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薬箱みたいな、本たち。

奥行きがあり、一段ごとの高さもある私の本棚。文庫本を置いたら上の空間がもったいないので、板を貼り合わせて仕切りを作って上段にも載せられるようにしたり、無印やアイリスオーヤマの書類ケースをブックスタンド代わりに配置したり、上の隙間にクリアファイルを載せたり、とにかく「死にスペース」が少なく済むよう長年改良を重ねてきたのですが、結局いつも、人様に見せられないようなごちゃごちゃ状態なのが常態です。

絵では割とすっきり描いていますが、実際には奥にもう一列本を置き、自分では選抜して泣く泣く減らしているつもりでも、引っ越すたびに業者の方から「本、かなり多いですね..」と絶句されるのは、仕事の資料用の図鑑的なものや、パソコン関連の書籍、絵本なども分厚く大きなものが多いせいかと..。棚の上には通販の配送の箱に用途別の資料(動物、花、ロゴ、シーズンアイテム、etc..)を保管したり、領収書をストックしたり、ともかく本棚兼雑貨置き場になっています。

仕事の関係のものはともかく、そばに置いておくことで、いざという時に自分の助けになっている本は、いつまで経っても手離せないものですね。

例えば国内外で災害や悲しい事故や事件が起こったと知った時や、世界で起こる紛争を解決する手立てがどこにもなく絶望的な気分になる時など、心が重くなった時に、開く本たち。(A)

仕事や人付き合いに行き詰まり(仕事の閑散期や繁忙期の両方のピークに特に陥る)、己の能力や性格を含めすべてに嫌気がさし、このままでいいのだろうか、どうにかしなければと、鬱屈して自分自分の迷路に入り込んだ時に開く本たち。(B)

旅に出たいのに時間がないとか、何か疲れがとれない時、ふと、ここでないどこかで別の人生を始めたらどうなるかなぁと、リセット願望が出てきた時に開く本たち。(C)

身近な人が亡くなったり、行き違ったまま疎遠になったりと、何か別れによって死を意識したり、心にぽっかり穴が空いた時に開く本たち。(D)

そんな具合に、何か自分が心細い時に薬なのか友達なのか、何か背中をさすってくれたり叱咤されるような、または脱力してほぐれるような効用があるのが本だと思います。他に眠れない時の本やイライラが収まらない時の本など..

ちなみに、本棚の前にある箱類には漫画(全巻揃ったもの)などが入っており、一気読みする時に箱ごと移動します。あと、寝る前には必ず何かを読まないと眠れないので寝室には本が溢れ、本棚は色をグラデーションにしたり高さを揃えていても、いつも歯抜け状態になったり順番が変わったりします。

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(Aの本の例)カート・ヴォネガット『国のない男』、マーク・トウェイン『不思議な少年』、マーセル・セロー『極北』、光瀬龍・萩尾望都『百億の昼と千億の夜』、星新一『午後の恐竜』、ヴィクトール E フランクル『夜と霧 新版』、いましろたかし『タコポン』など、ブラックユーモア、SF系も含めてペシミズムに浸る 

(Bの本の例)花輪和一『刑務所の中』、中崎タツヤ『じみへん』、蛭子能収『蛭子能収の人生日記』、水木しげる『ねずみ男の冒険』など、普段の価値観や世間体を忘れる気分になれる漫画を読む。

(Cの本の例)安部公房『砂の女』、吉村昭『遅れた時計』、村井康彦『出雲と大和』、横山光輝『三国志』など、失踪ものや暗めの旅気分もの、歴史ものや人が死にすぎる作品など(三国志)を。

(Dの本の例)杉浦日向子『百物語』他いろいろ、津村節子『遍路みち』他いろいろ、夏目漱石『こころ』、トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』『ムーミンパパ海へ』

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他に、体調や気分にかかわらず、いつでもどんな時でも読み返す本があります。疎遠になった友人からもらった本や、以前自分が携わった本など、過去と今をつなぐ「マイ遺物」のようなものもあります。とり立てて読書好きではない私ですが、やっぱり、本はいいなぁ。