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仕事つくる#32 「役に立つ」より「意味のある」モノを届けたい

こんにちは。

私は今、岡山県西粟倉村という中山間地域に住んでいて、全く異なる2つの仕事をしている。一つは木質資源を利用したエネルギー循環をつくる仕事。もう一つはレスリングウエアの企画・販売だ。前者はバイオマスエネルギー会社の(株)sonrakuに所属しながら、後者は個人事業として営んでいる。

私がバイオマスエネルギー業界に飛び込んだ理由は、使われていない資源を有効活用する仕組みに興味を持ったからだ。前職ではアニメやミュージシャンなどのエンタメグッズをOEM生産する商社の営業をしていたが、数字を追い求めるほどに不良品が発生し大量破棄される現実に首を傾げるようになった。一方、バイオマスは林業を進める中で必ず発生する間伐材を熱源利用する発想であり、これまでやってきた仕事とは真逆の流れを組む。加えて、熱源を代表する石油資源はあと100年で枯渇するとされていて、地球の貯金を自分たちの代で使い果たしてしまう申し訳なさが転職・移住の動機であったと記憶している。

そして、もう一つのレスリングウエアの企画・販売の仕事を始めた理由は、恥ずかしい話だが満足できる収入がなかったから、小銭稼ぎとしてできることをやってみたのが本音だ。当時は問題意識もビジョンもあったものではない。ただ、どうせやるなら本物をつくりたいという気持ちが現れ、改善改善の末今に至る。

さて、私の話はさておきここからはこれからの時代どういった人間が必要とされるか。そして自分は何をしていくべきかについて書いていきたい。教材は「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式(山口周 著)」だ。

山口さんがいうニュータイプとは「問題を発見し、意味を創出する能力」のある人間。反対に「問題を解決し、モノを作り出す能力」のある人間をオールドタイプと呼んでいる。これからの時代に求められるのはニュータイプなのだが、21世紀はすでに物質的なニーズや不満があらかた解消されてしまった状態で「問題」自体が希少化している社会であり、だからこそ「問題」を発見できる人間に価値が集中するという理論になる。わかりやすくいうと、幕末であれば外国から日本を守るという明確なミッションがあった。昭和の時代であれば経済を急速に発展させ国を豊かにするというミッションがあった。それらを解決できる人間が求められたわけだ。しかし、現代はそういった根本的な問題が解決され、問題そのものが見えづらくなっている。

そう、見えづらくなっているだけで、問題はちゃんと残っている。

問題解決の世界では、「問題」を「望ましい状態と現在の状況が一致していない状況」と定義する。「望ましい状態」と「現在の状態」に「差分」があること、これを「問題」として確定するということになる。したがって「望ましい状態」が定義できない場合、そもそも問題を明確に定義することもできないということになる(P43よりほぼ引用)。

では、どうやったら望ましい状態を明確にできるのか。それは今で起こっていることを知ることから始めなければならない。差別、紛争、地球温暖化、エネルギー、格差社会等々。思い浮かべただけでも地球上には「問題」が山積みの状態だ。大方SDGsに集約されているけども。

言い換えれば、オールドタイプの人間が問題を想像せずに生産性だけを追い求めてきた結果が新たな問題を作り出していると言える。はたまた、そんな遠くを見ずとも目を凝らしたならば目の前にだってたくさん問題が存在する。まずは現代社会をしっかりと把握すること、そのために情報収集を徹底することから全ては始まる。そして今が理解できてはじめて「こんな未来をつくりたい」という思いが生まれる。それが「ビジョン」なのだ。

余談。Appleの創業者のスティーブ・ジョブズは、移動の時には必ず10冊の本を持ち歩いたという。「improve the lives of millions of people through technology(テクノロジーを介して何百万人もの人の生活を変える)」これはAppleのビジョンだが、膨大な知識から生まれた洗練されたメッセージだったからこそ、人々の心を捉えた。

はてさて、今の私はどうか。まだまだなんとなく生きてしまっている。数年後の目標を聞かれても数字でしか語れない有様だ。これはアスリートのメリットでありデメリットでもあると考える。アスリートはわかりやすい課題をクリアしていくことに非常に長けている。日本一と掲げたのであればそれに向かってまっすぐに努力した人間が勝利するからだ。しかし、前述した通りこれからの時代は「問題」を一から見つけていく人間が必要とされる。

私はようやくそのことに気がついた。

上記を踏まえて、冒頭で書いた2つの仕事に注力することは非常に意味があると最近思えてきたのだ。環境・エネルギー・地方などの問題について情報収集を徹底したならば今の仕事の延長線上に目指すべき未来が明確化されてくるはずだ。引っかかるものがあったから今村に住んでいる。そして、自分の商品があるということはメッセージを届けられるツールを持っているということ。腹の底から創造したい未来が描けたならば、その思いを商品にのせてみたい。

「役に立つ」より「意味のある」モノを届けたいのである。うまく言えないがこういうイメージ。

そのためにも、まずは今を知ることからはじめよう。

では、また

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半田 守
1990生、京都府出身。6歳からレスリングをはじめ、網野高校卒業後、専修大学へ進学しレスリング大学日本一になる。2018年から岡山県西粟倉村に移住し、自然エネルギーの勉強をスタート。同時にレスリングウエアブランドMAMOを立上げ、現役選手にエールを送り続けている。
MAMO:https://www.mamo-wrestling.com/
twitter:@handamamoru
note:”仕事つくる”をテーマに連載中!

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