世間知らずが服を着て歩いている私

 こんばんは。今日、所属する軽音楽部で新入生のデビューライブが行われます。私は4年生で忙しいので今回はお休みですが、自分のデビューから3年経ったと思うともうなんかどうしたらいいのか分かりません。時の流れが世界で1番怖いです。23歳で結婚したかったのに、できそうもないまま今21歳。人生なんて簡単に設計するもんじゃない。

 はのとです。初めまして。


 え、みんなそんなのどこで学ぶの? 大学生になってから1番思っていることです。まあ1番は言い過ぎましたね。1番は「あ、もうすぐジャンプだ」。ちなみに2番は、「後輩可愛い食べたい。」、3番目は「神木くんって神。」です。はい早速どうでもいいですね。いい加減にして、脱線。

 私は高校生のとき3年間、まともに同年代の異性と会話していません。というか関わっていません。まともに関わっていないというか、まあ優しく見積もっても関わっていません。全く。女子校だったからです。

 中学校から女子校だと、たかが3年間で何をと思われるかもしれませんが、それは許してください。たったの3年間でも、女子校生活というのはその後の人生に大きく影響するものです。だから、中学から女子校に通っている大先輩の皆さん。どうやって今まで安心安全に生きてきたのか教えてください。


 高校生のとき、私は恋をしていませんでした。1度も。誰かとお付き合いすることはもちろん、ちゃんと好きになったという記憶もありません。ずっとずっと、同じ高校の仲間と笑って過ごしていました。能天気に過ごしていました。何も考えずに、何にも怯えずに。

 大学生になったら勝手に恋人ができて、勝手に結婚するもんだと思っていました。幸か不幸か、勝手に恋人はできました。でもそれは私が予想していた勝手にとは違って、なんかこう、大学生になったら同性異性関係なく色んな子と仲良くなって、その中から1番気が合った人と付き合うみたいな、そういう流れがくると思っていたんです。

 ところが現実は大違い。入学から半期過ぎても、クラスの異性とは1度も話せない。目も合わせられない。部活の同期も同様で、話しかけてくれる優しい先輩には辛うじて頷きを返せる程度。完全に、異性との関わり方を忘れてしまいました。

 というのも、私は高校卒業時に、「はのとは絶対に悪い男に引っ掛かるから気を付けろ。」と数えきれない数の友人に言われていたのが大きいです。必要以上に警戒してしまって、自意識過剰になってしまって、ね。


 まあそんな話はどうでもよくて、今日はちょっと生々しい話をするかも知れないので、少しでも抵抗ある人はここでお帰り願います。まあ大した話はしませんしできませんが。銀魂を見るのに抵抗がある人は帰りましょう。他は残ってください。生々しいというか、ぬるい話をします。


 大学1年の夏、私には中学生以来の恋人ができて、付き合ってすぐ言われました。「はのとちゃんが嫌がることは絶対にしないから。」そう言われた私の心の中、『嫌なこと…? 浮気とか? 他の女の人と話すとか? え、別に浮気はまあ当然しないとして、話すとかご飯とか気にしないけど…』です。能天気ですね。彼が本当に伝えたかったことは何も、当時の私には届いていませんでした。

 私も彼もインドアだったので、すぐに家デートがメインになりました。一人暮らしの彼の家に行って、テレビを見たりご飯を作ったり。そんな何気ない日常が楽しくて幸せで。あ、先に行っておきますが今は付き合っていません。元恋人の話です。一応これ貼っときます。

 そうして家に通っている内に、私はファーストキスを奪われました。簡単に奪われました。当時はドッキドキでうっきうきで、なんとも言えない表現し難い気持ちだったのを覚えています。甘酸っぱいですね。そんなことない? 鬱陶しい? ごめん。


 まあそれ以上のことは起こりませんでした。そんな日々を過ごしているうちに、部活の先輩と夏祭りに行くことになりました。同性の先輩と浴衣を着て。そのときに彼の話を聞かれて、私は自分で自分の話をするのが苦手なので、自分からは特に何も話さず、聞かれたことにだけ答えていました。

『へえ、じゃあずっと家デートなんだ。』
「そうですね。」
『じゃあ何、どこまで行ったの?』
「どこまで? え、家?」
『いや、そうじゃなくて。キスした?』
「え、あ、はい。」
『その先は?』
「…あ、そういう、あ、いやないですよそんなの。」

