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もとジャズ研おじさんのつぶやき

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譜面とかが出てこない記事だけ抜粋しています。 「セッションの歩き方」「アドリブのいろんな考え方やコツ」「練習法」「アマチュアジャズマンとしていろいろ考えたこと」などをつぶやいてい… もっと読む
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#jazz

USJ復活の立役者 森岡毅氏の本からジャズ界隈の性格類型を考察する(1)

苦しかったときの話をしようか この前USJ立て直しの森岡毅氏の本を読んだ。 社会人になる娘さんにあてて、親からのアドバイス、という体裁の本。 就職する娘に対し、先生が教えてくれない世の中の仕組みとか、自分の強みを見つける方法、戦略の立て方、それだけではなくて自分の経験や回顧録、ほろ苦い失敗談なども含む、若者どころか全世代のオトナに役立つ本だった。おすすめしたい。 その中で、自分の特性を「動詞」で考えよというアドバイスがあった。 自分の強み(特徴)を大まかに三つのタイ

列伝 その1〜J.J.Johnson

ジャズ・トロンボニストのなかでも燦然と輝くレジェンド、ジェイジェイジョンソン。 みなさん、J.J.のこと好き? 嫌いな人も、むしろ大好きな人もいるでしょうね。 わたし個人のJ. J. Johnson観は、何周か「好き」と「嫌い」を行ったり来たりした挙げ句、今では「尊敬しかない」に落ち着いています。 (長くジャズに親しんでいると、結局そうなる) ちなみにCecil McBeeというジャズ・ベーシストの名前を勝手にアパレルブランドにしたという事件がありましたが、では雑誌「J

ソロを「もりあげる」方法とは(3)

では、実際に「盛り上がり」を身につけるにはどうしたらいいか。 それには(2)の視点にそって「要素分解」し、他者のやり方を「解析」するといいでしょう。 盛り上がりを「要素分解」する (2)で概説したように、ソロの盛り上がりでは、複数のパラメータが複雑に変化します。そのパラメーターの変遷が、ソリストの個性といえましょう。 慣れるとソリストが複数の要素をコントロールしてソロを盛り上げてゆく様子が見えてきます。でもそれをしっかりと理解するのは時間と経験が必要ですし、それを自分で

ソロを「もり上げる」方法とは(2)

(1)では How、つまりどうやってソロを盛り上げるか、を述べました。 (2)ではWhat、つまりソロの盛り上がりとはなにか、を考察します。 そもそも「盛り上がり」とはなんでしょうか? 「もりあがり」とはなにか結論を言ってしまえば「盛り上がり」とはある種の「興奮」の表現。 もう少し正確に言えば「興奮」を示すことで聴衆を共感させて聴衆を興奮させること。これが音楽の「盛り上がり」の目的であると思われます。 ではそもそも「興奮」とはなんでしょうか? 今回は医学的な話になります

ソロを「もりあげる」方法とは(1)

以前に書いた文の中で「起承転結」「盛り上がり」といいました。 今回は「盛り上がり」について考察してみようと思います。 後半に盛り上がりを作る。では、どうやって盛り上げたらいいのか? 後半に向けてもりあがる方法結論は簡単です。 後半でアクセルを踏むには、前半でアクセルを入れなければいい。 マックス10として、それを15にすることは無理です。 でも前半を5にして、後半10にすればいい。 もし仮に自分に楽器のテクニックがなくて10出せない、せいぜい5としても、前半を3として

譜面をみないこと(3)

コードの「コンテクスト=文脈」を理解しましょうと書いてきました。 昭和のクソ慣行の「譜面を見るなおじさん」も、是非はともかく、譜面を見ないきっかけになるなら、それなりに効用があったはずだ(不快だけどね) では、譜面を見ないで、曲のコード進行をどういう風にとらえているか。 とはいえ、これをどうやってわかりやすく示すか……すごく難しい。 頭の中をかち割ってさらけ出すわけにはいかないし。 なので、覚えているコード進行を、どうやって再現しているか、を示してみます。 実例として、

ファンクなど「一発もの」の吹き方

ファンクは一般的なジャズと共通点も多いのですが、相違点もあり。(そもそもジャズ民がやるファンクと純ファンク勢との違いとか言い出すと、宗教論争みたいな不毛な応酬になりかねない…) ファンクの特徴は以下のようでしょうか。 コード進行はシンプル(単一調性が多い) リズムがタイト ファンクは「縦」の音楽「タテノリ」とか「ヨコノリ」とかの話ではなくて。 楽譜の水平面(x軸)は時間です。垂直(y軸)は音の高低ですね。 x軸とy軸に刻んだ目盛りをイメージして、x軸の目盛り=リズム(

