見出し画像

春の海を味わう。ほっきめし。


はぴみんのずんだ党フードサミット ほっき飯 先取りトーク①


宮城県地域マップより加工

宮城県南東部の亘理町と山元町は、美味しいほっき貝の産地です。
この「貝の王様」をふんだんに使ったほっきめしは、宮城の早春に華やぎをもたらす郷土料理として人気があり、仙台市内の飲食店やスーパーのお惣菜コーナーでも、この季節を代表するメニューの1つになっています。


亘理町の名店「鳥の海 浜寿し」。

「鳥の海 浜寿し」の ほっきめし 撮影:はぴみん

亘理町のホームページには、ほっきめしの特集記事が掲載されています。

刺身や鮨ネタなど様々な食べ方で親しまれている亘理の名産『ほっき貝』。他地域のものと比べて身が厚く柔らかいのが特徴です。冬から早春の亘理を彩る欠かせない食材となっていて、貝が子どもを持つ2月下旬が最も美味しいといわれています。この時季の亘理のグルメといえば、宮城の郷土料理にも名を連ねている「ほっきめし」です。ほっき貝の身や内臓を煮込んだ煮汁でご飯を炊き、切り分けた身を盛りつけた「ほっきめし」は、噛むほどに広がるほっき貝独特の甘味はもちろん、貝の旨みが染み込んだご飯との相性も抜群です。

亘理町HPより

そんな「ほっきめし」の美味しさを伝え、県外からも多くの人たちが訪れているのが『鳥の海 浜寿し』です。「貝は新鮮さが命。うちでは当日に仕入れたほっき貝をその日のうちに剥いて、お客さまに提供しています。」と店主の太田政志さん。
(中略)
「煮汁は継ぎ足しながら使っています。身の厚さなどを見て、硬くならないよう一つひとつ時間を調整しながら煮ています。」(太田さん)。煮あがった3個のほっき貝を細く切り分け、ほっき貝の煮汁で炊き上げたご飯の上に、花びらのように飾ったら完成です。

亘理町HPより

この記事の「貝が子どもを持つ2月下旬が最も美味しい」というのを読んだ私は、「まさしく、今ではないか!」と居ても立ってもいられなくなり、「鳥の海 浜寿し」さんに駆けつけました。
木肌が美しいお洒落な店内にはジャズが流れていて、ゆったりと落ち着ける雰囲気です。若いカップルやシニアのグループの方々などが、平日のランチタイムを楽しんでいました。
こちらのお店は、東日本大震災の前は亘理町の荒浜にあったそうですが、2012年に同じ亘理町の逢隈に移転して現在の店舗になったということです。
(せんだいタウン情報machico「旨味と食感を楽しむ旬の味!亘理町 浜寿し『ほっきめし』」より)

「鳥の海 浜寿し」のメニューより

ご覧ください! ほっきめしのメニューだけでもこんなにあります。
どれにしようか迷ったのですが、ほっきめしをフルサイズで堪能してみたいと思い、1番上にある「ほっきめし(小鉢、香物、汁)」を注文しました。

ほっきめし

まず、ほっきめしのご飯を一口頬張りました。
優しいぬくもりのある美味しさが、まだ寒気が残る外からやってきた身体に沁みるようです。このご飯だけでも、どんどん食べられそう。
続いて主役のほっき貝に箸を伸ばすと、想像していたよりも柔らかくて簡単に噛み切れます。押し付けがましさがない、品の良いお味ですが、噛むほどに旨味が増して、さらにご飯が進みます。

香物と汁
菜の花の辛子和え                  

お汁もほっき貝仕立てで、「本場に来たなあ」と実感。
香物と菜の花の辛子和えは洗練されたお味で、アクセントのある箸休めですね。
ほっき貝の天ぷらやお刺身にも心惹かれましたが、フルサイズのほっきめしをいただいてお腹がいっぱいになってしまったので、次回以降のお楽しみとしておきました。

