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MAKERS_u18:私ってすごいの?

「このままじゃ仲良しごっこで終わるよ」「話聞いてるとイライラするんだよ」なんて言葉がストレートに飛んできて精神を尖らした6日間。

MAKERS_u18 THINK BIG CAMPでググったら
「自分を超えろ」「しんどすぎて吐くよ」「4徹」「人生変わる」「倍率11倍」という言葉が目に入ってきて迷いもなく応募した。

(知らない方のために説明すると、THINK BIG CAMPは全国から集結した28人のいわゆる、”やばい、はみだし高校生”と、世界を変えている一流の”やばい”起業家たちが、まだ見ぬ理想の世界を”共に”創る宿泊型のキャンプだ。)

実際、この6日間で飲んだエナジードリンク約10本、コーヒー30杯で、心身の細部から削られたし、細胞もフル活用、これ以上頑張れなかったと思う。

でもそれってただの脳みそと体力の大量消費じゃない?本当に思考の限界か?

そんなことも問いかけたし、まだまだいけるのではないかと少しの悔しさも残りつつ、それでも力を振り絞って最後は最高の笑顔で終えた。

今回はこの恐ろしいTHINK BIG CAMPが自分にとってどんなものだったのか、正直に綴りたい。


求めなくちゃいけないの?

今までイベントに登壇したり色んな人とお話したりする中で、「自分の夢と今まで行ってきたものの原動力には、自分が現地で見てきたものから通づる使命感にあります」という発言をよくしてきた。その使命感があるから、自分はなんでも恐れず挑戦して自分なりに貪欲に学んで一生懸命やってきた。

そんな中、このキャンプでよく飛び交っていた言葉が「もっと求めよ」「貪欲に生きよ」だった。

しかし、私はその言葉に歯がゆさと違和感を感じた。

それは、自分が今まで、自分の未熟さや無知さを理解し、私というタンスに無数に存在する引き出しには中身が詰まっていない感覚を感じつつも、今まで引き出しに中身を詰めようと一つ一つ頑張ってやってきたからだ。今だって自分の現状に満足することなんてないし、もはや一生満足できることすらないかもしれないけれど、一つ言えることは「私はいつでも幸せ」ということだ。足りないながらも、自分の人生に満足して、幸せを感じて、謳歌している。

だから、私にはこれ以上求めることができなかった。

そこで仲間に言われた一言が「葉織って本能で生きているね」だった。


よく「ホームレスの方や物乞いをする方にお金やモノを与えるのは持続可能じゃない」と人は言う。けれど、本当にそれは与えない理由なのだろうか?

私は彼らが何かを欲している時は倫理観や道徳を考える前にお財布を手に取るのだが、それは「困っている人がいるから助ける」という衝動的な行為だ。

食べるものがないのならお金を渡す。寂しいのなら話を聞く。愛に飢えているのなら全力で与える。動物のためにヴィーガンになる。国境も宗教も性別も私にとってはくだらない。一人の人間として接する。

全ては私の人間としてありたい姿であり、私の感覚であり、倫理だ。そこに良いも悪いも、迷いもない。


そこで気付いたのは私の「不条理な社会に立ち向かう」というビジョンやアフリカで活動する将来は、使命感ではなく本能だということだ。

今まで旅してきて自分の目で見た世界の不条理や、アフリカの大地で感じた自分のちっぽけさ、全ては自分が全身全霊で感じたもので、それは今、本能的に、今の自分につながっている。

思い返してみれば、自分は社会起業家として取り上げられたいわけじゃないし、人助けして偉いなんて思われたくもない。「すごいね」と言われて実感がなかったのもそれかもしれない。

問題解決や社会問題へのアプローチが正義とされる世の中。でも、本能で生きる。本能で旅をする。その結果が私にとっては国際協力だった。それが人助けだった。それが全てだ。



奨学金とこれから先

THINK BIG CAMPには起業家・イノベーターとのダイアログセッションという時間があり、選ばれた高校生はメルカリの社長の山田進太郎さんや、ベンチャーキャピタリストの佐俣アンリさんなどと1対1でお話する機会が与えられる。それを踏まえて起業家・イノベーターによるメンタリング付きの奨学金をいただける人が決まる、奨学金選考だ。

私はメルカリの社長の山田進太郎さんと適格機関投資家の黒越誠治さんに選んでいただいた。
興奮と緊張の中、ノートにどでかく「一喜一憂するな」と自戒の念も込めて書き、あえて準備をしないことで、いつも通り自分のいい慣れた言葉で、スムーズに落ち着いて言おうと、私は口を開いた。

