日記 2019/04/14 23:35 (age 20)

 「私はそのころ耳を澄ますようにして生きていた。」

 2019年4月14日22時51分。今日こそ本当に日記を書く。noteは逃げ場所みたいだ。朝9時に目覚める。風邪を引いて声が出ない。とうてい自分のものとは思えないハスキーボイスにうんざりする。二度寝する。10時25分頃に目覚める。このままでは11時45分から受付のTOEICに間に合うかわからない。試験会場は家から徒歩7分の場所にある、神様ありがとう。チェリージャムをたっぷり塗ったトーストにマリアージュ・フレールのマルコポーロ。ノー勉で初TOEIC、試験内容もわからない。体がだるいのでiPhone7のカメラロールに保存された12000枚の画像をのろのろと消していく。私が写っている画像の少なさ。なんだかんだでスクショばっかり。Dropboxの存在しらなかったせいで論文もいちいちスクショしてた。アホ毛に苦戦しながら髪を整え、CLINIQUEの日焼け止めを塗って、メイベリンのマスカラでまつげをふさふささせて、オペラのリップを塗る。最近はこのくらいのナチュラルさが気分だ。鏡を覗き込んだら、ふいにいろいろなことが一瞬でよぎる。しかし大金もないしダウンタイムで化け物になるだけの覚悟もない。結局12時半の受付終了ぎりぎりで会場に到着する。TOEICの試験官は揃いも揃って旧時代的、作り笑いがこびりついた好色そうな老人の指揮のもと2時間のテスト。ぐだぐだ。スマートに年老いたい。3時に解放され帰宅。スーパーでアイスクリーム2つとグミを買う。それらを食べ、すぐに夕食。ポトフとか。お腹いっぱいになってのろのろ食べる。電車に乗り次の駅で降りる。アルバイト先に向かう。5時から始まる。アルバイトが終わる。散歩する。南麻布には酔った男女がいっぱい、だいたい男が太っていて背が低い。女は細身で茶髪、髪を巻いている。品のない彼らの横を一人で通り過ぎる。家へと向かう。遅いから心配した母親からの電話。子離れしてくれ。お寿司を食べる。なんだか元気がない。心が北極みたいに寒々している。またまたいろいろなことを思い出す。急に自分の瑣末さと他人とを比べてしまう。落ち込む。美貌や才能とか、そういう馬鹿っぽい在り来りな、低俗な欲望。半端な「教養」なんてなんの役にも立たないよね。いや、ないよりましか。地雷ではなく花をください!髪を切りたくなる。しかし切ると野暮くさい。『やまとなでしこ』第8話を観る。初等科2年生のとき、ちょうど帰宅のタイミングでやっていた再放送にはまっていた。素敵な話だと思う、ただ私は魚屋の男と生活ができないだろうな、と勝手に妄想する。まあ中原欧介は数学者を目指し留学するおしゃれさ・知的さを兼ね備えているから絵的。それでいて愚直。なんてことを二重幅をなぞりながらぼんやり思う。この前坂道でひどい転び方して無残だった両膝の怪我が癒えてきた。包帯をとる。noteにタイプする。明日から上智大学で交流生として授業を受けるが、仏文科の学生と比べてフランス語の能力が足りていないだろう。今夜は徹夜だ。重い瞼をこする。noteにタイプする。私はSNSをぜんぶやめたい。言葉に頼りすぎている。noteにタイプする。僕は君のことすべて忘れてしまいたい。noteにタイプする。僕は一生自分を許すことができないのか。なめらかな唇を撫でる。熱い喉。

私は耳を澄ませて生きている。

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