宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-35

「宅本会長。宅本会長と呼ぶと、前会長の宅本健一さんなのか、現会長の建太郎さんなのか、識別しがたいので、建太郎さんのことは、建太郎会長と呼んでよいでしょうか? 」
 安土副社長が出ていき、会長兼社長室にいるのが、建太郎と胡桃。それに、琴美の三人だけになったところで、琴美がそう切り出して来た。
「会長なんて呼ばなくていいんだけどね。建太郎でいいよ」
「では、建太郎会長と呼ばせていただきます」
 会長などと呼ばれることに建太郎は面はゆさを覚えた。自分のような何も知らないものがこんな重要な地位に付いて大丈夫なのか。とも思うが、とりあえず、何とかなるだろうと楽観的に考えることにした。
「まず、建太郎会長にご覧いただきたいものがあります。実は、宅本前会長は、遺言書を書き残していました」
 琴美の突然の打ち明け話に、建太郎と胡桃は目を丸くして顔を見合わせた。
「どのような遺言を残していたのかしら? 」
「ご自身で、ご覧いただいた方がよいと思います」
 琴美がそう言って、ケースの中から、一枚の封筒を取り出した。封がされているものだった。建太郎がそれに手を伸ばすと、胡桃が制してきた。
「待って。これが本物の遺言書ならば、ここで開封するわけにはいかないわ。裁判所で検認を行わなければ……」
「その必要はないと思います。既にこの遺言に書かれたとおりに、承継手続きが為されたのですから」
「それなら、相続人以外の第三者に遺贈するようなことは書かれていないのね? 」
「はい。それにこれは草案と言ってよい性質のものでした」
「それなら、開けてもよいと思うわ」
 胡桃に促されて建太郎は、封を切った。数千億からの遺産を有していた宅本健一にしては、かなり簡素な遺言書だった。
 まず、自分が亡くなった場合の相続人は、妻の春子、末子の美羽、養子の建太郎の三名であると記されていた。
「末子の美羽って誰だ? 」
 突然、聞いたことのない人物の名前が飛び出てきたので、建太郎と胡桃は目を丸くした。
「春子夫人のお腹に宿っていた子が女の子だということが分かっていたのです。それで、お二人は名前を決めていたようですね」
「なるほど、春子さんの子供か。俺は養子ってことになっているけど? 」
「宅本前会長は、建太郎会長を養子にするつもりでいました。宅建士に合格したらという前提付きですが」
「やっぱり、本気だったんだ……」
「重要な部分はその次です」

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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