★今日の問題★

 法律は、官報によって公布されることになっているが、より細かくみると、国立印刷局において、官報が印刷、仕上げられた時点、あるいは、インターネット配信準備が完了した時点で、公布されたとみることができる。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「これは、また細かい問題だな」
胡桃「細かいわね。でも、いつの時点で公布されたかによって、法律が適用されるか、適用されないかが決まるわけだから、その瞬間がどの時点にあるのかを確定することは重要なのよ」
建太郎「むむっ。そう言うことなんだな。すると、どう考えたらいいんだ」
胡桃「法律を公布するということは、国民にその内容を知らせなければならないわね。今では、報道機関が発達しているからニュースで新しい法律の内容を知ることができるし、ネットでも早くから、条文が掲載されたりするわけだから、そんなことは問題にならないかもしれないけど、昔は、情報源が限られていたわけね」
建太郎「おう。国会で法律が成立しても、その内容を国民が知らないこともありうると」
胡桃「そうよ。だから、公布によって、国民に広く知らせる。その時点で効力が生じることにするということに重要な意味があったわけね。そこで判例は次のように述べているのよ」

 判例は、「その法令を掲載した官報が、印刷局から発送され、一般希望者において右官報を閲覧し、または購読し得る場所である東京都官報販売所または印刷局官報課のうちのいずれかに最初に到達したときは、右法令は、おそくとも、右最初に到達した時までには公布せられたものと解すべきである。」としている。(最大判昭和33年10月15日)
 その時点で、「その法令の内容が一般国民の知りうべき状態に置かれた」と言えるからである。

建太郎「おう。すると、設問は間違いだと」
胡桃「そうね。設問の場合は、官報が印刷、仕上げられただけでなく、販売所に届かなければ、公布したことにならない。ということね」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

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