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FedTherapist: Mental Health Monitoring with User-Generated Linguistic Expressions on Smartphones via Federated Learning

  1. 本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」は、精神障害の診断を言語使用によって行う精神科医の方法を活用した、プライバシーを保護しながらの患者の精神状態モニタリングシステムの開発です。既存のモニタリングシステムでは、モバイルデバイスを通じてのアクティビティやアプリの使用状況、位置情報などの代替特徴量が使用されていますが、本研究ではフェデレーテッドラーニングを用いて、連続的な音声とキーボード入力をプライバシーを保護しながら活用するシステムの構築を目指しています。

  2. 本研究の目的は、フェデレーテッドラーニングを用いたプライバシー保護型の精神状態モニタリングシステムであるFedTherapistの開発です。このシステムは、患者が生成したテキストデータ(音声やキーボード入力)を活用し、モデルの訓練を分散させることでプライバシーを保護します。また、複数のモデルデザインを比較して最適な設計を探求し、スマートフォン上での言語モデル訓練の複雑さを克服することも目指しています。

  3. 本研究では、スマートフォンを活用した精神状態モニタリングの研究動向を概観しています。これまでの研究では、電話の利用パターンや位置情報、アクティビティなどの特徴量を使用してきましたが、これらは精神科医が患者との対話を通じて精神障害を診断する方法とは異なります。本研究では、スマートフォンユーザーのテキストデータを分析することが理想的であると述べており、そのためには大量でノイズの多いテキストを効果的に活用する方法が必要です。

  4. 本研究では、FedTherapistの設計とモデルの性能を評価しました。46人の参加者を対象に、自己申告のうつ病、ストレス、不安、気分の予測精度を評価しました。その結果、非言語的特徴量と比較して、FedTherapistは0.15 AUROCの改善と8.21%のMAE(平均絶対誤差)の削減を実現しました。また、フェデレーテッドラーニングによってプライバシーを保護しながら、連続的な音声とキーボード入力を活用した精神状態モニタリングが可能であることも明らかにしました。

  5. 本研究の有効性は、46人の参加者を対象に行った評価によって検証されました。FedTherapistは、患者の自己申告に基づくうつ病、ストレス、不安、気分の予測精度が非言語的特徴量よりも高いことが示されました。これにより、FedTherapistが実際の精神状態モニタリングにおいて有用であることが示されました。

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