buddha_statues_アートボード_1_のコピー_5

仏像よ こんにちは。

昨年末、生まれてはじめて仏像を入手しました。

仏像というより、サイズ感や軽さなどがフィギュアっぽくて、身近な感じがして愛らしい。

早速、父の四十九日法要のときにお寺さんに見せると「とてもいいお大師さんですね」と褒めていただいたものの、「でも沓(くつ)がありませんね。沓がないとお大師さんがお出かけになれないので仏具店に確認してみてください。必ず仏像に沓が付いているはずですから」とご指摘を受け、お店に確認すると「このサイズには付いていないんです」とのお返事。

それまでは私自身、他の置物と同じように思っていたのに、「沓がないとお大師さんが全国行脚に出かけられない」と想像するとなぜかとても落ち着かず、お大師さんに申し訳ないような気がしてきて、とりあえず手近にあった割り箸を使い、彫刻刀で削って絵の具で着彩して自分で沓をつくって像に添え置いてみたところ、不思議としっくりきて安心したのです。

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約三年前に母が他界してから毎日仏壇の前で手を合わせてはいたし、もともと三十三間堂や東寺を拝観するのは何となく好きだったけれど、この時から仏像を見る見方が少し変わったのかもしれません。

とはいえ仏像ブームや御朱印巡り人気には無縁だった私。知識がほぼゼロなので、仏像にはどんな種類があるのかを本などで調べてざっくりまとめてみました。

1.如来

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手ぶりや指の曲げ方(印相)は、ここに載せたもの以外にもあり、阿弥陀如来の印相は9種あり実に表現豊か。

右下に「他に」と挙げたうちの(毘)盧遮那仏(びるしゃなぶつ)は、人間シッダールタが修行して悟りの境地にたどり着いてブッダになるまでに、支え導いた先覚者で「如来の上の如来」とされ、仏像では釈迦と同じ姿ではありつつ、その存在の大きさを示すように東大寺の大仏になっているとか。その大仏さんより大きく、すべてのほとけを統一する(大日経の教義では)とされるのが大日如来さんということらしいです。

2.菩薩

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絵を描くときに、如来に比べて装飾が多く持ち物や衣服も複雑で、気が遠くなりそうなのが菩薩部の方々です。中でも観音様は人々の悩みや願いに合わせて変化して様々なお姿になってこられたのだそうで、千手観音はその全部を盛り込んだ極限のお姿だとか。なるほど、三十三間堂に行って千手観音を眺めると心が落ち着き元気が出てくるのは、そういうことだったのか。

3.その他の菩薩

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単独では置かれない(観音菩薩を除く)が、とても有名な方々。印相(手の形)だけではどの如来か区別がつかない場合でも、左右に付き従う脇侍から中尊(中央の如来)が分かることもあるとか。

ちなみに2に載せた普賢・文殊菩薩は釈迦如来の脇侍で三尊像になるのが原則だけれど、次の「天部」で紹介する梵天・帝釈天が脇侍になることも。

4.明王、天部

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如来に比べて菩薩には装飾類や持ち物が多くて戸惑ったのですが、さらに心をくじけさせるのは、明王部と天部のメンバーの多さと表現の難しさ。特に明王部の厳しく複雑なお姿や十二神将の間違い探し的なお姿に目がしょぼついてしまって。端折って一部だけ載せました。とはいえ、天部には仏像界のイケメン軍団や郷土玩具でもおなじみの七福神がおられるので楽しい。多聞天と毘沙門天は同一神だと思い出したり、父が昔仕事で描いていた女性の絵、あれは誰なのだろうと思っていた美女が、「あれは吉祥天だったのか」と今回その特徴を知ってやっと分かったり。

阿修羅を天部に入れるかどうかは参考書籍によって扱いが違い、如来部(釈迦の眷属)にカテゴライズされているものもありました。

5.その他

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私が入手したお大師さんの仏像はこの、「祖師」像だったのですね。

ざっくりで間違いが多いかもしれませんが、ほんの少しだけ仏教の世界に近づいた気がします。

その証拠に、この「まとめ」を終えた後で母の箪笥に残されていた四国八十八ヶ所の『御本尊御影保存帳』を久しぶりに開くと、最初に見たときよりもずっと親しみを覚えるのです。

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涅槃釈迦如来(弟子や菩薩などがいるのが分かる)

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象と獅子に乗っていることから、脇侍は文殊・普賢菩薩であること、そこから中尊は釈迦如来だと分かる。

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先ほどのものと似ているが、脇侍にいるのは日光・月光菩薩で、中尊は薬師如来(薬壺は手にしていないが)だと分かる。などなど…

そんなこんなで、調べものをして発見はあったものの、信仰心とはおよそ程遠い今日この頃。熱心にお遍路さんをしていた母も、おそらく全く仏教の知識なかったと思うんですが。まぁ、ひとまずは仏像との出会いが始まったということで。

*参考文献・資料:平凡社『仏像』清水真澄/池田書房『よくわかる仏像ハンドブック』/西東社『図解 仏像のみかた』佐藤知範/新人物往来社『仏像に恋して』真船きょうこ