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自転車の乗り方

ダメな時期を過ごしていた。
世界の終わりみたいなやつ。
でも世界は終わってくれない、ということに
ばかみたいに絶望するやつ。
自分のまわりだけぼんやりと、負のオーラをまとう
人が死んだときとか、恋人と別れたときに似ている
自分だけ、なんだかそうなんだ。
世界は明るくて、何も関係ないんだ。

そういう時期というのは、おとなになるにつれて減ってきたし、
極端なものはなくなればいい、と思うし
こんな気持ちは久しぶりだなあ、と手探りだったけど
ふらり、とこうしてやっぱり帰ってきてしまう。

今では笑えるけど、手探りの時期は苦しい。
でもなんとか浮上するために、と思って
わたしがしたことといえば、

掃除に洗濯に、換気をすること
ゆっくりとコーヒーをペーパードリップして
とにかくたくさん眠る、起きる時間を減らす
たまには丁寧にネイルを塗ってみる、たくさん歩いてみる

今回は思いつきで、ソシャゲをはじめた。
ゲームって大好きなんだけど、寝ても覚めても君のことしか考えられない
みたいになるので絶っていて、
いまは、ポケモンGOのみだったんだけど
大好きなダンまちのソシャゲをはじめてしまった。
いまは寝ても覚めてもベルくんのことを考えているし、
(わたしのパーティーはフィンが最強なんだけど、フィンがイケメンすぎる)
やっぱり冒険に出ると元気になる気がする。

散歩のついでに、慣れない街を歩いて、知らないお店に行って
今日は初めてのコーヒー屋さんにきた。
昨日、こっそり下見をした。
下見のときは、営業時間と、コーヒーの値段と、喫煙席の有無を見る。
ここは、夜遅くまでやっていてコーヒーも安くて、喫煙席もあって、文句がなかった。

新しい場所でそわそわしながら、
いつものタバコを吸って、
慣れ親しんだポケモンの手帳を開いて、
いつもの友達に葉書を書く。
先月、バラ園に行ったときに撮ってもらった写真のポストカードで。

毎日ブログを書くというのも、弱って容易くやめてしまった。
やっぱり、毎日っていうのは性に合わない。

このあいだ会社の勉強会で、上司が言っていた。
「あれもこれもとやろうとしたら、ひとつも覚えてもらえなかった」
「だから、食事のあとにデザートはいりますか?という質問をしろということだけ徹底した」
「それが徹底されたら、次のことを教えた」
「自転車の乗り方を覚えたら、それを決して忘れないのと同じだ」

わたしは自転車の乗り方を覚えるように、
こうしてiPadに向き合うことを覚えて
もし、ふらっとどこかに行っても帰って来られるように
きっと、そういう風になりたかっただけなんだと思う

そうして、目論見通りわたしは帰ってきた。

別に何かを手に入れたり失ったり
そういう目新しいことは何もないんだけれど、
きっとこれでいいのだと思う。

わたしは変わらないな、と思う。
いまはそれでいいや、と思う。

こうして元気にタイピングをしていたりすると、
尊敬している友人のあの言葉を思い出すのだ。

「おまえは、決して走り続けない。
でも、決して走るのをやめないことを尊敬している」

これがわたしの走り方だったり、自転車の乗り方なんだろう。
自転車を蹴っ飛ばしたりしながら、
やっぱり帰ってきてしまうような、

いまはそれでいいや、と思う。

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