★今日の問題★

 憲法が改正されたときや法律が制定されたときは、その時点で成立するが、天皇の公布を経て初めてその効力が生じ得ることになっており、公布の期限については、憲法改正、法律の制定共に、国会法の規定により、天皇に奏上された日から30日以内とされている。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「むむっ。これは、憲法以外の細かい知識が必要な問題かな」
胡桃「じゃあ、一つ一つ文章を確認するわよ。まず、憲法が改正されたときや法律が制定されたときは、その時点で成立する。これはどうかしら? 」
建太郎「正しいのかな」
胡桃「そうね。憲法にも次のように規定されているのよ」

憲法
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

建太郎「可決しただけで成立するんだな。公布によって成立するわけではないと」
胡桃「じゃあ、天皇の公布は何のためにするものなのかということね」
建太郎「問題文にあるとおり、天皇の公布を経て初めてその効力が生じ得る。つまり、法律の効力が生じるための要件なのかな」
胡桃「そうよ。つまり、公布されなければ、法律が成立していてもその法律を適用することはできない状態にあるということね」
建太郎「すると、いつの時点で公布されたのかが重要なんだな」
胡桃「そうね。じゃあ、公布の期限については、憲法改正、法律の制定共に、国会法の規定により、天皇に奏上された日から30日以内とされている。とあるのはどうかしら? 」
建太郎「うーん。これは国会法の条文を知らないと解けないよな」
胡桃「それじゃあ、確認するわよ」

国会法
第六十五条 国会の議決を要する議案について、最後の議決があつた場合にはその院の議長から、衆議院の議決が国会の議決となつた場合には衆議院議長から、その公布を要するものは、これを内閣を経由して奏上し、その他のものは、これを内閣に送付する。
2 内閣総理大臣の指名については、衆議院議長から、内閣を経由してこれを奏上する。
第六十六条 法律は、奏上の日から三十日以内にこれを公布しなければならない。

建太郎「おう。奏上するというのは、天皇に奏上することだな」
胡桃「そうね。すると、設問の部分の答えは分かるわね」
建太郎「正しいと」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「えっ。何でだ? 」
胡桃「この規定は、『法律は』となっているでしょ。つまり、憲法改正は含まないのよ」
建太郎「あっ。そうなんだ。憲法改正の公布については別に規定があると」
胡桃「そうよ。憲法改正の公布については、憲法に規定があるのよ」

憲法
第九章 改正
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

胡桃「読み取れるわね」
建太郎「憲法第九十六条2項だな。直ちにこれを公布する。となっている。奏上の日から三十日以内ではなくて、『直ちに』なんだな」
胡桃「そうよ。設問はその部分が間違いということね」

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