しかし、その話は約1秒にしてぶっ壊された。

というのも、黒越さんとの1対1の時間、私が口を開いていつも通りビジョンから話し始めると「それは書類で見てるんだよ。違うことを話してよ。」と言われたのだ。

今までいきなり「自分のこと話してよ」と振られても1時間は話せるくらい慣れていたし、今回もいつも通り「うまくやるつもり」だった。ただ、言い換えればそれだけ私の言葉は形骸化していたのかもしれない。 


しかし、黒越さんの言葉を聞き、頭が真っ白になった私は、意を決して自分の脳みそと心の奥深くを裸にするような感覚で想いの淵を全て語った。そこに、今までのように「聞きやすく、わかりやすく、端的に」なんて意識はもはや1mmもなかった。

そして私の話を聞いてくださった後、黒越さんの口から発せられた言葉は

「もう良いじゃん、やりなよ。それだけじゃん。」

だった。

「自分の常識がぶっ壊されるかも」「明日から別人になるかも」なんていう想像をしていたが、実際は「やる」。ただそれに尽きるだけだった。

その後も「自分の人生を歩んできた金山葉織」を包み隠さずありのままの等身大の金山葉織として黒越さんとの対話を続けた。

そして、そんな黒越さんには最高額で奨学金をいただいた。


とある起業家がおっしゃった、「おめでとうのお金じゃなくて、これはあなたに投資しているという意味だよ」という言葉があるが、私はこれを心に留めこれからも動きたい。

そして何よりもありのままの人と人とのコミュニケーションという行為がその場で生まれ、私はそれを感じたこと、そこに少しでも価値を見出してくださったことがとてつもなく嬉しかった。

だからこそ、本気で自分が信じるもののために本気で突っ走りたい。


THINK BIG CAMPのこと、正直に綴ります

参加した仲間や過去の卒業生のブログなどを読んでいると「ぶっ壊された」「人生変わった」なんて言葉で溢れかえっている。

ただ、先程綴ったようにこの6日間は私にとって転換点や人生を見直すきっかけではなかったかもしれない。でも、人生の大切な、大切な通過地点として、大海に飛び立つ私に背中を押してくれた。

たった6日間。それでも想いをもった仲間を本気で応援したいからこそ「これ言ったら傷つくかも」なんて配慮は存在せず、裸でぶつかり合うMAKERS生は私にとって本当の愛だ。



私は熱エネルギーのように熱くはない

仲間が「これからは熱エネルギーが働くかのように燃えるようにぶちかます」と発言する中、私には「やりたいことをやっている」感覚があるからこそ、その熱はないのかもしれないと気づいたこと、私はあれ以上求めることができなかったこと。

もし、この言葉を投資家の方が見たら「こいつはダメだな」「この人の事業は伸びないな」「起業家になりたいんだったらもっと熱くなければ」「甘ったるい」なんて思われるかもしれない。

しかし、これは私の本音だ。

それに私は一年中旅をしているが、旅だって一見ただのお遊びで夢とは関係がないように見えるかもしれない。

実際に「葉織の夢は壮大だからやらなくちゃいけないことはたくさんあって、効率の良い方法を考えるべきだよ」と起業家にアドバイスもいただいた。

しかし、効率はよくなければならないのか?


旅は私に豊かな思想を形成するのに大きな役目を果たしているし、一見関係のなさそうな政治活動も社会問題の根本に政治が眠っていたからはじめた。老人ホームや子ども食堂でのボランティアも「社会に誰も取り残したくないし彼らの声を聞きたい」から、やる。

高校での進路の三者面談では私の言うことが毎回違うから担任の先生を困らせた。でもそれは、自分は常に変わり続ける人間であって、夢のためにその時に最優先したいことも変わり続けているということだ。


どんなに一生懸命でも、効率の悪い私が社会変革を起こせるのは5年後、いや10年後、いや死後かもしれない。

でも私は胸を張って自分なりに一生懸命生きているしそれが最高に幸せだし、今やっていることは積み上がってその頂上から見える景色はきっと自分が見てきた中で最も綺麗なものであると信じている。


と言いつつも、正直なところ、人生そんな簡単にうまくいくことなんかなく、アフリカで起業して数年はジャガイモだけを食べて生きていくのではないかなんて考えるときもある。


それに十分に私は幸せだ。だけど、私は着実に届けたい人のために歩み続ける。それは本能だから。


だから、私には迷いがなく、不条理から抜け出せない人のために、動く。そして、それは確実に社会変革につながっていることを願って。ただ、それだけだ。

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