 ここで私の頭の中を覗いてみましょう。

『その先って、つまりそういうことだよね? え、なんでそんなこと聞くんだろう。付き合って1か月の大学生なのに。』

 とんだすっとこどっこいですね。何を言っているんでしょう。

 ここで解説したいと思います。当時の私はですね、そういった行為はですね、なんというか、絶対条件ではないと思っていたというか、必要なことではないと思っていたというか、まず、自分には全く関係のないことだと思っていたんですよ。今は考える必要のない、もっと先の話。みたいな。

 呆れて物も言えませんね。分かります。非常に分かりますよ。だから、先輩は当然こう聞きますよね。

『でも毎回家行くんでしょ? それってさ、いいと思ってるから行ってるんだよね? だとしたら、ちゃんと伝えてあげないと。』
「え、いや、思ってないです。」
『…いやいやいやいや、だって、2人で寝たりもするでしょ?』
「まあ、はい。」
『だったらその気あるよね。』
「え、そうなんですか? そういうものなんですか?」

 そのときの先輩の呆れ顔は忘れられませんね。本当に忘れられません。今思い出しても、本当に私は何を言っているんだと一喝したい気分ですね。ちょっと一発頬をひっぱたいてみました。

 でも、本当に私は疑問に思っていました。普通にみんなしてることなの? それが当たり前なの? みたいな。え、なんのために? 子どもできても困るのに? みたいな。なんだこれ。私、なんだこれ。

 それで、先輩に色々教えてもらいました。学校では教えてくれない、普通のことを。学校では教えてくれない常識を。

『あのね、男女が付き合う上では切っても切り離せないことなんだよ。個人差はあるけど、付き合って1か月くらいではだいたいしてるんじゃないかな。もし嫌だと思うなら、それこそちゃんと伝えないと。』

 あ、そうなんだ。え、みんなそうなの? 私が知らないだけ? あの子もあの子も? 私の頭は軽くパニックです。自分の信じていた世界が、いとも簡単に崩れ去っていきました。

『あのね、そんな風に思ってるはのとには想像もできないだろうけど、男の人の欲って、抑えるのすごい難しいんだよ。だから、あいつはすごい耐えてると思う。好きな人と一緒にいてそういう気分になるのは、普通のことなの。だから、それを理解したうえで、ちゃんと向き合って考えて話し合わないとだめ。』

 想像は当然できませんでした。それがどれだけの欲で、どういうもので、どれだけ耐えがたいものなのか。私には全く想像ができません。なんなら今でも分かりません。


 そして付き合って1か月経たないくらいですかね、初めてその話題が出て。「はのとって、そういうの嫌だよね。」言われました。どうやら、私の態度はnoを示していたらしいです。最初に「嫌がることはしない」に何も言わなかったから、本当に嫌なんだと思ったみたい。

 そこで意思確認をして、私がいいと思うまではしない、という方向でまとまりました。


 それからしばらく経ちましたかね。色々あって少しの間会えていなくて、久しぶりに会ったときに求められました。私は笑ってごまかしました。嫌だったからです。明確な理由はありません。なんとなく、言うなればそれです。

 彼は、最初からnoを示していた私を求めてしまったことに罪悪感を抱いてしまって。そこから、私は少しずつ学んでいこうという気持ちが湧きました。今までは、無意識にそういうのを全部自分からシャットアウトしていたんだと思います。あえて見ないように。だから方向転換して、ちゃんと向き合おうと。

 で、冒頭に戻りますが、「え、みんなどこで学んでんの?」ですね。もうどうしたらいいのか分からなくて、地元の友人に会ったときに聞いてみました。「ねえ、もしかしてあんたはもう…?」と恐る恐る聞いたら、「え、当たり前じゃん。バカなの?」え、そこまで言わなくてもよくね?

 「その世間知らず治した方がいいよ。」私よりも世間知らずだったはずの彼女は、いつの間にか豊富な一般教養を蓄えた女子大生にパワーアップしていたみたいです。否、私が置いて行かれていただけですね。

 そうして色々学び、というか、学び方を学び、教えて貰った通りにシークレットモードで色々調べてみました。「初めて 怖い」とか、「初めて 分からない」とか、ふわっとしたワードでも色々ヒットしてくれて、おかげで一般教養得ました。それでも人並み以下ですが。


 そんなこんなで、まあ結局2年後別れるまで何もしなかったんですけど、悲劇は繰り返します。次にできた恋人には、付き合うそのときに言いました。「私の貞操は固い。」すると相手は、「そうだと思った。結婚するまでって言われても大丈夫。」と鋼の意志を見せてきました。

 まあ結果は見えていますよね。付き合って1か月くらいで初めて泊まりのデートをして、未遂で終わったからいいものの、私は初めて痛い目を見ました。あーくそ。思い出すだけでイライラしてきた。最悪の気分です。

