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ノック式ボールペン

 今はキャップ付きのボールペンよりノック式のボールペンの方が主流だろうか。昔スーパーカーが流行った頃、三菱鉛筆製BOXYというボールペンが活躍した時代があった△

旅行にはキャップのない方が便利だろうと、学生時代にスペインを友人と貧乏旅行をした時に持っていった△

地方のどこか小さな駅でのことだったと思う。窓口にいる30代くらいの男の駅員さんに何かを尋ねた。スペイン語はできないので、答えを紙にペンで書いてもらう。メモ用紙と自分が持っていたBOXYのボールペンを駅員さんに差し出した。彼は見たことのない構造のボールペンに驚いていて、使い方を教えてペン先が出ると、びっくりして笑っていた、ように覚えている△

答えを書き終わった彼がメモを返してくれる時、胸ポケットに入っていたボールペンを取り出してメモに添えた。そして私のBOXYボールペンをポケットに差し込み上からぽんぽんと叩いた。「交換しないか」ということらしい△

おっと、と驚いたが彼の提案を受け入れることにした。彼は嬉しそうにしていた。その当時のスペインではまだノック式が珍しい、もしくはあっても高いものなのだろうと想像した。私の手に渡ったのはフランスのビッグのボールペンであった。自分にはこちらのペンの方が珍しかったし、書きやすかったので結果オーライであった△

ノック式ボールペンを使うことが増えている。そのせいかいつまでも忘れない、旅先での小さな思い出である。

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これより上は、天声人語のルール(603字/6段落)に沿って書いてみる、に勝手にただ今挑戦しています。お読み下さり、ありがとうございました^^!

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