セットリストの組み方

ライブのセットリストを組む場合に、自分が気をつけていることです。 飽きさせないこと(振れ幅を大きく) 曲の知名度に注意する 飽きさせないこと(振れ幅を大きく)似たような曲ばっかりだと、飽きる。 これはセッションでもそうだし、ライブならなおさら。 自分の手持ちのレパートリーを飽きないように配置しましょう。 緩急っていうじゃないですか。速いテンポの曲とゆっくりの曲は適度にバラして配置した方が飽きません。速い曲も二曲続くと案外慣れるものです。 テンポ:速い・遅い 調:長調

譜面をみないこと(2)

続きです。 (1)ではコードを丸暗記するのではなく、コードのコンテクスト(文脈)を記憶しましょう、という話をしました。 では、コンテクストってなんやねん、って話です。 ももたろう昔話に「ももたろう」というのがあるじゃないですか。 さすがに21世紀の若者も、ももたろうは知ってるよね? ネットにあるももたろうの昔話を引用してみます。 (知っていると思うので読み飛ばしてもらってかまいません) これ、1000字あります。ながっ! もちろんこの1000字を丸暗記して一字一句間違

譜面をみないこと(1)

ええと、今回の記事はジャズ研換算でいうと、1年生向けではないです。 2年もまだ早いかも。3-4年向けかなあ。 黒本の功罪2023年日本で行われるセッションでは納浩一さんの「Jazz Standard Bible」がほぼスタンダードなテキストとして使用されています。 これには功罪あります。 いいこと メリットは楽曲のコード進行が概ね全国統一されたこと。 黒本以前は「青本 =Jazz Standard Handbook」がデファクトスタンダード。しかしこの本は理論的な整

アドリブソロで注意をはらう要素

身も蓋もない質問です。こんな「大きな命題」は成書を参考にしていただきたいことですが(おすすめは How To ImproviseとJazz Theoryか。巻末参考)…確かにちょっと読み込むには重すぎる。 というわけで、プロでもなんでもないですが、プロにも訊いた僕の最大公約数的な個人的見解を。 アドリブで、我々は何をやっているか。 与えられた場(コード)に対して適切な(時には不適切な)音を出す ソロの、そして曲の起承転結を作る メロディーに意味をもたせる(motiva

ジャズ研一年はこれを見よう

ジャズ研一年生向けの内容です。 アドリブの習得。一朝一夕にはいかないもんです。 いろんなアプローチに触れてみるのが一番いいんじゃないかと思う。 「これさえやれば正解」というのも少ない。 気軽に首突っ込んでかじってみることをおすすめします。 達成すべきゴールと、出来たほうが望ましいことは、こちらに書きました。 理論とか後でいい。 とりあえず、すべての調(キー)でドレミファソラシド吹けるようにはしておきましょう。具体的にはこれ(↓)を。 マイナーは、迷ったらハーモニックマ

高い楽器は必要か

ええとですね、結論です。 「中ぐらいの楽器を買え」です。 この質問って、立場とかすべてのキャリア(楽器始めたばかりの初心者からプロまで)を含んでいるから、答えるのが難しいんです。 私は長年楽器続けていますが、楽器を売る側の業界とあんまり馴染みがないし(廃課金勢ではないから)、楽器のスペックとか、マウスピースがどうとか型番がどうとか、全く興味がないタイプの人間なんです。 ごめんなさい。 そんな私のいうこと。話半分でお聞きください。 楽器のグレード よく「ピンからキリまで

ジャズトロンボーンのベストスリーは?

これは、ジャズトロンボーンに興味がある人向けの原稿です。 まず大前提。ジャズトロンボーン奏者の最高峰は、Jay Jay Johnsonと Curtis Fullerの二人。 これは揺るがしがたい結論である。 では三人目の男は誰か?というとこれが難しい。 (この話、僕20年くらい言ってるなあ…) J.J.とCurtis FullerそもそもJ.J.とFullerの御大二人。 ジャズトロンボーン界の両雄だが、この二人が他のジャズ・ミュージシャンと比べて演奏が傑出していたか。