撮影:はぴみん
亘理町HPより


茹でると桜色になる亘理の茶ホッキ。

家庭で作ろう郷土料理!!亘理の早春は「ほっきめし」(広報わたり3月号・折込)より

家庭で作ろう郷土料理!!亘理の早春は「ほっきめし」
(広報わたり3月号・折込)
https://www.town.watari.miyagi.jp/common/img/content/content_20240222_115550.pdf

 ほっき貝は殻の色によって呼称が異なり、主に北海道周辺で獲れる「黒ホッキ」、常磐地域および亘理の海で獲れる「茶ホッキ」があります。茶ホッキは、安価で手に入れやすいうえに、ゆでると綺麗な桜色になる点が特徴です。町内で獲れた茶ホッキは、町内はもちろん、関西地方まで多くの飲食店で流通しています。

家庭で作ろう郷土料理!!亘理の早春は『ほっきめし』 より

北海道で育った私は、子供の頃食べていた茹でると赤紫色になる黒ホッキのイメージが強かったので、亘理のほっきめしのほっき貝は、「きれいな桜色が、春らしくて素敵!」と思いました。

ただ、北海道立総合研究機構水産研究本部によると、黒ホッキと茶ホッキは色が違うだけで、中身の成分はほとんど同じなのだそうです。

殻の色の違いはホッキガイの生息する場所の底質の違いによると言われており、茶ボッキを黒ボッキの漁場に移植すると黒くなることが報告されています(試験研究は今 No.238)。市場ではこの色の違いによって黒ボッキの方が高く売られているようです。

試験研究は今 No.506「黒ボッキと茶ボッキ」(2003年8月22日) より

主な成分を比較するとたんぱく質、グリコーゲン(炭水化物に含まれ、味のまとめ役、こく味を付与)、タウリン(滋養強壮や血液中のコレステロール低下作用があるアミノ酸)、アラニン・グリシン(甘みを呈するアミノ酸)のいずれも黒と茶で、差はありませんでした(図1、2、表2)。以上の結果から見た目(外観)は違っても私たちが食べる中身(成分)はほとんど差がないことがわかりました。

試験研究は今 No.506「黒ボッキと茶ボッキ」(2003年8月22日) より


プランクトンが豊富な亘理の海。

亘理町HPより

「プランクトンが豊富な亘理の海で育つほっき貝は成長率が良くて他地域より身が厚いのが特徴だな。流れが落ち着いた場所にいるんだけど、浜に沿って東西、南北など毎年場所は違うからね。上手く獲れるかどうかは船頭の腕と経験次第。」

亘理町HPより

30年以上ほっき漁に携わっている白井邦夫さんの言葉です。


亘理町立郷土資料館「わたしたちのまち亘理」より

左側の緑色の部分が亘理町です。
町の北部を流れて太平洋に注ぐ阿武隈川は、東北地方で2番目に長い川で、その河口の南側にある内湾状の鳥の海は、潮の干満に合わせて太平洋の海水が出入りする汽水湖です。

亘理町立郷土資料館「わたしたちのまち亘理」より

阿武隈川河口から鳥の海の方面を望んだ朝焼けの風景です。
亘理のほっき貝は、このような美しい自然の中で育まれているんですね。
下の動画では、鳥の海と亘理町荒浜の空撮をじっくり見ることが出来ます。

ぜひ現地にいらして、この素晴らしさを体感してください \(^o^)/

亘理商工観光課・亘理町観光協会「亘理であそぶ ぶらわたり」より


JR亘理駅に隣接するお城「悠里館」。

亘理町立郷土資料館「わたしたちのまち亘理」より

JR亘理駅の隣には、お城の形をした複合文化施設があります。
1階が郷土資料館、2階が図書館で、5階に太平洋や蔵王を見晴らせる展望ホールがある「悠里館(ゆうりかん)」です。

撮影:はぴみん

1階の亘理町立郷土資料館の常設展示プロローグコーナーで、「わたしたちのまち亘理」という動画を視聴できます。これはおススメです!
縄文時代から東日本大震災後の復興まで、わかりやすい説明と印象的な映像で亘理町の歴史を学ぶことができます。

亘理町立郷土資料館パンフレットより






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?