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スピッツが全部同じ曲に聞こえる問題

X(旧ツイッター)を見ていると、たまにスピッツが全部同じ曲に聞こえるという投稿を見ることがある。
これを「スピッツが全部同じ曲に聞こえる問題」と呼ぼう。
ちなみにわたしはガチファンです。
奥さんとの出会いもスピッツなくらい人生を持っていかれています。
わたしはロックファンなので、好きなバンドはたくさんいますが、スピッツは、嫌いな曲がない、すべてのアルバムで曲を飛ばさず聴ける、という、唯一無二の属性があります。
こういうことは本当に稀だと思います。
好きなバンドでも合わない曲はあるでしょ? アルバム聴いてたら何曲か飛ばすでしょ?
スピッツはわたしにとって本当にすごいです。
惰性で新曲を聞いているバンドが多いなか、今でも新作を心待ちにしている。想像もしない、すごい何かが出てくるんじゃないかと。
というわけで、わたしはスピッツの曲はすべて違う無二のものと認識している。
ん?
「スピッツが全部同じ曲に聞こえる問題」とのギャップがあり過ぎないか?
さすがに解明せずにいられない。

ひとつは、みんなが知っているヒット曲が同じテンポーーミディアムテンポーーだということが、原因かもしれない。
・空も飛べるはず(「空の飛び方」収録)
・ロビンソン(「ハチミツ」収録)
・チェリー(「インディゴ地平線」収録)
どれも同じくらいのテンポ、かつ、だいたい同じ曲構成です。
他には、マサムネ氏のボーカルにクセが少ないため、それが逆にオリジナルというかモノマネ芸人がいないくらい独自なのだけど、「似ている」印象を与えているのかもしれない。
もう少し音楽マニア感を出すと、わたしが知る限り、コード進行がシンプル、ギターもシンプルなのも、同じ感じの一因かもしれない。
さらにいえば、メンバーは本当に曲づくりにこだわっているのだけど、玄人のこだわりって素人に響かないじゃないですか。それも原因。
このままでは「スピッツが全部同じ曲に聞こえる」が正解になってしまうのだけど、わたしのような全部違う曲と認識している人間もいる。
逆に、なぜ?
本気を出さざるを得ない。

よくある説としては歌詞が挙げられるだろう。
普通ならなんとなく流してしまうところ、ファンは歌詞まで聞いている。
スピッツの歌詞は本当に独特だ。
あまりに独特すぎて、昔は適当に書いているのではないかと疑ったが、すべてに意味がある。意外な、含みがある。
たとえば、名曲「冷たい頬」の冷たい頬というのは、相手が死体だからじゃないかという説がある。
わたしはよく、スピッツをミスチルと比較してしまうのだけれど、ミスチルが太宰治だとしたら、スピッツは三島由紀夫だ。
たとえどれだけ難解でも、理解が及ばなくとも、そこには「論理」が積み重なっている。ロジックのオペラ、ロジックの大合唱。
そこには、天才が支配する論理がある。
しかし、「スピッツが全部同じ曲に聞こえる」問題の反論が歌詞だというのは、少々無理がある気がしている。
ふだん聞いているぶんには、そんなに歌詞を意識しないしね。
スピッツが全部同じ曲に聞こえる/全部違う曲に聞こえる、の主観的圧倒的差異は、聞き手がスピッツの曲の幅をどれだけ知っているかが影響しているのではないだろうか?
・空も飛べるはず
・ロビンソン
・チェリー
だけを聴いていたら、すべてがこの感じに思えるだろうし、音楽の幅を知っているほど、あえての「この感じね」になるはずなのである。

上記の有名曲以外のバリエーションを分類してみよう。

ヘヴィ&ロック
「8823(「ハヤブサ」収録)」がファンのあいだのロック有名曲です。
他には、B面の名曲「三日月ロックその3(「おるたな」収録)」もロック。
3rdアルバム「惑星のかけら」は全体的にダーク&ヘヴィなのだけど、タイトルトラックの「惑星のかけら」はその中でも重たい。

お祭りソング
最近はアルバムに絶対1曲入っています。
ぜんぶいい曲。スピッツのお祭りソングを聴かないのは音楽ライフを損してます。
「潮騒ちゃん(「小さな生き物」収録)」
「野生のポルカ(「小さな生き物」収録)」とか。

マイナー調の曲
そんなに多くはないのだけど、マイナー調の曲を聴くと、非常に印象が違ってくると思います。
アルバム「三日月ロック」は1曲目、2曲目がそうだからか、マイナー調の印象がある。独自にして、1位、2位を争う名盤。
「夜を駆ける」
「水色の街」

本気のバラード
「楓(「フェイクファー」収録)」が有名だと思うけど、本気バラードはどのアルバムにもあって、いい曲ばかりだ。
選びきれないけど、こいつらは絶対気に入ってくれると思う。
「猫ちぐら(アルバム未収録)」
「初夏の日(「見っけ」収録)」

ニューテイスト
あきらかに冒険している曲。ベテランなのに、えらいよな。これらもファンから評価高し。
「新月(「小さな生き物」収録)」
「ヒビスクス(「醒めない」収録)」
「未来未来(「ひみつスタジオ」収録)」民謡をサンプリングしています。マドマギの曲みたいです。

ミックス
彼らの要素を掛け合わせた曲。
「ありがとさん(「見っけ」収録)」前半はヘヴィなのに、後半はスピッツらしいポップス。
「けもの道(「三日月ロック」収録)」彼らなりのやり方でブルーハーツを超えたのだ。わたしはそう思っている。

これらのバリエーションを聴いたあとの、例の有名曲たち、
そして、その系譜を継ぐ王道ソング、
「スカーレット(「フェイクファー」収録)」の威力は半端ないぞ。

この記事を読み、ありがたくもいくつか曲を聴いてもらったうえで、スピッツが全部同じ曲に聞こえるか、すべてがまったく違う曲に聞こえるか、

みんなはどうだろう?


スピッツ記事第2弾


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