはっきりさせて置くためにラックについて説明する。

この写真にある赤いラックは、薪を満タンに積んだ状態で1㎥の体積になるように設計されている。多少の形状の違いはあるが、全国的にも1㎥に設計されたラックを使用している工場がほとんどだ。

西粟倉村では、3施設合計で年間1,100ラックを消費している。3施設の内訳を下記の表に示した。

H30年度 西粟倉村のバイオマスボイラ導入施設の月別ラック使用量

こちらの表をみると、最も多い施設Aでは年間650ラックを消費していて、1日平均にして1.8ラックを使っていることになる。

ちなみに、最も熱需要のある12月〜3月においてそこまで数字が伸びていないのは、施設側の熱効率改善であったり、燃料の乾燥具合に起因するところがある。本来であれば夏場との差はもう少しあってもよい。

1日1.8ラックがどのくらいの頻度になるかというと、朝の6時から夜の20時までで3時間おきに合計6回の燃料投入を必要とする。薪は、チップやペレットとは違い燃料投入は手動で行うため、投入の都度ボイラを開け閉めする。その分機材の消耗も激しくなり、イコール部品交換による維持費にお金が飛んでいくのだ。これでは、他のバイオマスボイラに比べイニシャルコストが安い薪ボイラを入れてもあまり意味がない。

また、これは弊社の運用改善ができる部分ではあるが、燃料投入をしているのは施設側ではなく弊社の工員だ。すなわち、その都度工場から施設に出向く必要があるため移動にガソリンを使用することになる。1年に使用するガソリンを計算してみたら...1,026ℓに及んだ。ただ、先にも述べたようにこちらは施設側に燃料投入を委託することで改善可能だ。詳しくは下記のnoteを参照してほしい。


それでお前は何が言いたいんだ

薪ボイラではこの規模はかなり大変だよ〜ということがいいたい。もちろん、導入当時の補助額や自治体予算などの関係で薪ボイラを選定したことは用意に考えられるし、稼働時間が多いということはランニングコストを低く抑えられるバイオマス導入における最大のメリットといえる。ただ、運用している側の意見を述べると、通年で薪製造に追われることになるし、休みの日も関係なく燃料投入をする必要が出てくるため悲鳴をあげたいのが本音だ。

私が思うに、薪ボイラの運用は2回の投入でその日中の熱需要が賄えるくらいがちょうどいいのではないかと。


チップボイラのメリットデメリット

チップボイラはその点優秀だ。チップボイラのメリットデメリットを下記にまとめてみる。

メリット:
・燃料を自動で投入してくれる(自動燃料供給システム)
・熱を必要としないときは自動で停止する(自動制御・断続運転)
・熱交換器のクリーニング、灰の書き出し等も自動
・ユニットのため設置が簡単
・燃料の製造が簡単
デメリット:
・薪ボイラより高額
・施設ごとにサイロ(燃料貯蔵庫)を必要とする
・上記のために薪ボイラよりイニシャルコストが高くなる
・燃料チップの形状、水分率がややシビア

燃料の製造が簡単ということは、イコール雇用を生まないと置き換えることができる。地域の活動として、薪ボイラに対しデメリットと扱う人もいるが、本当に持続可能であることを優先したとき、燃料製造に費やす労力は軽減すべきだと思う。

デメリットは概ねイニシャルコストの高さになるが、施設の特性に合わせて設計していくため、明確にいくらということがいえないのが悔しい。今後だが、実際に今の温浴施設にチップボイラを導入した場合のコストがどれくらいになるかを一度概算してみようと思う。


以上、本日は薪ボイラの大変さとチップボイラの可能性について書いてみた。もちろん薪ボイラのメリットはたくさんあるが、一(いち)ユーザーの感想として何かの参考になればうれしい。本日はこのあたりで、

ではまた。

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半田 守
1990生、京都府出身。6歳からレスリングをはじめ、網野高校卒業後、専修大学へ進学しレスリング大学日本一になる。2018年から岡山県西粟倉村に移住し
自然エネルギーの勉強をスタート。同時にレスリングウエアブランドMAMOを立上げ、現役選手にエールを送り続けている。
MAMO:https://www.mamo-wrestling.com/
twitter:@handamamoru
note:”仕事つくる”をテーマに連載中!

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