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日本・エストニア・Dガバメントで考えたこと

6月12日に日経ホールで開催された日本・エストニア・デジタルガバメント・フォーラムに登壇してきました。主催は日本経済新聞社、特別協力として三菱UFJリサーチ&コンサルティング。1年ほど前に知り合いになった菱UFJリサーチ&コンサルティングの南雲さんよりお誘いを受け、なんと三輪内閣府情報通信政策監と同じ舞台に上がってしまいました。そのほか私が登壇したセッションは、個人的にも興味深い方ばかりでした。御誘いいただき、ありがとうございました。また多くの方にお会いできて光栄です。

エストニアの電子政府に関しては、概略的・表層的なことは知っていたのですが、実際に現地政府の人とお話をしたり、専門家と議論をしたり、居住者とその生活者視点で話をするということはなかったので、とても興味深く聴講・参加してきました。

三輪政府CIOと同じ舞台に上がったのは、後半の分科会で、一人ずつポジショントークをという話だったので、いくつか考えていることを話してきました。私はエストニアについてはよくわからないので、お話したのは、主にデンマークの電子政府の視点や今までの電子政府関連の調査研究から3つのこと。デンマークに15年住んでいて現在デザインアプローチやリビングラボを用いたシステムデザインに取り組んでいるという自己紹介、デンマーク電子政府がなぜ成功してきたのかという点、日本の電子政府進展のために必要だと考える点に関してです。

デンマークの電子政府の成功要因に関しては、2010年の「デンマークの電子政府政策にみる税・社会保障情報の管理と活用」『海外社会保障研究』や、そのほかのところで書いているのですが、個人番号制度が1968年に導入されたことやKMDのいわば独占市場で地方自治体にITシステムが導入されたことが基盤にあり、その後、法律が整備され、社会の仕組みが変わり、長い時間がかけられて市民のマインドセットの転換が徐々に図られてきたことに注目したいということを話してきました。 

また、日本に関しては、ITが社会にこれだけ広まっている現在であるにも関わらず、技術ドリブンで動いているものが多く、より一層社会学的視点が必要であるということ、だからこそ参加型デザインやリビングラボといったデザインアプローチが大切だということを主張してきました。また、参加型デザインやリビングラボは当事者意識を生み出す方法論でもありますが、最近、権利と義務が裏表である民主主義的教育を同時に進める必要性を感じていることもあり、若者の民主主義教育も重要だよという話もしました。私の立ち位置は、だいぶ前にこちらに書いていますが、お上にお任せするという市民の甘えから脱却すること、これもデジタルガバメントを推進する上で重要になってくると思うのです。

デンマークの電子政府そのものに関しては、2014年頃に一段落していることもありあまり新しく執筆することはなかったのですが、電子政府一般、ヘルスケアIT、教育とIT、スマートシティに関しては、継続して書き続けています。多くの人に興味深いデンマークの社会に根付く電子化の話をぜひ知ってもらいたいと思っています。

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