世界のプロレスというものをテレビ東京で知った

 またプロレスの話題かよと言われるかもしれませんが、私の少年時代において、プロレスは多大なる影響をあたえたものですから、どうかしばらくお付き合い下さい。

 少年時代はプロレスを会場に観に行ったことがなく、もっぱらテレビで観るものでした。それかあとは小学館の入門百科シリーズの「プロレス入門」、ケイブンシャの「プロレス大百科」、それと漫画「プロレススーパースター列伝」などの本で知識を仕入れていました。

 当時、プロレスが好きなクラスメートはたくさんいましたが、現役選手だけでなく、それこそ力道山時代からのプロレスラーを含めた知識においては、誰にも負けなかったという自負があります。

 ジャイアント馬場率いる全日本プロレスは日本テレビ。アントニオ猪木が率いる新日本プロレスはテレビ朝日。全日本女子プロレスはフジテレビがそれぞれ試合中継をしていました。

 それに加えて放送されていたのが、テレビ東京の「世界のプロレス」でした。これはアメリカのプロレス中継を、いまやフジテレビ朝の顔である小倉智昭(当時テレビ東京アナウンサー)さんの名調子に乗せて流していました。

 当時はアメリカに3つの大きな団体がNWA、AWA、WWFとあり、NWAは一番大きく歴史と権威のある団体でした。そのチャンピョンであったリック・フレアーは、金髪で二枚目なのですが、背はそれほど大きくありません。やることもセコくてズルいレスラーでした。引き分けの場合、チャンピョンベルトは防衛されるのですが、うまいこと引き分けに持ち込むのがうまいレスラーでした。

 テレビ東京という放送局は、隙間を突いて制作費は安くても存在感のある番組を作るのがうまいところでした。「世界のプロレス」もアメリカで制作したのを、そのまま流すだけなのですから。よほどのファンでもなければ観ない番組ですが、だからこそ熱狂的な固定ファンが付くとも言えるでしょう。

 三菱ダイヤモンドサッカーも、Jリーグがまだ出来ていない、なおかつワールドカップに日本が初出場を果たす前から、ワールドカップ全試合を放送していました。またスポーツ番組以外にも田宮RC(ラジコン)カーグランプリみたいな番組があったり、飛び出せ釣り仲間なんて釣りの番組があったり、細く狭いところに入り込んで、独自の番組を制作していました。

 その中でも「世界のプロレス」は、まるでアメリカにいるかのように、私の想像力をかき立ててくれた番組でした。

前衛アングラ芸人・明智半平太公式ブログ「ジジテレビ」http://hanpeita.net/

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