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「子どもを産んだ女性のキャリアが狭くならない社会へ」HANOWAが目指す世界

歯科業界の人材不足を解決するべく、歯科衛生士に特化したギグワーク事業を行うHANOWA。
その事業の裏には、代表である新井の子育て×キャリアに対する熱い想いがあります。

そこで今回は、新井に事業への想いと今後の展望について聞きました。

子育て中の女性と社会との関わりを止めないために、この事業を止めない

── HANOWAの存在意義は、どのようなところにあると考えていますか。

コンビニよりも歯科医院が多いと言われる昨今、歯科衛生士の新卒の有効求人倍率は20倍を超えています。

非常に人材が不足しているんですね。
一方で、28万人以上いる歯科衛生士のうち、実際に歯科衛生士として働いているのは13万人ほどです。
つまり、15万人の歯科衛生士の資格を持つ人が何らかの理由で、いわゆる“遊休資産”となっているんです。

もちろん、歯科衛生士になったけれど仕事内容が合わなかったり、他にやりたいことを見つけたという人もいると思います。
でも、大半はきっとそうではありません。

歯科衛生士の9割以上は女性です。
一方で、歯科医院は勤務時間が19時や20時など夜遅くまでになることも多いです。
かつ歯科医院としても常勤やパートであれば午後に入れる歯科衛生士を求めているため、なかなか歯科衛生士の仕事を子育てと両立させることが難しく、結果的に歯科衛生士をやめてしまうといった一連の流れが大きな市場課題となっています。

そこでこの15万人の歯科衛生士さんたちに、歯科衛生士としてまた働いてもらうにはどうしたらいいかを考えて、生み出したのがギグワークの仕組みです。

このスキマ時間に好きなだけ働ける仕組みを使って、歯科衛生士として働きたいのに働けない人たちに働く機会を与えたり、歯科医院の人材不足を解決していきたいと考えています。

子育て中の人だけでなく、不妊治療をしていて、治療しながら常勤で働くことは難しいけれども、週に何日か体調のいい時に働きたいという方もいました。
半年ほどHANOWAを利用いただいた後に妊娠され、「HANOWAのおかげで楽しく働けました。ありがとうございました。」と言っていただいたんです。
あとは愛犬がいて、その子たちが留守番続きにならないように働いているという人もいます。

このように人によって事情はさまざまですが、常勤以外の形で働きたい方は非常に多く、HANOWAの事業の意義は大きいと考えています。

── 新井さんは子育てをする人のキャリアに並々ならぬ想いを持っていると普段から感じます。なぜそう考えるようになったのでしょうか。

母親の影響が大きいです。

私の母親は、子どもを5人育てながら父の事業を手伝い義父の介護もして、とすごくバイタリティのある人です。
でもそんな母から、私が14歳の時に「離婚を考えている」と話をされました。
私としては、母には自分らしく自分の人生を生きてほしかったので賛成したんですが、当時まだ8歳だった妹がいたことと、そのほかのいろいろな事情が絡んで難しかったようで、そこから離婚するまでには7年の月日を要しました。

そんな経験をしたからか、子どもがいると母親が自由に生きたり自己実現をしたりすることができない社会に対して、非常に強い疑問と憤りを感じるようになりました。
もちろん子どもの養育には責任を持たなくてはいけませんが、それは母親が自由に生きながらも実現できることだと思うんです。

そして今は自分も親になったので、なおさら当時の母の苦悩が理解でき、「親になったからといって人生の選択肢が狭くなってしまう社会はおかしい」「日本の『子育て』と『働く』を止めたくない」という気持ちが強くなっていますね。

「子どもを産んで育てて働く」その営みに対してHANOWAの事業が何か良い影響を与えられているのであれば、止めるわけにはいかないですし、できる限りこの取り組みを続けたいと考えています。

いつか自分たちで歯科医院を作りたい

── 今後、HANOWAのギグワークの仕組みを他の業界に展開することは考えていないのでしょうか。

実は看護師への水平展開は一度考えていたんです。
ただ、詳しく調査をしてみると、HANOWAの現在のモデルをそのまま転用するのは難しいことがわかりました。

現在全国に150万人ほどの看護師がいますが、そのうち約90万人が大学病院や総合病院などの大きな病院で働いています。
そして小規模のクリニックで働くのが16万人程度で、残りのおよそ40万人は行政関連の施設や保育園、介護施設などに分散しています。

かつ看護師の場合は、内科に眼科に皮膚科、循環器科に整形外科など、たくさん診療科があります。
そして、大抵の場合は新卒でついた科でほぼその後のキャリアパスが決まります。
看護師だからといって何科でも対応できるわけではないんです。

このように看護師の世界は歯科業界に比べて多様であるため、歯科衛生士のようにギグワーク的に働くとしても、非常に区分けが細かくなるし、眼科や皮膚科といったそれぞれのマーケット規模はあまり大きくないんですよね。
また、歯科医院であれば大抵の医院はチェアが4台ほどで、規模も大差ありません。
一方で病院の場合は、大病院からクリニックまで幅広くあります。
つまり、ギグワークを活用しやすい度合いで言うと、医療業界においては歯科業界ほど適したマーケットはないんですよね。

それを考えると、今すぐの水平展開はあまり現実的じゃないなというのが現状です。

ただ、今すぐは難しいというだけなので、今後たとえば眼科クリニックと眼科の看護師を繋ぐような事業をやっていく可能性はあると思います。
また、薬剤師もギグワークとの親和性が高そうではあるので、そうしたところから広げていくかもしれません。

── 歯科業界へのアプローチとして、何かこの先考えていることはありますか。

まずはHANOWAのギグワークシステムをもっと広めていくのが目下の目標です。
ただ、最終的にはいつか自分たちで歯科医院を作りたいとも考えています。

待合室もなく、スマホアプリで予約できて、診療費もキャッシュレス決済できるような歯科医院です。
働く人もそのクリニックに所属していなくて、ギグワークのみで成り立たせたいですね。

歯科系人材のデータベースは現状作れてきているので、そこに登録してくれている人たちが自由に働ける拠点として統一規格でチェーン展開していきたい。
それによって、歯科医療体験自体を変えられることができたら、すごくいいなと。
歯科業界でやりたいことのゴールはそこですね。

ぜひ私たちと一緒に、この夢を追っていただける方をお待ちしています。

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