宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-39

「ちなみにさあ、伯父さんは、会社の経営権とは別に、優良な賃貸物件も個人的に持っていたんだよね。遺産分割が実際に行われるまでの間に発生する賃料って、誰がもらうことになるの? 賃貸物件を受け継ぐ予定だった春子や美羽ってことかな? 」
 建太郎が首を傾げると胡桃がすぐに答えを教えてくれた。
「この点については、最高裁の判例があるわ。遺産分割は基本的に『相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる』つまり遡及効があるとされているけど、賃料債権に関しては、各相続人が分割単独債権として確定的に取得して、遺産分割の影響を受けない。としたのよ。要するに、建太郎と春子さんや美羽ちゃんの三人が相続分に応じて、受け取ることができるということよ」
「ちなみに、伯父さんが有していた賃貸物件から一月にどれくらいの収益が上がっているの? 」
「賃貸物件全体で、数千万円の賃料収入があります」
 琴美が事もなげにそう答えた。
 ということは、賃料を一か月分受け取るだけで、建太郎の数年分の年収に匹敵する額を得るということだ。
 途方もない額に、建太郎は全く実感が沸かなかった。
 
 ※
 
 建太郎が胡桃、琴美と共に訪れたのは、大学が立ち並ぶ界隈に立つ五階建て五十部屋ある賃貸マンションだった。もちろん、学生向けの賃貸マンションで間取りはすべて1DK。
 築二十年になるというが古さを感じさせないモダンな外観をしており、庭周りもきれいに掃除されていた。
「このマンションは女子学生専用のマンションです。一般的に女子学生は男子学生に比べて、部屋をきれいに使いますから、美観が損なわれにくいのです。それに、女子学生はセキュリティや間取りにこだわる傾向があるので、多少家賃が高くても入居してくれるのです。そして、界隈には女子学生が通う大学が多いこともあり、空室ができたことは一度もありません」
 琴美の解説に建太郎が感嘆の息を洩らす。
「学生向けの賃貸マンションで空室がないっていうのはすごいことだよな? 」
「そうね。投資物件だったら、即買いの物件ね」
 胡桃も同調すると、琴美は、
「残念ながら、投資物件ではありません。宅本・オーガナイゼーションが直接経営している賃貸マンションです」
「そうだろうな。優良な物件をわざわざ、手放すわけないもんな」
 建太郎も納得する。

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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