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ヨミマシタホン No.8

『あまがえるのかくれんぼ』作/たてのひろし 絵/かわしまはるこ (世界文化社 2019年 1,200円+tax )


絵本に興味はあるが、なかなか手に取る機会がない。その他にも読みたい別ジャンルの本が山ほどあり、ついついどうしても、後回しになってしまうからである。

なのに今回、この絵本を読むに至ったのは、noteで開催されている「#読書の秋2021」(締め切り11月30日)の課題図書に挙げられていたからである。


物語は、タイトルそのままにあまがえるが主人公だが、彼らは三匹いる。草木が豊富に生茂る季節の中でみんなが仲良く遊んでいると、命の危険を感じる出来事が起きたり、彼ら自身のカラダに突然変化が現れたりする。

かくれんぼ、とやさしい言葉が使われているが、中身は冒険に近いものがある。

冒険とは言ったがページ数はそんなに多くないので、すぐに終わってしまうじゃないかと思うヒトもいることだろう。しかしその冒険を、彼ら目線で一緒に体験することで、濃く深く感じとることができるのである。

先ほども少し触れたが、あまがえるたちは当然だが、自然の中にいる。季節は夏ごろ、様々な動植物が活発に活動する時期である。

あまがえるたちの動きだけを追っていると、脇役に回ってしまうきらいがあるが、実はそこにはたくさんの種類の草花や、昆虫たちをもきっと見つけることができるのである。かくれんぼしているのは、あまがえるたちだけではないのである。

描写はそれら本来の姿に忠実なので、その様子を記憶しておけば現実の草はらで、絵本に描かれる自然たちを見つけることは容易であると思われる。この一冊を抱えて、自然観察に向かうのも楽しいことかも知れない。

自然好きなヒトたちには、そのまますんなり受け取って楽しんでもらえるお話だと思う。

かえるや昆虫がニガテなヒトたちには・・・これは冒険なのだ、と少しの勇気を奮っていただいて、彼らのかくれんぼにぜひ、一緒になって参加してもらいたい。

そして本を閉じたときに、冒険が終わったあとの余韻として、あまがえるたちや彼らが暮らす自然を、もっと身近に感じるキモチが芽生えていたとしたら・・・。

それは、この絵本からのおまけのプレゼントだと思う。ぜひ受け取ってもらいたい。








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