解像度を上げるということ

ここ最近、「解像度」という言葉が自分の中でキーワードになりつつある。

解像度というと写真や映像、ディスプレイの話だと思われるかもしれないけれども、僕がここで言う解像度というのはイコール「世界や物事を正確に捉える力」のことだ。

例えばワイン。解像度が低い状態だと、美味しい不味いとか飲みやすいにくいみたいな、ざっくりとした粗い評価しかできないけれども、ワインに対する解像度が上がってくると、「これは肉料理やきのこと合わせると美味しいだろう」とか「この値段払ってこれならコノスルで十分だな」とかが分かってくる。究極、飲んだだけでその土地の土壌とか気候のことが分かったり、作り手がどんな意図でそのワインを作ったのかが分かったりもする。

ワインはあくまで一例に過ぎないけれども、この解像度というのはディスプレイと一緒で、高ければ高いほど良い。というかむしろ、解像度が低い状態って滅茶苦茶に損をしていることが多い。

入社したばかりの新入社員が、自分がしている仕事が何に繋がるのかも分からず、作業をただの「つまらない雑用」だと感じる。

話題のタレントを起用していたり、雰囲気がかっこいいだけで、メッセージや主題の薄いTVCMを見てその商品を魅力的に感じる。

日本全体に漂う息苦しさが、介護や少子化問題に起因するものだと分からず、無性に不安になったりイライラしたりする。

メディアやインフルエンサーの発言に煽られて、短絡的に情報商材や仮想通貨に手を出してしまう。

少し極端な例もあったかもしれないけれども、物事を正確に捉えることができないということは「自分が何をしているのか/するべきなのかが分からない」という状況に直結してしまう。

就活生の「何がしたいのか分からない」の背景にあるのはきっと、無気力ではなく、「そもそも仕事って何なのかよく分からない」という無知だ。世の大人たちがデスクのPCで何をしているのか、営業呼ばれる人たちがお客さんと何を話しているのかが分かれば、やりたい仕事は見付からなくても、少なくともやりたくない仕事くらいは見つかるはずだろう。

解像度を上げるには

ずばり、勉強である。

今この歳(25歳)になって、中学高校の勉強ってこの「解像度を上げる」作業だったのだとつくづく感じる。大学進学時、理系か文系かを自分で選べるのは、数学や英語という学問が何を勉強する学問で、自分にその適性があるかどうかを知っているからだ。

中高では一般的な解像度を身につけて、大学ではそこに専門性を付与して狭い範囲での高い解像度を身につける。そこまでは物事を教えてくれる「教師」という存在がいるけれども社会に出るとそうは行かない。そして上手いこと仕事をしていく上で必要な解像度は、ものすごく多岐に渡る。

例えば広告の仕事をしている僕の場合は、そのビジネスの上流から下流までを見通す全体観だったり、クライアントや外注先の業務量や負荷を計算する予測だったり、商品とマーケットに対する最新の感覚だったり、さらには社内政治に必要な人間観察的な視野だったり。

そしてそういう「解像度」の上げ方って、教えてくれる人が誰もいない。自分でその必要性に気付いて、自分で高めていくしかない。

そのための手段が、実は学生時代僕がおろそかにしまくった「勉強」なのだ。

勉強って何もアカデミックな勉強だけではなく、テレビを見たり、漫画を読んだり、人と話したり、とにかくどんな形でも知識を仕入れるその作業は「勉強」だと僕は思っている。

手段は人それぞれだけれども、僕は最近は色んな学問の本やネット記事を片っ端から読むようにしていて、宗教・人類学・社会学・マーケティング・文化 etc... 色んなジャンルの話が実は根っこで繋がっていて、物事に対する洞察が急速に広く、そして深くなっていってるのを感じる。

その手段がピンとこない人は、とりあえずTwitterで有名な人を見つけて、彼らの発言や拡散する記事を片っ端から読むとこから始めると良いと思う。他人の視点を覗き見るのは、その人の解像度の何割かを体験する作業なのでかなり有効なのだ。(何人か僕がめちゃくちゃ参考になった人がいるので、どこかのタイミングで紹介しようかな)

解像度が低いということ

解像度が低いと何が困るって、解像度の高い人会話をするとそれが一発でバレてしまうということだ。

そうなると(めちゃくちゃ嫌な言い方をしてしまうけれども)相手にされなくなってしまう。友達ならまだ良いけれども、ビジネスの相手として、初対面の知人として、共通の趣味を持つ同士として、対等な会話がかなりしづらくなる。

だから、解像度を上げることは必要なのだ。

上司でも、尊敬する先輩でも、優秀な同輩でも、デキる生意気な後輩でもいい。彼らの視点を一度覗きこんでみるといい。一度は失った勉強という習慣を取り戻してみるといい。読書でも、会話でも、ネットサーフィンでもいい。能動的に知識を得るその作業が、今、僕ら若者には必要なのだ。

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