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何を今さら・・・4

元ブログより、ガラケーからスマホに変えた時の騒ぎの続きです。

・・・・・・・・・・・

手続きは無事終わり、数時間前までは手に取る気もなかったスマホが、夫と私の手に渡された。
息子が
「飯食っていきませんか」
と夫に声をかけている。もうすっかり暗くなっていた。

「行こうねー」
近くのトンカツ屋に向かった。店に入ってワイワイと話になる。

「いやー、せっかくの休みに付き合ってもらって悪かったね」
と口々に言うと
「全然大丈夫です」

息子夫婦は
「ロースカツ定食」
と言ったが
「こっちの良いほうの肉のロースカツ定食が良いよ」
と夫と私が勧める。
夫もそれにして、私はヒレカツ定食にした。
「それにしても・・・ これ・・・どうやって使うの?」

まさかの展開に、テンションが乱高下する私ら夫婦。

夫も私も、スマホをただ
「持っている」
だけなのであった。息子は夫の、Yちゃんは私のスマホを手に取り、あれやこれやと細かく教えてくれる。そもそも入力の仕方が分からぬ。

「ガラケーは、いちいち押して文字選ぶでしょ? これもそれでもできるけど、最初に覚えた方が良いのは左右に指を滑らせると・・・」
「ああ、なるほど」
「この方が楽だから、そのうち慣れるしやってみ」
「ハイ」

若くない方の夫婦が、若いほうの指導通りにやってみる。
「出来ました」
「とにかくね、パソコンの小さい奴だと思えば怖くないからさ、あとは慣れ」
「ハイ」
しかし今現在やってみたのは文字入力だけである。その他についても、事細かに指導される。若夫婦はどんなにくだらない質問も、スルーすることなく、嫌な顔も全くせず実に懇切丁寧に教えてくれるのがありがたい。「で・・・さ、ラインというものを・・・」
「こっちから招待するから、承認すればいいよ」

何かチロリンとか、ピコンなんて音がする。ディスプレイに、どこかで見たことがあるラインのマークがある。
「それ押して開いて」
「あ、何か出た」
「これで、友達に追加になったでしょ」
「なったなった」
それだけでキィキィ喜ぶ。

嫁からの記念すべき初ラインがコレ(笑)。

祝・嫁と初LINE

息子のはつまらないので割愛。娘には


祝・娘と初LINE

    

祝・娘に入力褒められた


返信早いと褒められたのだ!!

トンカツ定食が揃って食べ始めても、我々は実にレベルの低い質問ばかりするが、いざ手を出してみると何とかなりそうな気もしてきた、ラインだけだけど・・・。夫は仕事でラインを使うので、仕事関係者にそれぞれ周知せねばならないが、上手くいったようだ。
「これで安心だ」

皆でワイワイと食べ、良いほうの肉のロースカツは
「ふん、ほひしいですぅ」
モゴモゴと味わいながら、美味しい時のYちゃんの一言が出た。

「ほれはひょかった」
ヒレカツを口に入れた姑が頷く。

お腹がいっぱいになり、なんだか気が抜けてぐったりとなったのは、昼からずっと未知の世界にいたからである。大袈裟なと言われると思うが、
「いかに損をせず、いかに簡単に、いとも簡単にアレコレ得できるか」
などというヨコシマな気持ちがあったことは言うまでもない。

「私らだけなら、まずショップに行くにも躊躇う。頑張って覚悟を決めて行っても、今日だったら最初のブースで言われたことですぐ何もかも面倒くさくなって、結局契約変更手数料が惜しいから、わざわざ来たのにこのままそっとしておこうになったよ、間違いなく。変にヤケクソになって、勧められるままに高いスマホに万が一換えても、ただ持っているだけになったよ」

