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第013話 ドロピからの贈り物

 6月27日。
 配信を行うため、いつものようにハピバ島に入った。

 んん? なんかいつもと雰囲気が違う?

 何故かそんな風に感じながら、僕たちはいつものようにコンテナに入った。

「あれ? なんか鏡が白い?」
「え? あっあっ! びっくりした!!」

 八広に言われて鏡を見ると、今度は鏡が真っ赤に染まる。しかしそれは一瞬で、またいつもと同じ鏡に戻った。

「え、何? 何? 何か一瞬変なの映りましたよね?」
「こーわっ。こーわっ……」

 僕も八広も混乱。
 八広が鏡を調べに行くも、変わった様子もないようだ。


『怖い! 真っ赤だったよ!』
『時空の歪みとか?』
『来る! きっと来る……!』


 リスナーさんたちからも不安の声が上がる。
 そりゃそうだよね、僕もめちゃくちゃ不安だもん。

「バグ? ここってS.S.さんからもらった世界だから、本当何が起こるか分からなくてちょっと怖いんですよね。本当に怖いな……。ちょっと他に異常がないか見てきません?」

 やめて……八広が怖がってると本当に怖いんだけど。


『島点検しよ』
『怖いしね』
『ネオガイア内に閉じ込められちゃうとか……』


「あー、それはあれね、あのアニメね」

 リスナーさんの言葉に八広が直ぐに反応する。黒髪で二刀流使いのキャラが主人公の八広が大好きなアニメ。僕はあんまり知らないけど、よく配信で八広が話題にしている。
 それは置いておいて、みんなも怖がっているし、これは調べた方がいいかも。

「じゃ、とりあえず外に出て調べようか」

 まずは右回りで調べることになり、八広がヤシの木の根元の植木を調べた。

「うわあああああああ!!」
「なにそれ、力持ち!!」

 自分たちの腰ぐらいの高さがある卵型の植木を、八広が軽々持ち上げた。

 え?
 今までそんなこと出来たっけ!?

「や~、ランニングしていた効果が表れたわ」
「いや、早すぎだろ!」
「えいっ!」
「やめろっ! 投げんな! 転がっていっただろ!」

 さっきまでの恐怖は忘れて卵型の植木で遊ぶ僕たち。そこへすーっと横切る黒い物体。

「ドロピが!」

 急に動き出したドロピを見て、ドロピと出会った日のことを思い出した。何かが始まるのかも。僕たちは怖いながらもドロピのところへ向かった。

「先輩、ドロピ何か見てません? あっ! 見てください! 数字の1が書いてあります!」

 先に着いた八広が大きな白い流木を指して騒いでいる。僕も移動してみると確かに数字の「1」が書かれていた。

「本当だ本当だ」
「何1って? 普通に考えて1ってことは2もあるってことですよね?」
「そうだね……。あっ! さっきの投げた植木に何か書いてあったんじゃないの? 裏に!」

 僕がそう言うと八広が走って植木を取りに行く。

「あっ!! 1って書いてある!! ってことは、これを」
「合わせればいいんじゃない!? うえ~い!!」
「天才か!!」

 二人のテンションが上がった。
 八広が持ってきた植木を流木に書かれた1に合わせようとすると……。

――ブオンブオン。

「ひ、光った!! なんか変な音鳴ってるよ!!?」
「ば、爆発する!? ちょちょちょちょっ!!」
「やばいやばいやばいやばい!! わーーわーーーわーーー!! 離して!! 離して!!」

 僕は本当にパニックになった。
 だって、こんな大きな植木が爆発したら、この島なんて簡単に吹き飛んでしまう。
 離れたところから様子をじっとうかがうもそれ以上の変化はなかった。


『音怖い……』
『生まれる?』
『またホラー配信?』
『他にも番号があって、全部やるんじゃない?』


 何も変化ないし、リスナーさんからのアドバイス通り他の番号もあるか探すことにした。っていうかドロピが違う流木に移動してるし……。

「2って書いてある」

 見に行くと予想通り数字が書いてあった。今度は僕が植木を取りに行き、数字を探す。
 持つのも怖いけど、でもこれやらなきゃいけないんだろうな。
 これ何なのS.S.さ~~~~ん!!

