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メガバンクによる「口座維持手数料」の導入について解説します(後編)

2chの便所の落書きに逐一いちゃもんつけるクソnoteの後編です。

4. 「銀行は儲けすぎなのにまだ我々から金をとるのか」

机上で数字弄るだけの商売で中の人が高給取りすぎなんよ 今の時代炎天下や極寒の中で現場作業してる人のがよっぽど価値がある

おっしゃる通りです。

と、言いたいところだが、話はそうも単純ではない。

金融業に対する批判でもっとも多い批判の一つが「金融は虚業」というものだろう。

たしかに、金融業は製造業や建築業といった実業ありきで成り立っており、目に見えないし、一般生活ではほとんど直接触れることがなく、その重要性が分かりにくい。

しかし、現在の社会がこれほどまでに大きく、広く、豊かになったのはまぎれもなく金融業の功績だ。金融がなければ、金のない企業家(起業家)が事業を始め、財を、付加価値を生み出すことはとうていできない。中世世界からすれば魔法のような現代社会を実業家がつくりだした陰には、必死に資金をかきあつめ、このような実業家に資金を提供し続けた金融パーソンの存在がある。

金融がなければ現代の実業がとうてい成り立つことはないという観点に立てば、現代のサービスを享受する現代人は、銀行員が現場作業員よりも多少稼ぎが多いという欺瞞に多少目をつぶる必要があろう。

儲けすぎだろksg

リーマンショック以降、銀行が儲け(≒内部留保)を積み立ててきたという事実は確かにある。しかし、その目的は、紛れもなく一般預金者や銀行株を保有する投資家=一般市民を保護するためだ。

リセッション時、銀行が倒産した際に、損失を一般市民に転嫁(血税の投入、債務<これには預金も含まれる>のデフォルト、株式の償却)することなく、銀行の内部で損失を補填するために銀行は内部留保を積み立てている

これに手を出し、口座維持手数料分を内部留保から捻出すれば良いとの批判は、いざというときに預金額の2割が勝手にカット(100万円の預金があればそれは80万となり、20万円は永遠に返ってこない)されたり、血税が投入されることにも目をつぶらなければなくなる。

5. 「口座手数料の導入は実質的な談合値上げだ」

今だって送金手数料がバカ高い ありえんわ
談合値上げは国民が許さない!!
これ暴動が起きるレベル

値上げといえばたしかに実質的にはそうかもしれないが、その裏には上項のような事情があり、銀行も決して強欲に儲けようとしているわけではない。

6. 「銀行の役割はATMで完結するのにまだ手数料をとるのか」

口座維持費とか馬鹿げてるよ
そもそもこのATM時代にそんなに行員要らないんだよ窓口業務は入出金だけじゃないから~とかお決まりの事言うけどそんな範疇じゃない
マジで要らない
ATM手数料とかもボりすぎ銀行で儲けが出ないってお前らの運用が下手すぎるだけだろ切るところははっきり切れよいつまで昭和気分だ

一般の預金者からすれば、銀行の役割は、一般市民からお金を預かって、年にわずかの金利を還元するだけの存在だろうから、このような批判に至る気持ちはわかる。

しかし、当然のことながら銀行は裏でその預かった資金を企業に融資したり運用に回している。

その体制にコストがかかりすぎているというのは事実で、まさに現在進行形で大規模なリストラ(各行の公式発表では決してリストラというショッキングなワードは使わないが、実質的には紛れもなくリストラ)が行われており、今はその過渡期だ。

将来的には、口座維持手数料の導入といったトップラインを増やす施策が必要なくなり、コストカットのみで負担の増分を賄える状況が作り出せるかもしれないが、現在の銀行の状況では、口座手数料の導入といった対応も仕方ないというのが私の意見だ。

以上、メガバンクによる「口座維持手数料」の導入に対する解説でした。これを読んだ方の金融業に対する理解が少しだけ向上すれば幸甚です。

追記

ちなみに、既に日本では「マイナス金利政策」が導入されている。ただし、現在のところは、銀行が日銀に預けている「日銀当座預金」のうち一部(政策金利残高)にマイナス金利(▲0.1%)が適用されているに留まり、我々の預金に対する適用はその範疇ではない。

しかし、我々はすでに、間接的にとはいえ、振込手数料やATM手数といった形でマイナス金利の負担を負っている

つまり、今回の「口座維持手数料」の導入は、今に始まったわけではなく、「何を今さら」という話なのが今回のオチ。

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