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子供の本気が大人の本気

純粋

三日間の大会期間を終え、今日からいつも通りの生活へ。
大会に出場されていた高校生は、今日の部活動はオフだったのでしょうか?

僕の指導している高校は、柏崎高校の男女ハンドボール部。
彼ら彼女らは、今大会にスタッフとしていろいろとお手伝いをしてくれた。同時に、いくつもの全国レベルの試合を観ることが出来て、ハンドボーラーにとっては大きな収穫があったのではないか?と勝手に期待をしながら、今日の部活動へ。

驚いたのは、意識の変化だけでなく、彼ら自身「ハンドボールをやりたい!」という気持ちに溢れていたこと。ハンドボールそのもののスピード感も増していたし、シュートのパワフルさ、パスやキャッチの精度など様々なところでハンドボールをやれていることを嬉しそうに、楽しそうにやっていた。

実際、「どんな変化があるのかな?」と期待をしていたが、その一方で「何も変化が見られなかったらどうしよう」と不安にも思っていた。

あー、なんて純粋なんだ。

目が輝いていた。生き生きとしていた。
そういう姿を見たら、自分自身も嬉しくなり生き生きと指導できたと思う。子どもの意欲に、僕が頑張って応えていかなければ!!


意欲を引き出す→応える

子どもを本気にさせるようなことを言っておいて、いざ本気になったら「ごめんね、それはできないんだ!」と言う。

こんな大人がいる。

もちろん子どもを本気にさせるような言葉かけだったり、動機付けは必要だったりする。 でも、子どもの本気に大人も本気で応えなくてはならないと思う。

ハンドボールの指導をしていると、やっぱり自分も人間だからエゴが出ちゃうし、子どもたちよりも自分が勝ちたい、勝たせたいって思って先行してしまう。そんなんでついつい怒鳴ってしまったり、ついついキツイ言葉を言ってしまう。

そもそも指導者のスタートは、チームの目標や個人の目標に向かって本気で取り組ませることができるかどうか。

意欲を引き出す。

だから、本気で勝ちたいとか強くなりたいって思えるような言葉かけを心掛けなければいけない。ついつい過剰表現をしてしまう自分は、果たして促すような言葉かけができているか日々反省する。

子どもたちが本気になっているのであれば、その想いに応えてあげるのも指導者の責任。本気で勝ちたいと思ってるのに、勝たせられない指導者が「勝ち負けだけが全てじゃない!」なんて一方的に決めつけたりするのも何か違うと思う。それは本気で「勝ちたい!」と思った子どもたちが本気で頑張った結果、勝利以上に大切なものを学び取り、彼ら自身が決めることだ!

子どもたちの本気に応えるためにも、小手先ではなく、口先だけではなく、指導者は本気でインプットし続けなければならないと思う。

指導者の質というか、指導者の技量がどんどん上がっていくのも、やっぱり競技者人口に比例するんじゃないかな、と。だって競争率が高ければ、中途半端では当然勝てない。でも、新潟県にだって尊敬できる人間性を兼ね揃えていて、本気な指導をしている素晴らしい先生もいる。

その少数な先生のように、子どもたちの本気な想いに応えようとしている指導者は、やっぱり新潟県にはまだまだ少ないんだろうな、、、


問題を“問題”として認識する

競技者人口が少ない、指導者が少ない、こういう問題は新潟県の中にたくさんある。今すぐに取りかかることのできる問題から、なかなかすぐには解決しそうもない問題まで様々。

そんな中、先日こんなことがあった。

1人の女子中学生が“本気”になった。ハンドボールが好きで好きでたまらないから、本気の“本気”になった。この“本気”に応えるのは「誰ですか?」という問題。この問題を“問題”として認識できていないのは、そこに関わるスタッフの本気さが足りないのでは?と疑問に思う。

彼女は、小学生からハンドボールを始めハンドボールが好きになった。だから、中学にハンドボール部がなくてもハンドボールを続けたいと願い、現に続けている。また、仲間もいた。ハンドボールという競技を通じてできた小学生からの友達、同志だ。

彼女たち3人の同志は、試合もまともにすることもできず、いつしか大会に出れることを夢見た。だから、ハンドボールを続けた。

「もっとハンドボールがしたい!」と願ったから、ハンドボールのできる環境を自ら求め「高校生と一緒に、高校の部活に行かせてください!」とまで僕に志願してきた。そんな意欲ある女子ハンドボーラーが新潟県にもいたことに驚きだったし、実際意欲的な女子中学生3人が加わることによって高校生にも刺激があった。

彼女たち3人は新潟県の宝です。

実際、僕はそう言い続けてきた。

新潟県の女子ハンドボールチームなんて存在しない。高校にもたったの4校しかない。その高校生の全てが高校からハンドボールを始めている。そんな中、小学生からハンドボールを始め、その楽しさに魅了され、もっとやりたい!試合をしたい!だから練習したい!大会に出たい!そんな意欲に溢れている彼女たちは、新潟県のハンドボール界にとっては宝以外に他ない。

そう感じた僕も本気で向き合う。

高校の練習はいつでも来なさい!と少しでも練習できる環境を彼女たちのために用意している。そして待っている。

新潟県の中学生から社会人までの全カテゴリーをごちゃまぜにして争う県内大会では、人数が揃わず試合を棄権するとの判断が下されそうになったとき、「それなら僕が指導している高校で一緒に出場させてやってください」と談判した。

別に、周りのスタッフや大人を否定するつもりもないし、自分だけを肯定するつもりもない。だけどはっきり思う。

彼女たちの本気にどれだけ本気な大人がいるんですか?

もうすぐ春の全国中学生大会が富山県氷見市で開催される。昨年、新潟県の男子中学生チームは人数が揃わず6人しかいなかったが、彼らの経験のため出場した。

だから、誰かが言った。「女子も6人集めれば春の全国に出場できるよ」と。本気である女子中学生にそう言った。

そのうち1人は、もっと本気になってメンバー集めに奔走した。結果、集まった。でも、出された決断は出場しないということ。

それまでの過程において、確かに問題はあったのかもしれない。でも、その問題に気付けていれば未然に防げたことばかり。一つ分かったことは、誰1人として彼女たちの本気に向き合おうとしていない。

当然、大会に遠征するのは多くの協力が必要だし、簡単ではない。

でも、皆さんが“問題”として認識せず向き合えていないのは大人の都合で子どもの本気を踏みにじっているということ。


だから“動機”なんて何でもいいじゃないか!

彼女が集めた即席メンバーは、みんなそれぞれ学校の部活動に所属している。だから、ハンドボールだけというわけにはいかない。大会のためだけに集められたメンバーだとしても、それを機にハンドボールが好きになるかもしれないじゃないか!

「大会目的の子はダメだ!」と聞いた。

じゃあどうやって集めるのか?その問題は棚上げして、自分たちの都合しか振りかざせないのは絶対に違う。

彼女たちの本気に応えるのであれば、まずは“問題がある”ということを速やかに認識して改善する努力をすること。すぐにできることは多々ある。

それこそ、“できるできない”ではなく“すべき”であるということ。

ここに書いてあることは全てじゃないし、もっともっといろんな過程がある。でも、とにかく伝えたいことは「彼女たちが本気である」ということ。その本気に、大人が本気になって応えるべき。

最後に、少し新潟県のこれからについて。
そんな中でも若手中心に、新潟ハンドボールの未来を考えているグループがある。

このメンバーも中学生スタッフや小学生スタッフになっている。

本気を見せてほしい。

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