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北欧の電子政府

6月12日に日本・エストニアデジタルガバメントフォーラムが日経ホールで開催されます。主催は日本経済新聞社、特別協力として三菱UFJリサーチ&コンサルティング。平井IT政策担当や、三輪内閣府情報通信政策監、エストニアのデジタルガバメント関係者が集まるフォーラムです。お誘いをいただき分科会で登壇させていただくことになりました。

改めて思い返してみると、対象はエストニアではなくてデンマークではあるけれども、電子政府に関しては多々取り組んできました。グローコムの元研究員である猪狩さんや砂田さん、庄司さんとのプロジェクト、ジェトロのコンサルタントとして業務、また、大学での自分の大規模ITシステムの使い勝手の研究やらに取り組み、いろいろなアウトプットを出しています。デンマークの電子政府関連の方にお会いしたり、一緒に共著論文を執筆したり、日本の電子政府関連の方へのレクチャや、技術者の方にお会いする機会も得てきました。

正直、日本の電子政府政策は、2000年あたりから取り組んできている割には、長期ビジョンがはっきりせず、その時々で多くの人材や資金や労力が注入されている割には、不完全・不燃焼な部分が多いように見受けられます。隣国の批判をする前に、単に監視社会を作っているわけではなく、便利にするためと言いたいのであれば、それを示す必要があります。多くの技術者の知り合いがその優れた頭脳と体力と時間を使い、家族との時間をも犠牲にして作り上げてきたITシステムが「うまくいかなかったね」で、ぼしゃるのをみるのは心痛の心持ちです。個人的には、人の幸せを支援するため、少子高齢化でも生活を便利にすることができることを示すため、そのために電子政府を推進しているということを示して欲しい。

デンマークは小国だから簡単に促進できるんだと言い訳をしたいのであれば、自治体レベルで成功事例を出してから言えばいいい。そもそも、デンマークにできることと日本にできることは違うからこそ、日本は別の視点から電子政府が進められるはず。

自分が期待するのはやはり技術的な観点からの貢献です。先日、AI学会に参加した時にも感じたことだけれども、日本は先端技術に対する受容度が高いと言われます。生活者の所感ですが、ハイクオリティの技術者や専門家は多いと思うし、NECを始めセキュリティ関連でバイオメトリクスの開発なども進んでいる。欧州に比べても一般の受容度も意外と高いから、あとは、使い勝手のいい人に寄り添ったシステムを作り出すことが重要になってくる。日本がどうこの分野で世界に対しても貢献できるか、自分としては明白じゃない?と思ったりするのです。日本の電子政府進展の鍵、そして日本が電子政府分野で貢献できる鍵は、デザインの力を十分に活用し使い勝手を良くして提供する日本の技術なんじゃないかなと考えています。

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