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人工知能の22世紀チャレンジ

第33回人工知能学会の第一日目午後の「近未来チャレンジ」セッションの「二部 22世紀にチャレンジする才能に向けて」に、招待いただき、「人を巻き込み、継続的に社会課題へ取り組むということ」というタイトルでリビングラボについて話してきました。

「この講演は、ロングスパンでの研究や、他分野との融合でのプロジェクトに取り組んでおられる識者へご登壇頂き、ロングスパン/他分野融合研究の可能性・気運を高めるという目的のもと、他分野異業種の方のインプットを得て今後のAI研究に生かそうとする斬新な試み」ですが、私の前に登壇したのが、京都大学iPS細胞研究所未来生命科学開拓部門教授齊藤博英先生。発表を聞いていて感動して、私がいるのがちょっと場違いな気がして、発表前に落ち込みましたが、結果的に興味深い方達に会えてとても良い機会をいただきました。素敵なお呼ばれ、ありがとうございます!

人工知能学会は、現在注目を受けている分野ということもあり、事前参加登録2千名に登る大盛況だったようです。16パラレルセッションの項目を見て、なんでもありの学会?!とコメントしている方もいましたが、それだけAIが市民権を得てしかも社会と密接に関わるようになってきた今だからこその気がします。
個人的に興味深いと思ったのが、日本の人工知能の事業化を進める集団Preferred Networks, Inc. フェローの丸山宏さんの招待講演「人工知能をどのように読み解くか」。きちんと発表が理解できたかわからないけれども、備忘録として考えたことを記録しておきたいと思います。

今後「計算」が進化するという見立ては、興味深かった。何よりも、今まで科学の価値観として鎮座していた「オッカムのカミソリ」的世界が、科学の世界でも今後変わっていくことを、AIの一人者が述べていることが。ネットワーク的・関係性が重要になっていくとか、社会的な複雑性をきちんと考えていこうというという意味で、科学の大きな転換期のような気がします。実問題の多くは、多パラメタ空間であることを理解し(少パラメタ空間で考えても社会には活用できないよね!)、ブラックボックス的に「なんでそうなるのかわからない」けれども、解決できるといったような人工知能が得意とする?! ところを認めていこうというのは、ものすごいパラダイム変容な気がするわけです。

そして、今、多様なメディアでは、AI人材が足りないという記事であふれているけれども、そんなことはない気がする。AIやっている人はたくさんいて、興味を持っている人もたくさんいる。AI人材が足りないというか、今重要な社会に近いところでAIを考える人が足りないんじゃないだろうか。

オッカムのカミソリ: 「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」より広範囲の事象を説明できる、より単純な理論がよりよいとする考え方。

学会会場では、修士博士時代の研究室仲間にも多々お会いすることができたのも楽しかったし、何よりも学会会場で中高時代の友人に20年ぶりに偶然会うなど、運命的な再開の連続に夢を見ているかのような気分でした。

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