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インドに「カレー」は無い。

これが結論であり、またすべてのはじまりである。

インドにカレーは無い。億万通りあるスパイスと具材、出汁の組み合わせ。私たちは、それらをすべてひとくくりにして「カレー」と呼んでしまっているのである。

"カレー(Curry)の語源としては、各種スパイスで具材を煮込んだ汁状のもの、即ちインドのタミール語のソースの意のカリ(Kari)から転じたという説や「香り高いもの」、「美味しいもの」という意味で使われるヒンズー語の「ターカリー」(Turcarri)から「ターリ」(Turri)に転じ、英名になったという説やその他の説があります。いずれにしても、インドを中心とした熱帯、亜熱帯地方でのスパイシーな料理を総称して英語で《カレー》と呼ぶようになったものです。"

(全日本カレー工業協同組合http://www.curry.or.jp/whats/index.html)

要するに、肉じゃが、筑前煮、おでんなんかを「ごった煮」みたいな感じで全部まとめちゃうような横暴ぶりなのである。

インド国内だけにおいても、カレーの特徴は地域によってまるで違う。とりあえず大雑把に言うと、北は乳製品や肉来が中心の小麦食で、南は野菜中心の米食だ。一般的に私たちが「インドカレー」と聞いて想像する、濃厚なカレーとナンの組み合わせは北インドのもので、南とはかなり違ったものなのだ。

カレーとは。お母さんのバーモンドカレーを思い出して涙する人も、ココイチの激辛を思い浮かべて涙する人もいるだろう。インドカレー屋でしか味わえないスパイスカレーに舌鼓を打ち、ジャズバーで欧風カレーを味わいながら音楽に耳を傾ける。インドという異国の地発祥の料理が、なぜこんなにも日本に根付き、多彩なバリエーションをふるっているのか。

カレーほど、本能と知的好奇心を刺激する食べものは他にないと言って良いだろう。これからも、カレーの沼にどんどん潜り込んでいくのみなのである。

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