★今日の問題★

 外国と行政協定を締結した場合は、天皇によって公布されるわけではない。正しいか?

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら?」
建太郎「これも憲法第七条の解釈の問題かな」

憲法
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

胡桃「そうね。この中の条約は、日本が他国と結ぶ条約のことなんだけど、具体的にはどの条約のことを指すのかということね」
建太郎「うーん。どういうふうに考えたらいいんだ? 」
胡桃「これも、前問で確認した政令と同じように考えればいいのよ」
建太郎「おう。すると、条約の中でも、内閣が締結したものに限るということか」
胡桃「そうね。具体的には次のように解されているのね」

 「条約」とは、憲法第七十三条三号、第六十一条に従って、内閣が外国と締結する取極めの法形式のことである。

憲法 抜粋
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

建太郎「つまり、内閣が締結したもので国会の承認を経ることを必要とするものか」
胡桃「そうよ。例えば、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定なんかがその例ね」
建太郎「なるほどな。それに対して、外国と行政協定を締結する場合は、この条約とは違うと」
胡桃「そうよ。行政協定とは、行政府によって締結される国家間の協定のことで、条約と違って、国会の承認は必要ないと解されているのよ」
建太郎「うん。国会の承認が必要ない行政協定は、憲法第七条一号の条約に含まれないので、天皇によって公布されるわけではない。と」
胡桃「そうなるわ。設問は正しいということね」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

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