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仕事つくる#18 バイオマスボイラを導入する時のケチり方

やあ、私です。
本日、はじめて生後2ヶ月の息子とお風呂に入りました。最初はものすごくご機嫌だったのですが、耳にお水が入ってしまったのか途中から大泣き。。ああ、ごめんごめん。ただ、ふぐりの隙間を洗ってあげたら、またご機嫌になりました。間違いなく私の息子です(笑)。


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日本でバイオマス熱供給システムがいまいち普及しない要因として、化石燃料ボイラシステムに対し、導入時のイニシャルコストが高いという要因があげられる。近年、化石燃料代の上昇によりバイオマスの価格が有利になってきてはいるが、燃焼技術や自動制御などイノベーションが進んだとはいえ、使い勝手ではまだ化石燃料に勝てない。したがってトータルコストで化石燃料よりも有利にならない限り、バイオマス導入のメリットを引き出すことは難しいということなのだ。

そこで、本日はバイオマスボイラ導入時にイニシャルコストをいかにしてケチるかの方法をまとめてゆきたいと思う。

ここでは自動燃料供給システムが確立されているチップボイラーを対象にして話をすすめていく。チップボイラ導入に際して、現在日本でできるイニシャルコスト削減方法は、下記の3点になる。

① ボイラ規模を可能な限り小さくする
② 建屋・サイロのつくりを簡単にする
③ 架橋ポリエチレン菅を使用する


①ボイラ規模を可能な限り小さくする

ボイラ規模を可能な限り小さくするには、まず熱需要シミュレーションを作成し最大熱需要を割り出し、その部分をピークカットする方法が有効になる。こちらについては過去のnoteでまとめているのでそちらをご覧いただきたい。


②建屋・サイロのつくりを簡単にする

日本ではバイオマス導入の事例はまだ少なく、バイオマスボイラ建屋・サイロを鉄筋コンクリートでつくられるケースが多い。また、燃料運搬をダンプで行いそのまま燃料投入をできるようにするために、サイロを地下につくるのが一般的となっている。これらの仕様では、それだけで何千万円も必要になってしまうため、トータルコストに大きく響いてしまう。

地下式建屋・サイロの例
(株式会社WBエナジーさんのホームページから引用)

一方、バイオマスが発展している欧州では、建屋・サイロは簡略的なつくりになっていることが多い。ボイラ室とサイロの間の隔壁を防火仕様にするなどの必要条件を満たせば、あとはかなり自由に設計される。サイロは基礎と腰壁程度程度はコンクリートとするにしても、壁は木製の板を組み合わせるなどの方法もよくみられる。

地上式建屋・サイロの例
(株式会社WBエナジーさんのホームページから引用)

上記の写真は、滋賀県に新たにできたチップボイラ施設。地元の職人さんがわずか二日間でサイロを完成させたから驚きだ。

先のイラストや写真のように、サイロを地上に設置しても、ホイールローダやフォークリフトを使用することで燃料投入が可能になる。ホイールローダは中古で300万円、フォークリフトは安いもので100万円程度入手可能であり、これらのマシーンを購入してもなお地下式よりもコストを抑えることができる。ただ、たしかに燃料投入に手間がかかってしまうため、価格と投入頻度を慎重に見極め仕様を考える必要がある。

ここで注意しなければならないのが、コストを抑えることを優先しサイロを極端に小さくしてしまうことだ。サイロが小さいということは、それだけ小まめに燃料投入をしなければならなくなるため、せっかく自動燃料供給システムがあるチップボイラでも、そこに労働力をかけていたら本末転倒になってしまう。


③架橋ポリエチレン菅を使用する

こちらも欧州から学ぶべき点だ。欧州では、温水用配管資材として架橋ポリエチレン菅(PEX)を使用している。PEXはカッターで簡単に切断ができ加工するのに大変優れている。建屋を小さくするためには配管をコンパクトにしなければならないため、加工がしやすいPEXはその点優秀なのだ。それと同時に施工時間がかなり短縮できることも大きなメリットになる。

架橋ポリエチレン菅

架橋ポリエチレン管を使用している様子

欧州で研修を受け、日本でバイオマスボイラ設置を数こなしているバイオマスマンが徳島にいる。その方曰く「PEXはボイラ配管ではなく、熱需要側に送る部分に使う」と指摘をいただいた。私は実際にボイラを導入したことがなく、まだ完全にこの部分を理解しきれていない。しっかり勉強した後、配管工事について詳しくまとめたいと思う!

それに対し、日本のボイラ用配管は鋼管が一般的である。価格もさることながら、鋼管は加工・施工に大幅な時間がかかり、その分費用がかさばってしまう。ちなみに、日本にもPEXは存在するが、最大径が限られることなどから床暖房などの最終熱需要での利用はともかく、ボイラ用の配管ではあまり用いられることはない。


以上、本日はバイオマスボイラ(チップボイラ対象)導入において、①ボイラ規模を小さくする、②建屋・サイロのつくりを簡単にする、③配管に架橋ポリエチレン管を使用する、の3つのケチり方を紹介した。しかしながら日本においてバイオマスエネルギーはまだまだ未成熟な業界であり、イノベーションを起こせそうなことは山ほどある。

まあ、焦らず、目の前の課題を一つずつクリアしていってvs化石燃料戦争に勝利したいと思うのであった。本日はこのあたりで、

ではまた。

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半田 守
1990生、京都府出身。6歳からレスリングをはじめ、網野高校卒業後、専修大学へ進学しレスリング大学日本一になる。2018年から岡山県西粟倉村に移住し
自然エネルギーの勉強をスタート。同時にレスリングウエアブランドMAMOを立上げ、現役選手にエールを送り続けている。
MAMO:https://www.mamo-wrestling.com/
twitter:@handamamoru
note:”仕事つくる”をテーマに連載中!

読んでいただきありがとうございました。
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