頑張るとか、覚悟とか、いちいち大袈裟なのだが掛け値なしの気持ちである。息子が食事代を全部払おうとしたが

「いやいや、せめてものお礼」
と押しとどめた。

「お疲れさんでした」
「ありがとうねー」

そして若夫婦はニコニコと手を振って帰って行った。

帰宅後・・・
「いよいよ自分でやらねばなりませんぞ」
「いやはや、まさかこんなことになろうとは」

2人で口々に言いながら
「それでも今までどれだけ不自由な、なんか気後れしながらというか、なのにわざわざ払わなくていいもの払ってたんだね」
「これからはそういう事も無くなる。年会費永久無料のカード申し込んで買い物すれば、今まで死蔵したまま消えていたポイントやらも活かせる」
「凄いじゃん」
「いいじゃん」

夫婦で励まし合う。そそくさとスマホをいじり始めた。ずらりとアプリのマークが表示されているが、どうも何がなんだかわからない。ラインを開いたら、どこから触れたらしく、電話がかかってしまった。夫も全く同じことをしたようで、どこを押せば切れるのかもわからず、慌ててあちこち押したら切れた。どこを押すといいのか、わからずじまいだ。

「そうそう、スマホってこうなるんだっけ。 前、〇〇(同僚)が間違って押してどこかに繋がったんだけど、それが〇〇さんで、かけた方はかけてるなんて夢にも思ってなくて、よりによって相手の仕事での悪口をエンエンと言ってるのが、全部本人に聞こえててさ」

「ゲっ…オソロシイ」
「そしたら俺に電話がかかって来て」
「どっちから」
「言われているほうから、ちょっと今こういう状況って」
「ひぃぃ・・・」
「やたら触るもんじゃないぜ」
怖い話である。

お互いにいちいちわからない事ばかりで、お互いに訴え合うがわからない。こういう時私は、何とか自力でやってみるタイプだが、夫は
「めんどくせー」
と言って放置するのだ。
「ちょっと貸しなさいよ」
と取り上げ、
「ここじゃないの、この設定を下にずっと行くと・・・ほらほら、これだよ、ここでいろいろ設定したり変更だよ」
「なんでわかるんだ」
「やってみなければ何事もわからないでショっ!」

時々、何かわからぬが音が鳴る。
しかし向かい合って近くに置いているので、どっちのスマホが鳴ったのかわからぬ。

なんたらのお知らせ
お誘い
ニュース速報
スキャン

・・・

「今のどっちが鳴った?」
「わからん」
「もしかしてこれかな」
「同じの来てるぞ」

ああだこうだとなんだか疲れてしまったが、夫はさっそく
「保護フィルムは、ガラス製だな」
「カバーもケースも必要だな」
なんて、いそいそと買い物しようと見ている。
見ているのはパソコンの画面である。

「ちょっと・・・物には順番があるから、まずカード作ってよ」
「カードな・・・」

入力を面倒がっている。

「自分でやってよね」
「俺の口座はどこだ」
「なんてこったい」

すったもんだの夜は更け、私は早々に寝に行った。夫は寝るときに、就寝用の動画や音楽を流す人なのだが、さっそくスマホを使ってそれをやり、グースカと寝入っていた。
翌朝起きると、既にスマホ片手に何かやっている。
私も家事の後、
「まずこの殺風景な背景を何とかしたい」

「壁紙、無料」
なんて検索をし、ダウンロードし、クリスマスバージョンにした。
いっぺんには無理なので、まずは仲良しの友達数名に
「今更ですがついに・・・」
と連絡すると、皆さんから温かい返信が届いた。

「スマホデビューおめでとうございます!」

そういう友人たちは、もう何年も前からとっくに使っている人たちばかりである。その余裕もあってか、この初心者を励ましてくれるのである。

「だんだん整っていくぞ」

とは言え、写真を撮るのは長年の習慣でデジカメを使用するし、日中も時々何かポロロンと鳴るが、使うのは主にパソコンなのである。
それでもその後、息子夫婦に面倒はかけておらず、何とか自立更生の道を歩き始めたところである。

この項、これで一旦終了です。また騒ぎがあったら書きます(;^ω^)。

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