元ブログより転載、2019年11月にスマホに変えた時の顛末です。

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私がごく幼い頃は、家に電話というのは一台だけだった。
田舎では回線を引いていないお宅も多く、公衆電話も近くに無い。
電話を「借りる」というのもよく聞いた。
一回10円を置いていく。
長電話の時は20円。

近所で電話があるのが一軒だけだと、電話の横に小さな貯金箱が置いてあり、借りた人はチャリンと入れていたようだ。
人の家で電話をかけるから、聞くまいと思っても聞こえたりする。
大体の話の内容が分かる。
まあ、おおらかというかそういう時代が確かにあった。

電話加入権というのがあり、ずいぶんな金額だったと記憶している。
そもそも、電話を扱うのは
「電電公社」
といって、ほぼお役所だった。NTTの前身だ。

だいぶ経ってから、ポケベルが突如流行ったが、ここは割愛する。
世に携帯電話が普及し始めた時も、使うのは社用の場合が多く
「家に電話があるのに」
と、個別に持つことを躊躇う気持ちが強い人が多くいた。

そう遠い昔の話ではない。

いつの間にか携帯は進化し、小さくなったり薄くなったり、多機能になり、私はいつからか付いていけなくなった。

未だに覚える気もないのだが
「iナンタラ」
というのがわからぬ。

iPad
iPod
iTunes

もっとわからないのが、

タブレット
ガラケー
ガラホ
スマホの違い。

ガラケーでもネットにつながるのに、ガラホって何よ・・・。

「ラインが出来る」
というが、
「それだけのためにスマホに換えるのか?」
と話が混乱していく。

説明を求めても、夫もよくわからぬ人だ。
息子や娘に聞いても何度説明されても私がさっぱりわからない。
親切なYちゃん(嫁さん)が教えてくれても、やっぱりわからぬ。

「昔はそんなもの無かった、必要なかった、何とかして何とかなったものだ」
とヤケクソというか、負け犬の遠吠えも虚しいので、黙っている。

お喋りなようだが、私は電話で話すということがまずない。
火急の際は携帯も鳴るが、最近はそのようなこともなく、自分から何か知らせるようなこともない。
ネットといえばパソコンで、
「画面も大きいし、周辺機器もまあ揃っている」

デジカメは息子からもらったのがあり、どこへ行くにも持って行く。

いずれにしても
「これ以上モノと、維持費を増やしたくない」

そればかり唸るように言っていた。が、突如、それが瓦解した。

少し前から
「脅しの書簡」
が届くようになった。
頻回に届く。

この私を誰だと思っているのか、無礼者!!!

脅しの内容は

「今アンタが持ってるガラケーはもう使えなくなるよ
　もうね、サービス終了だし製品も作らなくなるし
　それでもいいの?　
　今換えるなら、ｺﾚｺﾚこれだけの特典だのポイントだの、
　サービスだの、色々お得だし、
　いずれにしても今のは使っててもしょうがないんだからね」

うるせーな・・・

息子夫婦や娘が来ると
「こんなでこんなでさ」
と、それを示すのだが、皆
「あー」
と言うだけ。

なんだかんだ言っても、この母ちゃんが
「換えたくない」
のを知っているからだ。
なんでかというと
「ただただ面倒くさい」
というのもよーく知っているからだ。

私の世代は、
「物を大事にしろ」
と言われ育てられたのである。

何であっても、欲しいからと言って簡単に買ってもらえることは無かった。情報も無いから、あてがわれたものだけで何とかやって来た。
そんなだから、車にしろ電話にしろ何にしろ
「家族で共有」
するのが当たり前だったのだ。
茶碗や箸だの、衣服は個別でも、家具家電などは一家にひとつだった。
何かが壊れても
「修理」
である。
父親の腕の見せ所でもあった。

いつからかそれが
「買い換えた方が安い、早い」
になって行った。
父ちゃんは活躍を示す場がなくなり、子供は尊敬しなくなっていった。

「便利便利がアホにする～」
というのは、負け惜しみでも何でもなく、本音でもある。

脅しを無視していると、今度はガラケーの画面にこんなのが出るようになった。

「ニュース配信サービス終了のお知らせ」
「ナンタラナンタラ終了のお知らせ」

むむむ・・・不安を煽りやがる!!!

憤慨してもどうしようもない。
加えて、このところ携帯の請求が高くなっている。

私はほぼ使わないのだが、夫が仕事での通話が多い。契約内容に見合わなくなったのかもしれないが、契約を変えるのも面倒なのである。

ネットでもできるとも言うが、簡単に気軽にやっても
「変更手数料」が発生したりする。

「騙されまいぞ」

もはや、意地である。しかしながら

「ニュースが見られないのは、災害時など・・・」
「いやいや、家にいるうちは大丈夫だし」
「あの手この手で商売しやがる」

ムツムツブツブツと日を送っていたら、Yちゃんから連絡が来た。

「おかあさん、今日家にいますか?」

つづく