毎日一分で読める憲法基本問題40
★今日の問題★
内閣府令は、内閣の助言と承認により、天皇がこれを公布するとされている。正しいか?
胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒……
胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「これは、憲法の次の規定の解釈の問題だな」
憲法 抜粋
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
建太郎「内閣府令が政令に当たるかどうかということだな」
胡桃「そうね。どう考えたらいいかしら? 」
建太郎「政令に当たるということかな」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「えっ。違うんだ? 」
胡桃「この規定の「政令」は、内閣が法制定するときの法形式のことと解されているのよ。」
建太郎「内閣が法制定するときの法形式だな? 」
胡桃「つまり、憲法の次の規定に基づく政令のことなのよ」
憲法 抜粋
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
建太郎「おう。内閣の制定する政令と内閣府令は違うんだ? 」
胡桃「紛らわしいけど違うのね。内閣府令は、内閣府という省庁が発する政令なのね。これは、天皇によって公布されるわけではないのよ」
建太郎「うーん。内閣の制定する政令と省庁が発する政令はどう見分けたらいいんだ?」
胡桃「具体例を挙げた方が分かりやすいわね。例えば、会社法と言う法律があるわね。会社法には、次の政令がセットになっているでしょ」
会社法
会社法施行令
会社法施行規則
胡桃「まず、会社法が法律なのは分かるわね」
建太郎「うん。国会で決める法律だな」
平成十七年法律第八十六号
会社法
胡桃「そして、会社法施行令の冒頭には次のように規定されているのよ」
平成十七年政令第三百六十四号
会社法施行令
内閣は、会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定に基づき、この政令を制定する。
建太郎「内閣は、とあるんだな。すると、これが、内閣の制定する政令だと」
胡桃「そうよ。そして、会社法施行規則には次のように定められているのね」
平成十八年法務省令第十二号
会社法施行規則
会社法(平成十七年法律第八十六号)及び会社法施行令(平成十七年政令第三百六十四号)の規定に基づき、会社法施行規則を次のように定める。
建太郎「法務省令とあるということは、これは、法務省が制定した政令だと」
胡桃「そうよ。すると会社法関係の三つの規定のうち、内閣の助言と承認により天皇が公布するのは、どれか分かるわね」
建太郎「会社法と会社法施行令だな」
胡桃「そうよ。会社法施行規則は、法務省令だから、天皇が公布するわけではないということね」
建太郎「なるほどな」
胡桃「じゃあ、設問の答えは分かるわね」
建太郎「うん。間違いだな」
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