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#4 好きな家事はなんですか?

 そう聞かれたら、私だったら「料理と洗濯」と答える。逆にあまり好きじゃないのは掃除。片づけは面倒くさいけれどやり始めれば楽しいのだけれど、掃き掃除や拭き掃除みたいなものがあまり好きじゃない気がする。ただ、始めるととことんキレイにしたくなって、一日中ゴシゴシやってしまったこともないわけではない。

 今、私は時間的精神的に余裕があるときには好きなように料理をし、時間がなくてもそれなりに適当に料理をし、必要があれば洗濯したり、ちょっと掃除機をかけておいたりクイックルワイパーで台所をささっと拭いたりはするけれど、基本的には家事をメインで担当するのはアルさんということになっているので、ほとんどのことはアルさんがやっておいてくれる。

 アルさんの好きな家事はなんだろうか?きれい好きだし視力がいいから掃除が得意だと本人が言っていたのは聞いたことがあるけれど、特別に好きだとは言っていなかった気がする。それでも、こまめに掃除機をかけるし、シンクや洗面台の掃除は定期的にしておいてくれるし、ゴミ収集日前日の夜には必ず家中のゴミ箱をきれいにしてまとめている。ペットボトルや瓶、缶などもきれいにあらって「リサイクルごみ用ゴミ箱」に入れておいて貯まってくるとスーパーの回収ボックスやリサイクルごみ収集日に出しに行く。

 「誰かがやらないといけないから」「えまさんは(外の)仕事があるから」とアルさんは言うのだけれど、一つだけ、アルさんが確実に私のため(だけ)にやっていることがある。私の帰宅の遅い日の夕飯の準備だ。

 私は料理が好きだが、それ以上に食べることも好きなので、空腹で帰宅するとご飯が用意されているというのはとてもありがたい。肉か魚のメインに野菜類、汁物などと揃っているととても嬉しい。アルさんはそれを知っているので、色々とレシピを調べたりしながら、だいたい3品くらい用意して待っていてくれる。職場にお弁当を持って行くので、余ったときは翌日のお弁当用にもなる(同じ料理でもお弁当で食べるとまた違った美味しさがあるので最初からお弁当用に取り分けでおくこともある)。

 しかし、アルさん自身はあまり食べることに関心がない。美味しいものが好きだし、好物もある(鶏の唐揚げとか)けれど、知的好奇心を満たすことが最も好きなので、食事に関しては基本的には「お腹がいっぱいになればいい」スタンスらしく、ひとりのときはごく簡単に済ませている。これについてはアルさん本人に聞いてみたのだが、「えまさんのために料理してる、自分のためにやる気しない」という回答で、私を喜ばせるためだけに料理をしているということがわかったのだが、それなのに「味が濃いなぁ」「全体的に茶色いね」などと注文ばかりつけられたらたまにはキレるわな、と反省しつつも今日も「器の選択を間違っている…」と発言しているので我ながらダメすぎ。

 「夕方にいっぺんに作るの大変だし、昼間に大量に作っておけば?」「自分の分だけなら万一失敗しても私になにか言われないし、昼にあれこれ新たな料理とか試してみたら?」と言ってみたこともあるのだけれど、食べることに関心ありまくりの私でも昼間に読書とかしているときに「あ、お弁当用副菜を作り置きしておかないとな…」と思うと面倒くさくなることがないわけではない。ましてや、関心が別のところにあるひとにそれを軽くオススメするのはどうなのか、という話である。

 主夫ブログで発信している男性たちは「こんな料理を作ったよ!」と元気よく紹介してくれていたり、「子供とこんなことをしました」と情報共有してくれたり、基本的には主夫の仕事に適性を見いだして、その工夫しがいであったり、アイディアを発信しているという印象を持っているのだけれど、専業主婦・主夫であっても必ずしも「家事における創意工夫にやりがいを感じる」とは限らない。特に性別役割分担によって、女性が家事をするものとなんとなく思って(思わされて)主婦になった女性にとって、家事は創意工夫をこらしてみたい課題ではなく、ただこなさなければいけないノルマみたいなものなんじゃないだろうか?

 「専業主婦なんだから当たり前」「賃労働だって好きなことだけやっているわけじゃない」というひとがいる。なるほど、専業主婦が家事をすることは当たり前かもしれない。でも、だからってそれが得意であるとは限らないし、適性があるかどうかは別問題だし、「やりがい」を感じられるかもまた別の問題。賃労働には少なくとも「給料」という明確な報酬がある。気の向かないことでも嫌なことでも苦手なことでも「お金のため」と思って乗り切ることが可能なことは多い。しかし、家事には明確な報酬がないし、エンドレスで終わりが見えない。嫌なことでもいつ終わるのかわかれば見通しが立つし、「もう少しの辛抱」と思うこともできるが、家事にはそれがない。

 そのことは忘れないようにしておきたい。

to be continued...


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