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DC/PRG解散と私の青春の終わり

「私、菊地成孔さんが好きなの。この本あげるから読んでみて。」

私はそのとき高校2年生で、青森で一人旅をしていた。

寺山修司記念館に行って、自分の死に場所をついでに探そうと思っていた。

そのとき同じ宿にいた、東京から来た美女と一緒に流れ星を見た次の朝、菊地成孔の著書、『スペインの宇宙食』をくれた。

今まで読んだことがない文体で、一体東京にはこんな「文化」が沢山あるのかとびっくりしてしまった。

昨日DCPRGが一年ぶりにライブをするという知らせがチケットぴあから来たので、

おお、じゃあまた夜じゅう踊り明かすかと思っていた。

今日Twitterを開くと「最終ツアー」という文字が入ってきた。嘘でしょ。

DCPRG解散の知らせと菊地成孔の声明文を読んだ。

私の8年間の戦いを援護してくれたDCPRGが解散してしまう。

私、まだまだこれからやっていかなきゃいけないのに、

DCPRGの曲とLIVEがあるからやってこれたのに。

昨日、自分がセックスと恋愛に依存していて自傷していたことがわかった。

もう、自分を大事にする方法がわかったからそんなことはないんだけど。

その次の日にDCPRG解散を知るなんて、

本当に私の青春は終わってしまったんだなと感じた。

ありがとう、この8年間DCPRGのHey Joeを聴いて裁判も出来たし、

Playmate at Hanoiを聴いて本当にハノイにも行ったよ。

辛い時はずっとDCPRGの音楽に支えられて生きてきたよ。

去年のLIVEのTシャツはどさくさに紛れてどっかいっちゃった。

あの東京から来たお姉さんはあれから一回も会うことが無かったよ。

すごく綺麗で、洗練されてて、なんでも知ってて、私もああいう人になりたいって思ったんだ。

あのお姉さんみたいになれるかな、これからでもまだ間に合うかな。

多分私はあの人にこの8年間恋をしていた気がする。

LIVEのたびに、見つかるわけもないのに、再会出来たら良いなって願ってたんだもん。

だんだん思いだそうとしてもモザイクがかかったような顔しか思い出せなくなってきて、声しか思い出せなくなってきても、何回も何回も一回あったきりのお姉さんを思い出してた。

あの時の本もボロボロになるまで読んで身辺整理をするときに捨てちゃった。馬鹿だなあ本当。

とりあえずDCPRGの東京公演でも大阪公演でも行けるように、バイトの休みを取るよ。お金を稼ぐよ。情けない大人だなあ。こんな大人になりたくなかったなー。

高校生のハオリンちゃん、処女はちゃんと好きな人にはあげられなかったし、

そのときあなたがなりたかったちゃんとした大人みたいには全然なれなかったし、

薬剤師にもなれなかったし、看護師にもなれなかったし、

変な人たちに振り回されるし、すごく最悪な青春だったよ。

あれだけ行きたかった中国留学も行けなかったよ。

多分これからあなたがすみたかったタワマンにも住まない。

東京の夜景が見える部屋にも住めないよ。多分ね。

あなたが思うほどあまり良い大人にはなってないよ。

考える通りに生きて来られなかったからね。

君は小学生の頃からの自殺願望を、誰か、もし勇気があれば親に相談出来ていればよかったね。全て抱え込んでしまったね。

後から診断してもらえた精神疾患とは一生付き合うつもりで、今度いろいろ手続きするよ。誰も悪くないんだよきっと。

でも自殺せずなんとか生きてるし、大学にも通って青春をやり直してるよ。

やっていけるかわからないけど、もうこれからはちゃんと好きなことだけで食べていくし自傷もしない大人になるよ。

私の青春はもう終わりだよ、

でもそれと同時に長い長い戦争も終わったのかもしれないね。

これからは、DCPRGがいらないくらい幸せな日々が過ごせると良いな。

「みずからの神に背くな、嵌められても良いことがある」だからね。


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