 心の中で叫びながら数字の2と書かれている植木を探してくっつけた。やっぱりブオンブオンって音と共に光りだす。

「次は3? ドロピも移動してるね?」

 爆発しないって分かったけど、このブオンブオンっていう警告音みたいな低い音が本当に怖い。さっきから怖いしか言ってないけど本当に怖いんだもん。異常事態じゃない?

 リスナーさんたちも怖がりながらも、あーじゃない? こーじゃない? と考えてくれているし頑張らないと……。

 3も流木だったけど、4はいつも僕たちが配信しているコンテナの横にあった。同じように数字が書かれた植木を探し、くっつける。


――テレレーン、テンテンテレレーーン♪


「わっわっわっわああああああ!!!」

 突然鳴り響く音楽に二人が大声出して驚く。さらに驚いたのは、コンテナの壁に二つの剣と盾、そして弓矢が現れた。剣は、少し太めのロングソードって感じかな。柄も刃も全部黒。刃の部分は白い縁取りがされている。盾は、よくある盾の形ではなく多角形で、上下尖っている。これも真っ黒で白い縁取りがされていた。弓矢も同様に黒と白のデザイン。

 平和なハピバ島には似合わない物々しい武器だった。それに黒ってなんか悪者みたい。

「何これ」

 八広は物怖じせずにそこに近づき、剣と盾を取る。
 そして僕を切る。って、なんでだよ!!

「うわあああああ!! 何これ、すっげー!!」

 剣が何かにぶつかると光を放ち、ビリビリというような音が鳴った。
 八広のテンションが上がる。

「黒い剣ってかっこいいよな~!! オタク心をくすぐるわ、コレ。これもS.S.さんが作ったのかな~?」
「わかんない……」

 八広は剣を手にして興奮気味。しかも剣を二本持ち、うおおおおって叫んでる。あれでしょ? あのさっき言ってたアニメの主人公みたいで嬉しいんでしょ?


『オタク落ち着け』


 リスナーさんに言われるくらい楽しそう。
 僕は弓矢を取り、矢を放つ。

「弓も凄いよ! ねえ!」

 八広にそれを伝えるも、僕の話は全然聞いてない。弓矢も凄いんだよ。

「ってか、ドロピがいないのが気になるんだけど。さっきまで僕たちを導いてくれていたのに」
「あ、確かに」
「えっ! ねえ、なんか動いてる! 草が草が!」
「草?」

 草じゃなくてヤシの木の下にある卵型の植木なんだけど、一個だけプルプル震えてる。

「え~? オレからは動いているようには見えないけど」
「ほら、動いてるじゃん」

 近づいて教えてみるものの八広にはわからないみたいで、直ぐにまた剣に夢中になっていた。リスナーさん達はちゃんと震えてるって言ってるのに。

「ってか待って! あっちにいっぱい青い光を放ってるのがみえるんだけど!」
「嘘? まままま待って! 武器持って行った方がいいですよ! 剣! 剣を持っていきましょう!」

 確かに!
 僕たちは剣を持って、青い光を放つ何かに向かって歩みを進めた。

「何かいっぱい浮いているんだが……」
「ドロピの……お友達?」

 白いドローンのような物体が6体、宙に浮かんでいる。

「こーわっ……。どうしたらいい?」
「とりあえず切っておきます?」
「いや、おかしいだろ。味方だったらどうする」

 とか言いながら僕は手前の白ドローンを剣でつついてみた。

「わぁ!!」
「わわ~~~~!!」

 壊れた。
 壊しちゃった!!

「おいおーーい!! あっ、直った」

 ばらばらに壊れた白ドローンがまた元の位置に戻った。

「オレの予想なんですけど、全部同時に壊したら何かあるんじゃないですか?」
「同時に!?」

 とりあえずその案や、弓矢を使って試してみたけど、何も起きなかった。

「練習用のやつかもね」

 ドロピが投影しているホログラムっぽいし。
 ってか、武器を使う練習をしなきゃいけないってことは、武器を使う事態になるってこと!?
 S.S.さんは僕たちに何をやらせようとしているんだろう?
 VTuberと関係があるのかなぁ?

 八広はとにかく武器がかっこいいかっこいいって言いながら興奮してるから、取り敢えず落ち着いたらゆっくり考えることにした。

 どうか、怖いことが起きませんように……。



サウンドノベル sound novel

後日追加予定

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