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仕事つくる#8 薪工場2.0へ(上巻)

やあ、私です。
今住んでいる西粟倉村のすぐそばに、宮本武蔵という駅があります。というのもお隣の美作市は宮本武蔵生誕の地であるからです。
武蔵の話として有名なのが巌流島の戦いですが、決戦にあたり、武蔵は日本刀ではなく舟の櫓を削って木刀をこしらえたそうです。なぜそんなもので勝負したかというと、決戦の相手である佐々木小次郎の刀が90cmと常識はずれに長い刀であるため、いつも通りの愛刀では勝ち目がないと判断し、それよりも長くて軽い木刀をこしらえたのだそうな。

戦略家の武蔵にしてはちょっと強引なエピソードのような気もしますな。

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さて、本日から数日かけて薪工場をアップデートするにはどうすればよいかを考えてみようと思う。これを考察するにあたって、何が課題になっているかをまず洗い出しておく必要がある。


現状の課題

課題としては大きく3つがあげられる。

1)支出における人件費の圧迫
2)夏場の仕事量が少ない
3)燃料の乾燥問題
4)燃料を投入するために石油を使っていること

順をおって状況を説明していこう。

1)支出における人件費の圧迫
薪工場では、1年を通しておよそ1,000万円の支出が発生している。そのうち5割が仕入れ原木代、4割が人件費、残りの1割が雑費といったところだ。最も割合の高い仕入れ原木代については、課題3)であげている乾燥問題をクリアすることで少しは減少させることができるが、仕入れ価格が周りのバイオマス発電業者との比較になってしまうため、現状の6,000円/tを値切ることは難しい。したがって、次に割合の高い人件費の部分に焦点を当てることが支出削減の課題となってくる。

人件費を下げるために考えられる方法は2つ。一つは工員の給料を下げることで、もう一つは生産性を高めることだ。前者の方は、やろうと思えばすぐにでもできることであるが、現在働かれている3名の先輩方は本当に一生懸命仕事に従事されていて、なおかつ重機操縦などのスキルが高いので、そんなことは到底できない。となると生産性を上げることの一択になる。

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2018年2月の薪工場のみなさん(現在は3名+私)


玉切り台の設置

そのために一つのアイディアがある。それは玉切りと薪割りの一体化だ。そもそも今はどのように薪をつくっているかというと、4mの原木をフォークリフトですくいあげ、それを2〜3人掛かりでチェーンソーで1m丸太にカットしている。そして、その1m丸太を人力で整頓し、フォークリフトを使って玉切り代にのせている。

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この方法は人手がかかるのと、それから人力で1m丸太を整頓しなければならないため、腰に負担がかかってしまう。実際に腰に不調をきたして志半ばでさられた先輩方も少なくない。

この玉切りと薪割りの作業を効率化するために、これらのプロセスを一体化をすることができる台(以下 玉切り台)をつくりたいと思っている。実は玉切り台のアイディアは私が考えたものではなく役場のエネルギー担当の方がずっと唱えられてきたものなのだが、なかなか完成形をイメージすることができなかった。しかし最近になり実際に導入している工場を見つけることができた。以下は青森県西目屋村にある薪工場で開発された玉切り台である。

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4m丸太を重機を使って台にのせ、レールで丸太をスライド、そこでチェーンソーを入れて1mになった丸太が玉切り台の前まで転がるようになっている。素晴らし過ぎるではないか。この台については西目屋村の工場を運営されている社長に教えていただいた。本当に感謝しなければならない。

玉切り台を図面に起こしてみるとこんな感じになるか。

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これは私の頭の中で組み立てたものなので、長さや角度、それぞれの台の作り方に関しては工作の際に微調整が必要である。そして、ここで紹介しておきたいのは、薪工場のスタッフの工作スペックがすこぶる高いということだ(笑)。薪工場では現在大工上がりの職人さん、なぜか溶接ができる農家、現場仕事40年のベテランが勤務されている。何もできないのは私くらいなものだ。したがってこういったものは、これまで全て手作りで作り上げてきた集団なのだ。

この台は4月中の完成を目標に工作を進めていきたい。うまくいけば人件費の3/4は削減できるとふんでいる。それから、腰にかかる負担も相当減るだろう。

と、本日はこの辺で、

中巻へつづく。

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