 簡単に言葉を信じた私も完全に悪い。経験料と考えて割り切りましょう。でもね、付き合うときのたった1度じゃないですよ、その話したの。泊まりでデートしたいって話をしたときも、まあそれを言い出したのは私なんですけど、「え、いいの? 怖くないの?」と聞かれて、「何もしないでしょ?」と返すと、「しないよ。約束したから。」と。

 豪語じゃないですか。そんなの、信用するじゃないですか。しかも相手は私にベタ惚れ。何をするにも私の意志を尊重。そんな溺愛具合ですから、絶対に私のこと傷つけないと思うじゃないですか。

 でも結果がこれです。そのまま別れました。相手は、酷く憔悴していました。一時の感情に任せて大変なことをしてしまったと。私を深く傷つけてしまったと。せっかく信頼してくれていたのにと。

 私の心には深い傷だけが残りました。今でも、瞼を閉じるとあのときの状況がフラッシュバックしたり、そのときの感情を鮮明に思い出します。その度に苦しくなって、自分が嫌になって、あーもう女なんてやめてーなと思うわけです。


 で、気づきました。私の世間知らずは、私のせい。自分の責任。さっき話した傷だって、自分が起こしたもの。自分で蒔いた種。もっとちゃんとした知識を持っていれば、防げたことです。私もその人も、傷つかずに済んだ。今も平和に笑っていたかもしれない。

 「そんなことされたら、誰だってその気になる。」1回だけ言われた言葉です。未だに、私は「そんなこと」の内容が分かりません。分かっていません。何が悪かったのか、自分で分かりません。教えてくれなかったし、もう今更聞けません。

 そんな状態で、私は次の恋へ行けない。まあ気持ちもまだブレブレだし、また幸せな恋ができるかは分かりませんが。植えついたトラウマは簡単にははがれてくれないので。

 今度は、自分が傷つかないためにだけじゃなくて、相手も傷つかないように、互いに失敗しないように、もっとちゃんと向き合わないといけないなと思います。未だに方法は分かりませんが、許してくれるのなら、次のパートナーと、一緒に学んでいきたいと思います。一緒にというか、教えてって感じだけど。

 間違った知識が入っても困るしね。そういうのを話すことに躊躇いを持ってしまっていたけれど、躊躇わず、恥ずかしがらず、分からないことは分からないと、ちゃんと伝えられる相手と巡り合えますように。そして私、相手にばかり期待せず、ちゃんと自分で学んでいけますように。


 で、また最初に戻るけど、みんなどこでそんな知識得るの? 異性と泊まったらオッケーの合図とか、その手順しかり手練手管しかり、どこで学ぶの? 男の子はなんか、勝手にそういうの学ぶとこイメージできるけど、女の子はいったい、どこで…? 同じくらい世間知らずだった友人と、いつから道はたがえた? 始まりは同じだったはず。

 まあ既に答えは出ている通り、自分でそういうのを知る機会を避けていたからでしょうね。あとその友人に言われたのは、少女漫画を読んでいないからってこと。少女漫画を読んでいれば、なんとなくそういう描写は出てくる。あんた少年漫画しか読まないから、そもそも恋愛に疎いんだと。

 少年漫画バカにするなよ。銀魂バカにするなよ。毎話下ネタ祭りだわ。でも少年漫画のいいとこは、下ネタは出ても生々しくないってことだよね。言葉は出るけど、それが何かっていう説明的な描写はない。だから、分からないけどなんとなくこれはそういうネタなんだなと消化する。

 その友人は少女漫画少年漫画関係なく漫画が大好きなので、少年漫画のそういう性質も知っていると思います。知った上で、そう言ったんです私に。少年漫画で得られる知識は限られてくる。校閲で弾かれることもあるし。

 だから、本当に学びたいならネット検索、それから、ちょっと甘いし理想高くなるけど少女漫画。現実はそんなに綺麗なものではないけど。でも、行為に嫌悪感を抱いているなら、少女漫画の甘い展開で抵抗感をなくした方がいい。

 まともなことを言っている気がしますね。そうやって、女の子も知識を得ていくんでしょうか。分からないけど、たぶん1番多いのは友だちの経験談なんじゃないですかね。私の高校大学の友人は類友で似たような子ばかりなので、恋愛に疎くてそんな話できません。地元以外で教えてくれる場所ない。


 まあいいや。ちゃんと反省して、同じ失敗を繰り返さないように、少しずつ克服していきましょう。まずは少女漫画を読むところから始めてみようか。

 で、おすすめの少女漫画はなんですか。

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