おとなの読書感想文6

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎

映画化されたので読んでみました。伊坂幸太郎は大学生のころに好んで読んでいました。ほとんどの作品は読んでいる気がします。伊坂トリックは大好きなんですが、ほとんどの作品でガンガン人が死ぬのでそれが結構しんどいと思うことが増え、遠ざかっていました。マーベルのように伊坂ワールドで作中の人物が入り乱れるのは楽しいです。さて、本作ですが、あとがきにもあるように伊坂作品において人が死にません!だけど、伊坂さんの作風はがっつり詰め込まれていて読み応えがありました。こういうの書けるって作家の頭の中ってすごいなーと感心します。こういう作品も需要があるので今後もたまにでよいので読めると嬉しいです。

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

書店で立ち読みをしてすぐに「これは面白い」と感じました。実際読み始めるとすらすら読めて、それでいて進んだようでまだまだ先があったりして不思議な作品でした。主人公の奇特な家族関係がありながら本人はいたって落ち着いている。家族ってなんでしょうね。血のつながりはやはり強いとは思います。パートナーとなると所詮他人なので関係性の維持にはそれなりに努力が必要です。主人公の優子と森宮さんの関係も消極的な努力のもと成り立っている関係かと思います。でも努力なしの不和な家族よりよっぽど強いつながりをもっています。

『横道世之介』『続・横道世之介』吉田修一

映画化から随分時間が経っていますが、続編が出たので一気読みしました。人生とはわからないもので、たった一瞬の出会いと、ともに過ごした時間が後々思い出としてふと頭をよぎることがあります。あのときあいつがこう言ったんだよなとかって、他人の思い出の一片になった世之介の話です。大事件は起きませんが、長い人生の一瞬が振り返るときっかけだったりします。世之介の純真さが誰かの記憶に残る。自分の人生を振り返ったとき、やはり同じように今は関わりはないけれど一瞬に濃密な時間を過ごした仲間がいて、それって財産だなと思います。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?